「動画見放題※1&定額レンタル8」 プランに入会して
神など信じずに生きてきた90歳のラッキーは、今日もひとりで住むアパートで目を覚まし、コーヒーを飲みタバコをふかす。いつものバーでブラッディ・マリアを飲み、馴染み客たちと過ごす。そんな毎日の中でふと、人生の終わりが近づいていることを思い知らされた彼は、「死」について考え始める。子供の頃怖かった暗闇、去っていった100歳の亀、“エサ”として売られるコオロギ ― 小さな町の、風変わりな人々との会話の中で、ラッキーは「それ」を悟っていく。
90歳で独り暮らしの、生真面目で融通の利かなそうな老人ラッキーの、何の変哲もない変わらぬ日常の生活が描き出される。趣味はクロスワード。煙草は必需品。朝は行きつけのダイナーに、それから決まっていつもの雑貨店に立ち寄り、夜はエレインのバーに。帰るとお気に入りのテレビのクイズ番組を見る。ひたすらラッキーの変わらぬ日々のルーチンを見るだけなのかと思っていたら、毎日は同じように見えて少しずつ違う。
何というこの飄々としたシュールな展開は?と面喰っていると、いつのまにか彼の生き方を受容して、共鳴している自分に気づく。10歳の少年の誕生日パーティで、マリアッチの演奏と共に歌われる誕生日を祝う優しい歌と、突然ラッキーが歌い出す、哀愁を帯びたラブソングが、そこに花が咲いたかのように美しい。
密かに死を恐れながらも受け入れて、彼はきっと静かに微笑んで、哲学的に人生を終えることだろう。人は生まれる時も死ぬ時もひとり。無から始まり、無にかえる。
2017年(アメリカ)
「パリ、テキサス」に主演した名脇役ハリー・ディーン・スタントン。
その彼はこの映画の公開後、91歳で亡くなってしまいました。
遺作です。
「ワビとサビ」と言う日本語が似合うような彼は、でも根っからのアメリカ人。ケンタッキー出身です。
映画の舞台はアメリカ南西部と言うけれど、サボテンが立ち、
スペイン語が飛び交い、まるでメキシコみたい。
主人公“ラッキー”の日常が、ただ細やかに描かれるだけの映画です。
人間が90歳を迎えたら、日常生活はこんな感じですね。
“ラッキー”さんは幸運な事に、
自分の足で歩ける。
タバコを吸える。
お酒(ブラディ・マリー)も嗜む。
クロスワードパズルも日課です。
ボケてなんかいませんよ!
それでも、そんな元気な“ラッキー”にも迫り来る「死の恐怖」
ある日めまいで倒れてしまうのです。
急に「死」を身近な事として意識します。
しかし、そんな重い話ではありません。
ミュージシャンとして、スペイン語で一曲、そしてハーモニカの演奏も聴かせてくれます。
ハリー・ディーン・スタントンさんの「マイウェイ」
彼の人生と重なる、
そんな愛おしい映画でした。
TSUTAYA TV(動画配信サービス)とTSUTAYA DISCAS(宅配レンタル)の2つのサービスを月額2,659円(税込)でお楽しみいただけるプランです。
お試し期間終了後は、「動画見放題&定額レンタル8」「動画見放題」「定額レンタル8」いずれかのプランに移行することが可能です。
ハリーディーンスタントンが演じるのは、みんなから「ラッキー」と呼ばれている90歳の男性です。結婚していなくて子どもがいなくて、一人暮らしです。当て書きされた脚本なので、ラッキーの人生がハリーディーンスタントンの人生と重なって見えます。ある日突然めまいで倒れて、心配になって病院を訪れます。医師は「年齢の割に君はすこぶる健康だ。加齢によるものだ。」と言いました。それからラッキーは自分の死を強く意識するようになります。怖ろしくてたまらないときもあります。死がそんなに遠くない状況でも、ラッキーは毎日を淡々と生きてゆきます。何か変わったことが起こるわけではないけれど、毎日が愛おしい、最後には微笑むだけです。90歳なので顔も体も、しわしわほそほそです。最初は奇異に見えたその姿も、最後には神々しく見えました。老いや死は避けられないのでわたしも老いるときは、LUCKYさんのように老いたいです。