ブレードランナー ファイナル・カット

  • Blade Runner: The Final Cut
  • 2007
  • アメリカ
ブレードランナー ファイナル・カット
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    解説・あらすじ

    2019年、酸性雨が降りしきるロサンゼルス。強靭な肉体と高い知能を併せ持ち、外見からは人間と見分けが付かないアンドロイド=「レプリカント」が5体、人間を殺して逃亡。「解体」処分が決定したこの5体の処刑のため、警察組織に所属するレプリカント専門の賞金稼ぎ=「ブレードランナー」であるデッカード(ハリソン・フォード)が、単独追跡を開始するが・・・ デッカードとレプリカントのリーダーであるロイ(ルドガー・ハウアー)が対峙するクライマックス・シーンや、東洋と西洋の文化が入り乱れカオスと化した未来都市ロサンゼルスの描写は、後のSF映画に多大な影響を与え、現在でも様々な議論を呼び続ける映画史に残るSF映画の金字塔的作品!

    キャスト・スタッフ
    監督:リドリー・スコット 特撮:ダグラス・トランブル 原案:フィリップ・K・ディック 出演:ハリソン・フォード ルトガー・ハウアー ショーン・ヤング ダリル・ハンナ ジョアンナ・キャシディ エドワード・ジェームズ・オルモス ブライオン・ジェームズ ウィリアム・サンダーソン 
    作品・情報
    再生時間 : 01:57:46
    字幕 : 日本語
    音声 : 英語
    視聴制限 : <購入>無期限
    購入期限 : <購入>2021年10月31日 23:59
    対応機器:
    • TV
    • PC
    • Android
    • iOS
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    この映画のどこが好きなのかを自問してみる。
    投稿者:JUCE
    2008年07月20日

     見た当初はやはりそのビジュアルに魅了された。その圧倒的なビジュアルのセンスやインパクトがその後の映画に与えた影響を観てもこの映画のビジュアルは優れていると言えます。でも私をはじめ多くの人が魅了される理由としては不足です。
     そこでファイナルカットを観ながら、この映画のどこが魅力的なのかを私なりに検証してみました。
     まずはビジュアルの続きでいうと、「光と影」。「光と影」に関してはこれまでも優れた作品は沢山ありました。しかしこの作品が少し違うのは光は絶えず動いていると言うこと。「光」が動くと言うことは当然「影」も動きます。この「光と影」が移ろい、絶えず立場を入れ替えるというビジュアルはこの作品の持つ本質と大きく結びついていることが分かります。
     
     登場人物。「光と影」は登場人物そのものにも当てはまります。画一的なヒーロー像やヒール像では無く、それぞれが様々な側面をあわせもつ人物達。特に主人公のデッカード(ハリソン・フォード)のヒーローらしからぬ事。腕利きと言う割にはNEXUS6型にはまったく歯が立たず、いつもボコボコにやられる。かろうじて仕留めたのは女性のレプリ、しかも一人は背後から、もう一人もかろうじてという具合。逆にレプリカントのボス、ロイ(ルトガー・ハウアー)の格好良いこと。どちらかと言うとこちらの方がヒーローっぽいのです。原作者のディックはこうした設定はお気に召さなかったようで、レプリカントは悪であるという設定にして欲しかったそうです。私自身はこの曖昧かつ複雑な人物設定が物語りにリアリティを与えていると思います。人物像に関しては観客がそれぞれの人物の背景を想像する余地を与えてくれています。良く議論の持ち上がるデッカード=レプリカント説もそうしたうちのひとつだと言えるでしょう。
     デッカードとロイ、この2人のハードボイルドな生き様がたまらなく渋いのです。そのハードボイルドさはアクションとして描かれるのでは無く、存在からにじみ出る雰囲気で描写されています。

     そして最大のポイントが近未来社会のディティールのこだわりでしょう。この映画ではこうしたディティールについて映画の中で説明されることはほとんどありません。しかし良く(何度も)観ているとそのディティールの細かさには驚かされます。しかもそれまでSFで描かれてきた明るい未来社会では無く、国境のボーダーレス化による混沌、持てるものは空を飛ぶ車に乗り、摩天楼に暮らし、持たざるものは酸性雨が降りしきる地面で這いつくばりながら生活するというヒエラルキー社会。そして温暖化による動植物の減少を科学技術でかろうじて補うと言う、今の地球で遠くない未来に起こりそうなリアリティなど。過剰な説明を排除しながらもブレードランナーが描く近未来の世界観が揺ぎ無い形で構築されています。こうしたディティールを持った世界だからこそそれぞれの登場人物の個性もリアリティを持って生きてくるのでしょう。

     最後に映画のテーマ。「人間とは?」「生命の尊厳とは?」という哲学的とも言える問いかけが作品全体を通して投げかけられています。

     一本の映画でこれだけ議論や解釈が加えられ研究されている映画も古典を含めそう多くは無いのではないでしょうか。そんな作品に私がこれ以上どうのこうのというのも野暮ですのでこのあたりで(と言っても長文になってしまいました)。

    愛しき友よ!新宿でこの映画を観た26年前を私は決して忘れない!!
    投稿者:夢みるゆめ
    2008年06月16日

    「今度来るブレードランナー、凄いらしいぜ。皆で映画、観に行かないか?」と私に声をかけてくれたのは、同じサークルの男の子でした。こうして、新宿の『ミラノ座』辺りに、男女五人ほどで観に行ったのが、もう26年も前の話です。

    当時は、現在のようなCGの技術は殆どなく(『トロン』では使われましたが)、ミニチュアやフィルム合成による初代『スター・ウォーズ』然としたSFXで作られていましたから、どのように作られたのかを大画面で探りたいという気持ちもありました。
    しかし、この映画を観終わった後の正直な感想は、あまりにも先鋭的で物語も画面も暗すぎたため、全員が理解不明のまま不満げに首を傾げて映画館を出てきたのを憶えています。事実、この映画は余りの不評のため、上映が打ち切られる事態ともなりました。

    その後、当時の映画仲間と顔を合わせる機会は極端に少なくなりましたが、映画学校のクラスメイトの数人は映画監督となり、数人は脚本家として、現在もさほど目立った仕事ではありませんが、トータルに仕事をこなしている様子を拝見しています。
    『ブレードランナー』を観終わった後に、喫茶店でしばし映画談義をした後に、級友の男の子がこんな言葉を発して解散したのを思い出します。
    「なあ、皆、どんなに落ちぶれてもさ、映画を創る立場でいようぜ。絶対に『評論家』にだけはなるな!あいつらは映画を作りたくても作れない可愛そうな連中なんだからさ!映画を沢山観て映画監督になれるなら、『映画評論家』は巨匠になれるゼ。小説を誰よりも読んだ人間が作家になれるんだったら、『文芸評論家』は文豪になれますって!」
    たとえ『映画評論家』にはなってはいなくとも、現在の私が“そのような”レビューをこうして書いたりしていることを知ったら、彼はどう思うのかなと、時折頭を過ぎります。

    考えてみれば、映画やテレビ業界へと着実に進出して行ったいわゆる『勝ち組』には、一つの共通点がありました。それは、皆の輪の中では決して『映画批評』を交わすことはせずに、好きな映画を模倣しつつも、学生時代から黙々と台本書き(脚本執筆)をし、自主映画を作っていた人たちでした。
    彼ら彼女らは、映画を“批評する立場”よりも、辛辣でも“批評される立場”にいることの方が、絶対的に自らが幸せであることを、知っていたのかも知れません。おそらく、小説家になれる人間にも、これと同じようなことが言えるような気がします。

    話を『ブレードランナー』に戻しますと、当時はまるで意味が解らなかった映画にも関わらず、今回で何度か同じ物語に目を通している眼力も備わったためか、リドリー・スコット監督は、アンドロイドと人間の“生と愛”の形を“ポエム(詩)”として描きたかったのだろうかな、と推測することができたような気がします。
    物語は特異でも、そのカットやシーンは、さすがに詩的な構図と映像美を感じました。
    『2001年宇宙の旅』と同じように、65339cフィルムでSFX部分を撮影し、35339cフィルムと合成しているその色彩は、相変わらず荒を感じさせないすばらしい出来になっています。
    ただ一点、現在この映画を観ていて、とても不思議に思うことは、舞台となる2019年の地球には、空飛ぶ自動車はあっても、携帯電話はないんですよね。それほどまでに現代社会の中での携帯電話の進化は画期的だったのかも知れません。
    単純なんですが、そんなことを、今回の鑑賞で感じました。劇場公開版と、今回の『ファイナル・カット』との違いは、アクションシーンよりも会話部分が若干増えたような気がしています。それだけ、人間ドラマの部分の成長を感じたような気がします。

    この映画は大作にも関わらず、公開当時『サウンドトラック』が発売されなかったことが、静かな話題となりましたね。後に、ファンからの要望が余りにも強く、急遽、新たに録音用のオーケストラを編成することもなく、オリジナルテープから制作された『OST』が発売されましたが、それは私が持っているコレクションの中でも、とても大切な一枚として今も大切に保存し、時折聴いています。そして、この『サントラ』を耳にする度に、あの頃の想いも蘇ってきます。
    『評論家』だけにはならない・・・!とにかく製作する立場でいたい・・・!
    勝ち組の友人ほどには直接的に映像製作には関わっていませんが、私も自らの職場で今も、必死に製作者でいようとする気持ちだけは、持ち続けています。

    「いやあ、映画って本当にいいもんですね」の名言を遺した『映画評論家』の水野晴郎さんだって、最後には製作者側に立っていたではありませんか!
    撮影中の怪我がもとで、命を短くしたと聞いていますが、それほどまでに映画を愛した水野さんの、人を薫陶する魅力と力に敬意を払うと共に、心よりの御冥福をお祈りしたいと思います。

    雨の中の涙のように。
    投稿者:spider
    2008年04月26日

    オリジナル公開から25年、リドリースコットがオリジナルネガを修復、新たなデジタル処理を施したリマスター版で、サウンドも再編集され、本人曰く「ブレードランナーの理解者に、最も熱心なファンのために。」

    同時に「クロニクル」としてレンタル開始される「オリジナル劇場版」(1982)、「インターナショナル劇場版」(1982)、「ディレクターズカット版」(1992)と見比べてみるのも一興。(特にオリジナル版は今回初DVD化なので、これまでディレクターカット版しか見たことがなかった人にはかえって新鮮かもしれません。)

    この作品に関しては、私より詳しい方はいくらでもいらっしゃるでしょうから詳しくは触れませんが、リマスターされたこともあって、光と影の織り成す映像は信じられないほど美しく、ヴァンゲリスの音楽に彩られたノワールの世界にどっぷり浸ることができるでしょう。

    ああそれにしても、ロイ・バティを演じるルトガーハウアーの何と完璧なことか。「炎に包まれて天使たちは落ちてきた。」ブレイクの詩篇を口ずさみながら地上に降り立った彼は、自らの不完全な肉体を直させるため、創造主たる遺伝子工学の神と対峙しようとする。一方、デッカードは「人間に似て非なる者」を狩る立場として登場するが、彼らのアイデンティティーを追及するうちに、いつの間にか自らのアイデンティティーを自問せざるを得ない状況に追い込まれていく。

    「死ぬ時だ(time to die.)」中盤、レオンがデッカードに対して吐く台詞と、ロイが最後につぶやく同じ台詞は全く異なる意味を伴って私たちにつきつけられる。

    「おまえたち人間には信じられないものを俺は見てきた…。」追う者と追われる者、人間とそうでない者の境界線はもはや滲んで見えない。この物語の勝利者は誰か、果たして勝利者はいるのか。私は何者なのか、あなたは何者なのか。ロイの問いかけは、傍観者であるはずの私たち(観客)にも向けられている。

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