宗方姉妹 / 田中絹代
宗方姉妹
/小津安二郎
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全体の平均評価点: (5点満点)
(24)
解説・ストーリー
世界中の監督に影響を与えた小津安二郎監督が、松竹を離れ、はじめて新東宝で製作した作品。主演は田中絹代、高峰秀子。伝統を大切にし、皮肉屋の夫に耐えつづける姉と、そんな姉に反発する奔放な妹の対比で、日本の家庭崩壊を描いた人間ドラマ。
世界中の監督に影響を与えた小津安二郎監督が、松竹を離れ、はじめて新東宝で製作した作品。主演は田中絹代、高峰秀子。伝統を大切にし、皮肉屋の夫に耐えつづける姉と、そんな姉に反発する奔放な妹の対比で、日本の家庭崩壊を描いた人間ドラマ。
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「宗方姉妹」 の解説・あらすじ・ストーリー
解説・ストーリー
世界中の監督に影響を与えた小津安二郎監督が、松竹を離れ、はじめて新東宝で製作した作品。主演は田中絹代、高峰秀子。伝統を大切にし、皮肉屋の夫に耐えつづける姉と、そんな姉に反発する奔放な妹の対比で、日本の家庭崩壊を描いた人間ドラマ。
「宗方姉妹」 の作品情報
「宗方姉妹」 のキャスト・出演者/監督・スタッフ
宗方姉妹の詳細
収録時間: |
字幕: |
音声: |
112分 |
|
|
レイティング: |
記番: |
レンタル開始日: |
|
TDV3205RP |
2008年04月22日
|
在庫枚数 |
1位登録者: |
2位登録者: |
7枚
|
0人
|
0人
|
宗方姉妹の詳細
収録時間: |
字幕: |
音声: |
112分 |
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レイティング: |
記番: |
レンタル開始日: |
|
TDV3205RP |
2008年04月22日
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在庫枚数 |
1位登録者: |
2位登録者: |
7枚
|
0人
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0人
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ユーザーレビュー:24件
小津らしくない小津作品
投稿日:2007/01/04
レビュアー:ケチケチ
あらわに露出する感情や小津の型にはまりきらない俳優たちの演技など、非常に小津らしくない作品で、それ故に初見から十数年経過した今も、他の似通った家庭物と差別化され記憶に残っている作品です。そういう意味では類似性の高い晩年の小津作品の中にあって異彩を放つ作品だと思います。
この作品の高峰秀子の演技が実は非常に好きだったりする。(^^ゞ)
「晩春」のレビューで"違和感のある演出の中に生まれる全体の調和"と言うことを書きましたが、この作品に関してはどうも調和が取り切れていないと感じるところが大きいです。
例えば演技という一面を取り上げても、田中絹代、上原謙、笠智衆、高杉早苗と言ったところは、小津独特の型の中にはまり、その枠を超えない中での小津作品らしい演じ方で、スパイスとなるべき演技が高峰秀子演じる所の役所。ここまではいつもの小津作品らしく良いとして、それ以外の出演陣の演技がどうも小津の型にはまった演じ方には感じられず、野放し状態のように思えてしまうのです。paroleさんが、酒場のシーンについて触れられていますが、演技の面でも、千石規子、藤原釜足といったところの演技はまったく小津作品らしくない演技のように感じられます。
演出とは難しい(面白い)もので、噴出する感情という物の演出には、カットカットの切り返しというのはそぐわない物だなと思います。強い物と強い物がぶつかり合ってしまうとでも言うようなものでしょうか。淡々とした台詞の中に引っかかりを作る時こそ、カットカットの切り返しは小津作品の中で非常に有効に機能しますが、この作品のように感情が噴出するようなシーンにおいては小津の味という物は非常に用いにくい感じがします。
paroleさんが小原譲治と厚田雄春の撮影の差異を挙げられていますが、照明トーンと言ったところではもちろんその影響はあるのでしょうが、感情が噴出する場面があるこの作品においては小津自身が自ら彼自身の定石を崩したのではないかと私は思ったりしています。
山村が田中を叩くシーンにおいては、ワンショットの切り返しを行うまでもなく180度の切り返しで終わってしまうのですが、例えば、高峰が上原に結婚を迫るシーンにおいて、二人が立ち上がるカットを椅子舐めの90度の切り返しを用いたり、高峰への切り返しが上原の肩舐めであったりするのは二人の距離が接近しているとは言え、非常に小津らしくないカット割りではないかと感じます。頑なに自信のスタイルを守る小津作品において、このあたりはワンショットの切り返しがそぐわないと判断した監督の意図的なものではないでしょうか。元来小津の引き絵は情景を見せる、そのシーンの情緒を見せるといった物ですから、こういったシーンには全くそぐわない物でしょうし、監督自らの判断なのではないかなと思います。(お断りするまでもなく、あくまでも独断と偏見(^^;))
結果的に、そういった感情が噴出するシチュエーションそのものはもちろんのこと、全体的な基調はいつもの強烈な個性を見せる小津の型ですから、そのものに反する演出箇所があることがこの作品の調和の崩れ、不協和音を作り出している物なのではないかと思います。
小津らしくない不協和音を感じると言っても、作品自体は決して目も当てられないほど悪い出来ではなく、昭和25年という時代を反映し、日本の伝統的な価値観が壊れていく様を表現する中で、時代に取り残されたような虚無的な夫、またその夫に一見古い伝統を守るがごとく耐え堪え忍ぶ姉、子供っぽさを残しながら時代を追い姉に反発する妹、というところの対比は映画として面白いです。
また、「変わらない物こそ新しい」という真の意味を表現するかのように、自らの価値観を貫き、男尊女卑を否定するかのような芯の強さ、戦後の新しい女性像を見せる姉にも十分カタルシスを感じます。
細かなところでは、日本的な和室から見える隣の家がプレハブ調の出窓であったり、西洋的な部屋の骨董品の向こうに見える隣の家が土塀に瓦葺きの家であったりと、ディティールの面に注目するのも面白いです。
小津作品の中では評価は低め、5段階評価は3。
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猫とデコと三人の男
小津が松竹を離れ 初めて新東宝で撮った映画 おいらも初見
カメラとか いつもと違うが違和感なく 小津世界にしている
前半は 高峰秀子を中心にしていて 父と姉の夫 そして姉を昔から好きな骨董商の男性との 話で構成されるが 笠地集の父
の末期の病がメインとなると おもいきや 一転して後半は 山村聡と田中絹代の夫婦の確執に重点が移る どうも構成に難がある
別天地のためか ダメ夫 山村の猛烈な連続ビンタ とかあって 小津の激情ぶりに すっかり驚いてしまった こうゆう映画
とは思わなかったな とにかく小津は日本の家庭を淡々と描く作家みたいな面ばかりで 語られすぎるな 勉強になった
DVDのリマスターの画質は充分に満足のゆくもの これじゃ
ヒッチコックのリニュアルも見ないとなあ
ところでこちらは 本編110分だが 他のDVDは112分になってる あと「ワイルドフラワーズ」特典がなかった
廉価版みたいなのがレンタル用にあんのかな? DISCAS しっかりフルヴァージオンの使ってね
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違和感こそ小津作品の醍醐味
※このユーザーレビューは作品の内容に関する記述が含まれています。
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リナさんがこの作品について違和感があると指摘されていますが、それは二つの意味合いで正しい指摘だと思います。
一つはまさに「作品としての調和」に欠けているという点です。本作はラヴァ様が言及されているとおり東宝で撮られ小原譲治がカメラを回しているのですが、厚田雄春との差異が、もっと言えば小津が完全にカメラの主導権を握り切れていないことが如術に現れています。その一番はっきりしているのは、不実な夫である山村聡が酒場で激情を吐き出すシーンで、半逆光の照明が山村聡の激しい表情の右半分だけを照らすコントラストの強いショットなど、松竹作品では、あるいは厚田雄春のカメラでは考えられないものです。また、ラスト近くの田中絹代と高峰秀子とが語り合うシーンにおける田中絹代が屹然と「宣言」する様子も他の作品とは一線を画していると感じました。私はこれはこれで異色感があり面白いと思いましたが、基調自体は小津調であるため調和が乱れていると感じるのはもっとものことだと思います。
もう一つは、台詞回しや物語の流れそのものに対する違和感です。リナさんは「お話の運びが乱暴なのです」と指摘されていますが、これはこの作品に限ったことではなく、実は小津の作品はいずれもいわゆるリアリズムからは決定的に隔たっています(と私は強く思います)。律儀というか厳格なまでの正面からの切り返しショットによる違和効果のため見過ごし聞き過ごしてしまうことが多いと思いますが、小津作品の会話はかなり生硬で日常会話としては無理があるものばかりです。個々の言葉遣いは長い時間をかけて言葉を練り上げているだけあってこなれているというかおかしな感じはしないのですが、言葉の繋ぎや会話のやり取り自体はギスギスしているというかスムーズには流れてくれません。物語の流れにしても、その気になれば突っ込み所満載であり、世に言う「日本的なるものの体現者」として小津というのは私には単なる神話としか感じられません。語りのうまさやスムーズさなら、木下恵介や黒澤明の方があるかに上だとすら言えるでしょう。
しかし、作品としての優劣、作品がもたらしてくれるものの深さや大きさとなると話は別で、個人的には木下惠介等とは比較にならないほどのものをもたらしてくれます。物語や会話の運びに違和感があるのに? 話の流れが強引でスムーズではないのに? そう、実はこの簡単には流れない、いや安易に流れはしない異物感、違和感こそが小津の醍醐味や凄みであり、小津作品の持つ多様性と開放感とを実現しているものだと思うのです。
小津はある時点からはそれこそ金太郎飴のような、同系統の、似たような物語構造の作品を作り続けるようになりますが、それは小津がこうした「家庭・家族もの」に愛着があったと言うこと以上に、確定し定着した物語構造を踏襲することにより、物語の語りや説明から解放され「映画表現そのもの」に執着したかったっからではないかとすら思っています。もちろん、小津は既に死去していますからこの疑問、過程に誰も答えてはくれませんし、そもそも正解などあり得ない代物でしょう。しかし、少なくとも小津作品は、このような仮定に対して作品そのもので答えてくれる、求めれば受け止めてくれる数少ない作家だと思います。
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小津時間の大人たち
名作「晩春」と「麦秋」の間に他社で撮った原作ものの映画化ということで、いつもとちょっと違うテイストの小津ワールドが堪能できる佳作。「晩春」→本作→「麦秋」の順番で観れば、本作の異色性がぼっこりと浮かび上がります。他作と比べて展開の起伏が激しくドラマチックです。その分小津ビギナーにはかえってとっつきやすいかと思います。
でも構図の美しさとか、永遠のお父さん笠智衆の登場とか、やっぱり小津ワールド全開ですよ。小津カラーに染め上げています。
永遠のお人好し上原謙ナイスガイぶりや、高峰秀子のおてんばぶりなど、割とヘヴィーな展開の中で笑いを誘い、ユーモアのセンスも冴えています。「新しいこととは、いつまでも古くならない(変わらない)こと」。小津時間の中にいつまでも浸っていたい。結局はいつもそんな気分にさせられます。
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7人の会員が気に入ったと投稿しています
「人がやるから自分もやる」は良くないよ…父が優しく諭す
銀座でバーを経営する三村節子は、求職中の夫・亮助、実妹の宗方満里子と実家で生活している。
家主である父・宗方忠親は、京都で病気療養中のため不在である。
満里子は、一向に就職しようとしない亮助、そんな彼に寛容な態度を取る節子に反発を覚えていた。
ある日、京都の忠親を見舞った満里子は、しばらく疎遠だった家具商の田代宏と再開する。
彼女は知っていた。結婚前、姉の節子が宏を愛していたことを…
小津安二郎監督作品。1950年制作。大佛次郎の新聞連載小説「宗方姉妹」を映画化した。
淑やかで古風な節子(田中絹代)、進取の気性に富む満里子(高峰秀子)、姉妹の対照を楽しむ作品だろうか。
節子と宏(上原謙)のメロドラマも絡んで面白くなりそうな気もするのだが、どことなく平板な印象…
そして、満里子の言動が成人のものとしてはかなり痛々しい。
一人称が名前、失言するとペロリと舌を出す、不満があると「イーッ!」と顔をしかめる等々、色々ひどい…
(原作では、他人の家で入浴後、全裸で主寝室に入り込み特注の豪華寝台で熟睡するという無礼な人だった)
本作の満里子は善人だ。天真爛漫なのだ、たぶん…とにかく嫌いにはなれない。
庭の鶯に「ホーホケキョ」と鳴き真似をし、「あ、ウンコした!」と囃す無邪気な様子は、いっそ愛らしい。
後半、姉への優しさと心配が混じった満里子の顔がアップで映し出され、高峰秀子の美貌が光った。
書斎に籠もって洋書を読み耽り、居酒屋で痛飲する亮助(山村総)の佇まいが不遇のインテリって感じ。
猫好きの亮助は、自分を慰めているかのように優しく猫を撫でていた。
まあ、本作では単なるクズ(節子に平手打ちを8発連打…)だったわけだが、原作では彼なりの苦悩が描かれていたように思う。
姉妹の父・忠親(笠智衆)が慈父だった。彼は対照的な長女と次女を分け隔てなく愛していた。
忠親は、苔寺の静けさと美を解する節子に目を細める一方で、古いものを嫌い新しいものを好む満里子も肯定していた。
彼が「『人がやるから自分もやる』は良くないよ」と満里子を諭すシーンには、心温まるものがあった。
俳優・高杉早苗を見たくて本作を観た。彼女は、会社経営者・真下頼子を演じている。
戦前、フランスに留学していた頼子は、同じく留学していた宏(上原謙)と知り合った。
頼子が真下夫人(夫は死亡)となった今でも、宏との関係は続いていた。
鷹揚で知的な頼子は、満里子に剥き出しの敵意を見せられても落ち着いていた。素敵だったわー…
(原作では、もっと素敵なのよ…大佛次郎は本作での頼子には少々ご不満だった模様)
奥行きを感じる忠親の借家、京都御所周辺を歩く節子と満里子、京都の風景など映像も素敵だった。
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6人の会員が気に入ったと投稿しています
ユーザーレビュー
小津らしくない小津作品
投稿日
2007/01/04
レビュアー
ケチケチ
あらわに露出する感情や小津の型にはまりきらない俳優たちの演技など、非常に小津らしくない作品で、それ故に初見から十数年経過した今も、他の似通った家庭物と差別化され記憶に残っている作品です。そういう意味では類似性の高い晩年の小津作品の中にあって異彩を放つ作品だと思います。
この作品の高峰秀子の演技が実は非常に好きだったりする。(^^ゞ)
「晩春」のレビューで"違和感のある演出の中に生まれる全体の調和"と言うことを書きましたが、この作品に関してはどうも調和が取り切れていないと感じるところが大きいです。
例えば演技という一面を取り上げても、田中絹代、上原謙、笠智衆、高杉早苗と言ったところは、小津独特の型の中にはまり、その枠を超えない中での小津作品らしい演じ方で、スパイスとなるべき演技が高峰秀子演じる所の役所。ここまではいつもの小津作品らしく良いとして、それ以外の出演陣の演技がどうも小津の型にはまった演じ方には感じられず、野放し状態のように思えてしまうのです。paroleさんが、酒場のシーンについて触れられていますが、演技の面でも、千石規子、藤原釜足といったところの演技はまったく小津作品らしくない演技のように感じられます。
演出とは難しい(面白い)もので、噴出する感情という物の演出には、カットカットの切り返しというのはそぐわない物だなと思います。強い物と強い物がぶつかり合ってしまうとでも言うようなものでしょうか。淡々とした台詞の中に引っかかりを作る時こそ、カットカットの切り返しは小津作品の中で非常に有効に機能しますが、この作品のように感情が噴出するようなシーンにおいては小津の味という物は非常に用いにくい感じがします。
paroleさんが小原譲治と厚田雄春の撮影の差異を挙げられていますが、照明トーンと言ったところではもちろんその影響はあるのでしょうが、感情が噴出する場面があるこの作品においては小津自身が自ら彼自身の定石を崩したのではないかと私は思ったりしています。
山村が田中を叩くシーンにおいては、ワンショットの切り返しを行うまでもなく180度の切り返しで終わってしまうのですが、例えば、高峰が上原に結婚を迫るシーンにおいて、二人が立ち上がるカットを椅子舐めの90度の切り返しを用いたり、高峰への切り返しが上原の肩舐めであったりするのは二人の距離が接近しているとは言え、非常に小津らしくないカット割りではないかと感じます。頑なに自信のスタイルを守る小津作品において、このあたりはワンショットの切り返しがそぐわないと判断した監督の意図的なものではないでしょうか。元来小津の引き絵は情景を見せる、そのシーンの情緒を見せるといった物ですから、こういったシーンには全くそぐわない物でしょうし、監督自らの判断なのではないかなと思います。(お断りするまでもなく、あくまでも独断と偏見(^^;))
結果的に、そういった感情が噴出するシチュエーションそのものはもちろんのこと、全体的な基調はいつもの強烈な個性を見せる小津の型ですから、そのものに反する演出箇所があることがこの作品の調和の崩れ、不協和音を作り出している物なのではないかと思います。
小津らしくない不協和音を感じると言っても、作品自体は決して目も当てられないほど悪い出来ではなく、昭和25年という時代を反映し、日本の伝統的な価値観が壊れていく様を表現する中で、時代に取り残されたような虚無的な夫、またその夫に一見古い伝統を守るがごとく耐え堪え忍ぶ姉、子供っぽさを残しながら時代を追い姉に反発する妹、というところの対比は映画として面白いです。
また、「変わらない物こそ新しい」という真の意味を表現するかのように、自らの価値観を貫き、男尊女卑を否定するかのような芯の強さ、戦後の新しい女性像を見せる姉にも十分カタルシスを感じます。
細かなところでは、日本的な和室から見える隣の家がプレハブ調の出窓であったり、西洋的な部屋の骨董品の向こうに見える隣の家が土塀に瓦葺きの家であったりと、ディティールの面に注目するのも面白いです。
小津作品の中では評価は低め、5段階評価は3。
猫とデコと三人の男
投稿日
2004/10/19
レビュアー
裸足のラヴァース
小津が松竹を離れ 初めて新東宝で撮った映画 おいらも初見
カメラとか いつもと違うが違和感なく 小津世界にしている
前半は 高峰秀子を中心にしていて 父と姉の夫 そして姉を昔から好きな骨董商の男性との 話で構成されるが 笠地集の父
の末期の病がメインとなると おもいきや 一転して後半は 山村聡と田中絹代の夫婦の確執に重点が移る どうも構成に難がある
別天地のためか ダメ夫 山村の猛烈な連続ビンタ とかあって 小津の激情ぶりに すっかり驚いてしまった こうゆう映画
とは思わなかったな とにかく小津は日本の家庭を淡々と描く作家みたいな面ばかりで 語られすぎるな 勉強になった
DVDのリマスターの画質は充分に満足のゆくもの これじゃ
ヒッチコックのリニュアルも見ないとなあ
ところでこちらは 本編110分だが 他のDVDは112分になってる あと「ワイルドフラワーズ」特典がなかった
廉価版みたいなのがレンタル用にあんのかな? DISCAS しっかりフルヴァージオンの使ってね
違和感こそ小津作品の醍醐味
投稿日
2006/10/23
レビュアー
parole
※このユーザーレビューは作品の内容に関する記述が含まれています。
レビューを表示する
リナさんがこの作品について違和感があると指摘されていますが、それは二つの意味合いで正しい指摘だと思います。
一つはまさに「作品としての調和」に欠けているという点です。本作はラヴァ様が言及されているとおり東宝で撮られ小原譲治がカメラを回しているのですが、厚田雄春との差異が、もっと言えば小津が完全にカメラの主導権を握り切れていないことが如術に現れています。その一番はっきりしているのは、不実な夫である山村聡が酒場で激情を吐き出すシーンで、半逆光の照明が山村聡の激しい表情の右半分だけを照らすコントラストの強いショットなど、松竹作品では、あるいは厚田雄春のカメラでは考えられないものです。また、ラスト近くの田中絹代と高峰秀子とが語り合うシーンにおける田中絹代が屹然と「宣言」する様子も他の作品とは一線を画していると感じました。私はこれはこれで異色感があり面白いと思いましたが、基調自体は小津調であるため調和が乱れていると感じるのはもっとものことだと思います。
もう一つは、台詞回しや物語の流れそのものに対する違和感です。リナさんは「お話の運びが乱暴なのです」と指摘されていますが、これはこの作品に限ったことではなく、実は小津の作品はいずれもいわゆるリアリズムからは決定的に隔たっています(と私は強く思います)。律儀というか厳格なまでの正面からの切り返しショットによる違和効果のため見過ごし聞き過ごしてしまうことが多いと思いますが、小津作品の会話はかなり生硬で日常会話としては無理があるものばかりです。個々の言葉遣いは長い時間をかけて言葉を練り上げているだけあってこなれているというかおかしな感じはしないのですが、言葉の繋ぎや会話のやり取り自体はギスギスしているというかスムーズには流れてくれません。物語の流れにしても、その気になれば突っ込み所満載であり、世に言う「日本的なるものの体現者」として小津というのは私には単なる神話としか感じられません。語りのうまさやスムーズさなら、木下恵介や黒澤明の方があるかに上だとすら言えるでしょう。
しかし、作品としての優劣、作品がもたらしてくれるものの深さや大きさとなると話は別で、個人的には木下惠介等とは比較にならないほどのものをもたらしてくれます。物語や会話の運びに違和感があるのに? 話の流れが強引でスムーズではないのに? そう、実はこの簡単には流れない、いや安易に流れはしない異物感、違和感こそが小津の醍醐味や凄みであり、小津作品の持つ多様性と開放感とを実現しているものだと思うのです。
小津はある時点からはそれこそ金太郎飴のような、同系統の、似たような物語構造の作品を作り続けるようになりますが、それは小津がこうした「家庭・家族もの」に愛着があったと言うこと以上に、確定し定着した物語構造を踏襲することにより、物語の語りや説明から解放され「映画表現そのもの」に執着したかったっからではないかとすら思っています。もちろん、小津は既に死去していますからこの疑問、過程に誰も答えてはくれませんし、そもそも正解などあり得ない代物でしょう。しかし、少なくとも小津作品は、このような仮定に対して作品そのもので答えてくれる、求めれば受け止めてくれる数少ない作家だと思います。
小津時間の大人たち
投稿日
2007/02/17
レビュアー
TETSUYA
名作「晩春」と「麦秋」の間に他社で撮った原作ものの映画化ということで、いつもとちょっと違うテイストの小津ワールドが堪能できる佳作。「晩春」→本作→「麦秋」の順番で観れば、本作の異色性がぼっこりと浮かび上がります。他作と比べて展開の起伏が激しくドラマチックです。その分小津ビギナーにはかえってとっつきやすいかと思います。
でも構図の美しさとか、永遠のお父さん笠智衆の登場とか、やっぱり小津ワールド全開ですよ。小津カラーに染め上げています。
永遠のお人好し上原謙ナイスガイぶりや、高峰秀子のおてんばぶりなど、割とヘヴィーな展開の中で笑いを誘い、ユーモアのセンスも冴えています。「新しいこととは、いつまでも古くならない(変わらない)こと」。小津時間の中にいつまでも浸っていたい。結局はいつもそんな気分にさせられます。
「人がやるから自分もやる」は良くないよ…父が優しく諭す
投稿日
2023/08/15
レビュアー
コタロウ(!)
銀座でバーを経営する三村節子は、求職中の夫・亮助、実妹の宗方満里子と実家で生活している。
家主である父・宗方忠親は、京都で病気療養中のため不在である。
満里子は、一向に就職しようとしない亮助、そんな彼に寛容な態度を取る節子に反発を覚えていた。
ある日、京都の忠親を見舞った満里子は、しばらく疎遠だった家具商の田代宏と再開する。
彼女は知っていた。結婚前、姉の節子が宏を愛していたことを…
小津安二郎監督作品。1950年制作。大佛次郎の新聞連載小説「宗方姉妹」を映画化した。
淑やかで古風な節子(田中絹代)、進取の気性に富む満里子(高峰秀子)、姉妹の対照を楽しむ作品だろうか。
節子と宏(上原謙)のメロドラマも絡んで面白くなりそうな気もするのだが、どことなく平板な印象…
そして、満里子の言動が成人のものとしてはかなり痛々しい。
一人称が名前、失言するとペロリと舌を出す、不満があると「イーッ!」と顔をしかめる等々、色々ひどい…
(原作では、他人の家で入浴後、全裸で主寝室に入り込み特注の豪華寝台で熟睡するという無礼な人だった)
本作の満里子は善人だ。天真爛漫なのだ、たぶん…とにかく嫌いにはなれない。
庭の鶯に「ホーホケキョ」と鳴き真似をし、「あ、ウンコした!」と囃す無邪気な様子は、いっそ愛らしい。
後半、姉への優しさと心配が混じった満里子の顔がアップで映し出され、高峰秀子の美貌が光った。
書斎に籠もって洋書を読み耽り、居酒屋で痛飲する亮助(山村総)の佇まいが不遇のインテリって感じ。
猫好きの亮助は、自分を慰めているかのように優しく猫を撫でていた。
まあ、本作では単なるクズ(節子に平手打ちを8発連打…)だったわけだが、原作では彼なりの苦悩が描かれていたように思う。
姉妹の父・忠親(笠智衆)が慈父だった。彼は対照的な長女と次女を分け隔てなく愛していた。
忠親は、苔寺の静けさと美を解する節子に目を細める一方で、古いものを嫌い新しいものを好む満里子も肯定していた。
彼が「『人がやるから自分もやる』は良くないよ」と満里子を諭すシーンには、心温まるものがあった。
俳優・高杉早苗を見たくて本作を観た。彼女は、会社経営者・真下頼子を演じている。
戦前、フランスに留学していた頼子は、同じく留学していた宏(上原謙)と知り合った。
頼子が真下夫人(夫は死亡)となった今でも、宏との関係は続いていた。
鷹揚で知的な頼子は、満里子に剥き出しの敵意を見せられても落ち着いていた。素敵だったわー…
(原作では、もっと素敵なのよ…大佛次郎は本作での頼子には少々ご不満だった模様)
奥行きを感じる忠親の借家、京都御所周辺を歩く節子と満里子、京都の風景など映像も素敵だった。
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