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海底都市「緯度0」を舞台に、万能潜水艦・合成怪獣たちが画面せましと活躍する壮大なスケールの物語が展開される。南太平洋で海底火山に巻き込まれた海底調査隊は謎の潜水艦アルファ号に救助され、海底に作られた平和な理想郷「緯度0」に案内される。しかしアルファ号を狙う悪の天才科学者・マリクは、岡田博士とその娘を誘拐。二人を助けるため、一行はマリクの本拠地に乗り込む。
この映画のタイトルは聞いた事がなかったので、たいして期待もせずに借りてみた。ところが、どうだろう!素晴らしいSF映画ではないか。神秘と未知の海底2万メートルに作られた超現代の科学基地「緯度ゼロ」、そこには人類の夢ユートピアがあった。まさに「夢と冒険の黄金巨編」の名に恥じぬ「100万ドル空想特撮映画の決定版」と言えよう。まったく、この予告編の名文句には恐れ入る。
この映画の冒頭、海底探索のためにつり下げられた探索球のワイヤーが切れて海底に落下し、海底人に救助されるという場面があるが、このような話を小学生の頃にSF小説で読んだ記憶がある。その小説でも海底に栄える謎の理想郷が登場したはずである。そのような既存の小説を参考にしたものかどうか私は知らないが、少年の日を思い出させるような魅力の映画であった。また、劇中に登場するライオンとコンドルを合体させた怪獣(グリフォンというらしい)や、大ネズミ、コウモリ人間については、昔、東宝怪獣図鑑で写真をみたことがある。こうして動画で再会できるとは感激であった。
なお、海底の理想郷は住み心地が良いところのようだが、人間は毒気を抜かれて性欲も減退しているらしい。人間が何百年も生きるという反面、子供がさっぱり見当たらなかったのは、ちょっと不気味であった。
「カルト」映画には要因があります。映画館で二度と上映されず、DVDで販売・レンタルされない。駄作でなく珍作なので需要はあるが、版権や思想条件についての壁がある。発売元はリスクを被る以上のリターンは見込めない。この映画の場合、多くの海外俳優が出ているので初期契約が曖昧で、VHS(これは日本版ありました)からDVDに変更するときに、海外出演陣(故人が多い)との交渉が揉めたか権利継承者が所在不明だったかでしょう。この映画のように障壁が解消されてDVDレンタルされると、「カルト」感は半減します。それでも、この映画には「カルト」感が濃厚です。
「緯度0大作戦」(1969年、東宝、カラー、89分)。6年前にも投稿しましたが、再見、再投稿します。
マッドサイエンティスト「マリク」(シーザー・ロメロ)は、部下で旧・愛人の「黒い蛾」(「黒鮫号」艦長:黒木ひかる)が作戦に失敗したので、嫌がる彼女に麻酔をかけて、その脳を、「グリフォン」という、ライオンに大鷲の両羽をつけた怪物の頭に移植する。
その前の話。海底火山の噴火で動けなくなった黄色い球形潜水艇の乗員は、潜水艦「アルファ」号に救助される。重傷の「田代健」博士(宝田明)たちは「アルファ」号の「アン・バートン」(リンダ・ヘインズ)医師の操る不思議な機械ですぐに治癒する。唯一人「ジュール・マッソン」(岡田真澄)博士は重体で、「アルファ」号の設備で治療できない重体で、「田代」は、「マッケンジー」(ジョゼフ・コットン)艦長に頼み、「アルファ」号の港がある「緯度0基地」に向かう。途次、「アルファ」号は「マリク」の「黒鮫号」に襲われるが、辛うじて回避。「緯度0」に回帰する。やがて、「コウモリ人間」「大ネズミ」そして「グリフォン」の襲撃に遭う。
【1】メカがいい。
「アルファ号」「黒鮫号」──初代「ウルトラセブン」(1967~1968)時代と同時代のシャープな造型。
【2】怪獣以外の特撮が、傑作。
海底火山の海上噴火、とくに海中噴火のシーンは大傑作。海中での、両・潜水艦の闘争も出色。
【3】役者
シーザーー・ロメロよりも、ロートン記者(リチャード・ジャッケル)よりも、日本の宝田明のほうが背が高く(当時183センチ)、黒髪で、颯爽としていて、断然、格好いい!
(ジョセフ・コットンとも、身長は変わらない。)岡田真澄もいいが、目立つ場面が少ないのが残念……。
【4】音楽
伊福部昭の音楽は、「キングコング対ゴジラ」の音楽に近い味わい。原始的な重み、熱気・活気がある。チェンバロを珍しく使う。
【5】 怪獣
「グリフォン」の脳には、「黒い蛾」の恨みがこもっている。初代ゴジラの中島春雄さんが中に入っているのですが、もっと大暴れしてほしかった。重い獅子の本体に、大きな両翼があり、ラドンのように操演できなかったから、中途半端になったのだろうか?
【6】本編と特撮の連携不足
「ゴジラ」初代から続いた、本編:本多猪四郎(1911~1993)、特技:円谷英二(1901~1970)の名コンビの最後の作品。特撮は、円谷から指示を受けた助監の「火薬男」中野昭慶が現場を担当したのではなかろうか?
やはり「カルト」の領域です。ヴェルヌ「海底二万マイル」と、ウェルズ「ドクター・モローの島」をぬけぬけと合体させた脚本にも乾杯。
便利なもので二、三サイトを巡ってみると、僕がこの映画の短縮版『海底大戦争』を東宝チャンピオンまつりで見たのは、74年のことだとすぐ分かった。併映は『モスラ』(もちろんオリジナルのリヴァイバル)だったそうで、そう言われればそんな気もする小学校中学年だ。
。当時の僕はたぶん『モスラ』目当てで行ったのだろうけど、期待していなかったこちらのほうが断然面白かったことは間違いない。予備知識がなかったので、思いがけない方向にどんどん転がっていく冒険物語にあっけにとられ、魅せられたことだけはよく覚えていた。
いまこうして三十年の時を経て見直してみると、冷戦を背景にしてのネモ船長めいた物語や着ぐるみグリフォンなどには微苦笑を誘われるが、どうしてどうして面白かった。もちろんノスタルジーゆえの加点はあるけど、冒頭の海底火山噴火、終盤のブラッド島大爆発の特撮は実に見事。大きな画面で見たらすごくいいだろう。
序盤の潜水艦同士の対決も面白い。いかにもミニチュアぽさはあるけど、潜水艦戦のパターンをそれなりに踏まえていて好印象だし、アルファ号が魚雷など武器を持たないというのもいいね。
それからああ、言わずもがなの伊福部昭の音楽。名作『第三の男』で知られるジョセフ・コットンのびっくりするような大活躍、宝田明、平田昭彦の特撮陣に加えて岡田真澄という嬉しい配役。
敵役のマッドサイエンティストの暴走ぶり(主人公らが基地に侵入しているのに改造手術に夢中とか)、物語を曖昧にしてしまう人を食ったようなオチなども楽しい。後年の『惑星大戦争』よりははるかにお勧めの、65点。