月に祈るピエロ

　何も知らずに借りたら、映画ではなく、テレビのスペシャルドラマでした。内容もそれ相応。平々凡々と過ぎていく日々の暮らしに倦み、変化を渇望する気持ちを描いています。

　清流の流れる山間の小さな町、41歳の玉井静流（しずる）は、恋愛に失敗した過去があり、今は病院の受付をしながら、実家で、多少介護の必要な祖母と口うるさい母との３人暮らし。昔好きだった絵本「月に祈るピエロ」をネットオークションで購入したことをきっかけに、売り主の、東京に住む商社マン戸伏航とのメールや電話での交流が始まる。

　結婚もせず、40代になり、変りばえしない日常に苛立ち鬱屈した、揺れ動く独身女性の気持ちがリアルに描かれています。ただ、常盤貴子がきれいに演じているので、切実感は薄め。ふたりの関係がどうなるのか、観る人の想像に委ねられた終り方です。

私が、この作品の最初のレビューを投稿できるなんて光栄です。シンプルな内容でしたが、常盤貴子と谷原章介の持ち味が良く出ていました。最後の駅での出会いの場面には感激しました。近頃、高齢の私には、洋画よりも邦画が良くなっています。