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1912年、処女航海に出た豪華客船タイタニック号。新天地アメリカを目指す画家志望の青年ジャックと上流階級の娘ローズは船上で運命的な出会いを果たす。身分違いの恋を乗り越え強い絆で結ばれていく2人。しかし不沈を誇っていた豪華客船は皮肉な運命に見舞われる・・・・・・。
この映画ですごいのは、特撮です。
船が斜めになって、人がすべり落ちていって、障害物にあたって、ぐにゃんとしてはねかえって。
こういうのは見世物としての映画らしさに溢れています。
それ以外は、普通です。
初見のときは、ネタとして消費しつくされた現在ほど陳腐には思いませんでしたが、キャメロンはいつものキャメロンなので、ドラマ部分は退屈でした。
というわけで50点。
作品そのものの評価としてはF-14 Tomcatさんが引用された淀川長治さんの台詞「悪くはないがいい映画でもない」に尽きる作品だと思います。公開時に劇場で見た時にはずいぶん大仰な作品だなぁと思いましたが、映画のアトラクション化(もしくはディズニーランド化)がより進んでいる今日においてはむしろ慎ましくさえ感じられますし、今観てもさほど古さを感じさせないCG(VFX)は実写を補足する手段としての先駆的な利用方法だったという点から見てもなかなかのものだったと言えるのではないでしょうか。映画史に残る傑作などと言われると「どんな映画史じゃい!」と激しい突っ込みを入れたくなってしまいますが、マイ映画史に残ると言うことならそんな評価もあり・・・許せてしまえる作品だと思います。
私個人としてはもちろん大した評価はしていませんが、一点だけ例外的に積極的に評価したいと感じている部分があります。勝王さんが「変なポーズを船の上でキメ」たと指摘され、masamuneさんが「恋愛部分では~オマージュが感じられ」と微妙な物言いをされたシーンがそれで、これはほぼ確信犯的にレオス・カラックスの『ポンヌフの恋人』からの引用なんですね。ただし、私が知る限りジェームズ・キャメロンはこのことに触れていませんし、彼が製作した作品のタイプから推測するに作品全部を見ていない可能性も低くありませんからとてもオマージュなどと言うことはできず、さりとて剽窃とまでは言えないというところだと思います。
もっともこのシーン自体は勝王さんならずとも「変なポーズ」だと私も思いますし、感動的な音楽に乗せた感動的なシーンという私が最も嫌いなタイプのシーンですから、シーンそのものにはさして感動はしませんでした。『ポンヌフの恋人』のラスト・シークエンスからの引用であるという一点だけがその限りにおいて感動的だったわけですが、実はこれにも背景があるのです。と言うのも『ポンヌフの恋人』の件のシーンは、これまたジャン・ヴィゴの『アタラント号』からの引用であり、こちらは間違いなく意識的なオマージュとして用いられているものなのです。
つまり、『タイタニック』の舳先の二人のシーンに、レオス・カラックスの『ポンヌフの恋人』の感動的なラスト・シークエンスが重なり、その背後には奇跡のような作品『アタラント号』への愛と慕情が満ち溢れており、この二重に重なった幻影がともて感動的だったと言う訳なのです。まるでウルトラ三段論法のような繋がりですが、このような横滑り、偶然の出遭いこそが映画的と言うことなんだと思います。
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勝王さま、私と違って広いストライク・ゾーン(幅広いジャンルの考察)をお持ちで感服します。これからもご教授願えれば幸いです。そんな勝王さんが「バカデミー賞」と名づけた本作、激しく同感です(笑)。因みに私が選ぶなら当然「L.A.コンフィデンシャル」ですが、他の作品賞候補は「グッド・ウィル・ハンティング」「フル・モンティ」「恋愛小説家」ですから、選りによって?が正直な感想。アカデミー賞とは外部の評価を締め出し内輪で決める談合だ、とも言われますがこの年は勢いで決めた感は拭えない。私的には長年「007」で頑張ってきたPeter Lamontが美術賞を得た事は嬉しかったが、ソレだけ。談合利権のOscarではなく、全米批評家協会賞(NATIONAL SOCIETY OF FILM CRITICS AWARDS)の方が数段信頼出来ると思う(本作は無視された、作品賞はL.A.コンフィデンシャル)。本作を低く評価する理由は、偏に脚本が単純(単調)だから。私の様なスリラー好きから見ると「2人の愛を盛り上げる為にタイタニックが沈む」だけですから・・・。映画通なら1958年の「SOSタイタニック」が本作の元ネタである事は周知の事実ですが、作品の質から言っても本作は数段落ちると言わざる負えない。同じ船が沈む映画で「ポセイドン・アドベンチャー」と「ポセイドン」の様に出来が月とスッポンな例に洩れず、本作も原作へのリスペクトなど微塵も無く(怒)あれだけ大規模な海難事故で甚大な犠牲者が出てるにも関わらずCeline Dionの「My Heart Will Go On」で締めくくるのは如何なものか?!。とまあ辛口のオンパレードですが(笑)、映画通っぽく言えば本作は恋愛部分ではフランス映画「ポンヌフの恋人」へのオマージュが感じられ、脚本の軸としては「ある日どこかで」を髣髴とさせるシーンも有る。しかし、肝心のロマンスが一本調子で、他の乗客との人間模様も希薄なまま物語が終ってしまうのも評価を落とす原因。更に言えば「なぜ2人が過酷な運命を乗り越えてまで結ばれようとしたのか」という最も肝心な部分が語られてない点も、不味いと思う。時間が無かったと言えばソレまでだが(上映時間189分!)ラヴ・ロマンスとスペクタクルとのバランスの欠如が本作の最大のアキレス腱だと思う。前出のOscarでも脚本賞だけはノミニーすらされてない点からも、本作の真の評価が透けて見える。おそらく本作を低評価する方は過去のOscar作品賞「ベン・ハー」「風と共に去りぬ」などと同系列で語る事に嫌悪感を感じるからだと思う。本年度の作品賞「ディパーテッド」同様に誰一人俳優が賞を取れなかったのは、Oscarらしいバランス感覚だが、本作も作品賞を獲得しなければ、こここまで辛口に言われる事も無かったかも?ね。
。と辛口なコメントとは裏腹に私は劇場で2回見た(見せられた)。一回目は私が「なんじゃコリャ」と言って友人に殴られかけた(汗)。二回目(違う友人)は「好きな男が死にそうなのに、自分だけ助かろうとするのはおかしい!私なら一緒に沈む!」と怒っていた・・・。映画というのは面白いものですね。