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ハナとアリスは同じバレエ教室に通う中学生。あるときハナは通学途中で出会った手塚高校の宮川先輩を好きになる。翌年、ハナとアリスは一緒に手塚高校に進学。さっそくハナは宮本先輩が所属する落語研究会に入部すると、先輩の尾行を開始した。下校途中、先輩がシャッターに頭をぶつけて気絶するアクシデントを目撃。慌てて駆け寄ったハナは、先輩の意識が朦朧としていることがわかるとなんとも大胆不敵な嘘をつく。一つの嘘が更なる嘘を呼び、少女と少年の可愛らしい三角関係が、色々な人々を巻き込んだトリッキーな三角関係へと変貌を遂げる。
全体の映像の美しさとバイオリンの音楽にうっとりしてしまいます。花とアリスのやりとりが面白く、ぼーとした感じの宮本とのコンビが絶妙にいいです。非常にオススメする作品!!
自分は男ですが、花と同じ気持ちになって泣いてました。
「じゃあ、しょうがねえ。、うちのを出して使え・・・」
花の落語のオチです。ケチ話のスタンダードなマクラで、桂三木助の「死ぬなら今」や、桂米朝の「始末の極意」なんかのマクラろして使われましたねえ。まあ、それはどうでもいいのですが(笑)
邦画をなめちゃいあんなあと思い知る作品ですね。
岩井俊二の作品は、実は初めてです。なんか、わかりづらいんじゃないかと思って敬遠していたのですが、これはとてもわかりやすい青春譚です。
最近の「恋空」だの「赤い糸」だので、
「今は時代が違うのか」
と青春ストーリーは苦手分野になっていたのですが(「天然コケッコー」や「サマータイムマシン・ブルース」は好きです)これはいいですねえ。最近の青春ドラマは、観ていてどうしても親目線になってしまうのですが、この作品は自分も青春時代に戻ったような感覚になりました。
花もアリスも結局、思春期特有の自己中な若者であって、そういう面は今も昔も変わらないのでしょう。「恋空」「セカチュー」も、同じく自己中な若者のストーリーでありながら、この作品に不快感を覚えないのは、その根底にある世間知らずと無邪気さ、それを若き日の自分も持っていたことを思い起こさせてくれるからなのでしょう。
宮本雅志を演じた郭智博。どこかで見たと思ったら、先日NHKでやっていた「七瀬ふたたび」でヘンリーだったですね。
鈴木杏と蒼井優。甲乙つけがたいのですが、やはり蒼井優のすごさが目立ちます。顔だけで言えば、鈴木杏の方が断然可愛いのに、役柄のせいか、観ているこちらも徐々にアリスに惹かれていくまーくんの気持ちになるのですね。
蒼井優のバレエシーンは見事の一言です。最後のアラベスクなどは、うっとりするほど綺麗ですねえ。クラッシック・バレエをやってたんですね。「フラガール」を観たときに、その体幹の確かさに驚き(先生役の松雪泰子よりもよっぽどしっかり踊れていました)あれだけのフラを踊れるようになるには、ものすごい訓練があったのだろうと思ったのですが、下地がきちんとあったんですねえ。
本人たちは真剣でも、他人の恋愛模様ってえのはこっけいな物だというのが、見事に表現されていて、笑いながら、映画の中に引き込まれていきますね。
大物俳優がカメオ出演のようにたくさん出ています。それだけ、岩井俊二の世界を認めている人が多いと言うことでしょうね。
木村多江なんて、仕事が出来るクールな秘書とか、物静かな奥様のイメージしかなかったんですが、こんなにアクティブな面もあるんですね。相田翔子もねえ・・・。テリー伊藤なんか台詞すらないです(しゃべらない方がいいんですけどね・・・笑)
ストーリーは、これといった捻りも無い、他愛の無い恋愛ゲームのようなものです。というよりも、かなりいい加減で出鱈目な話です(笑)でも、その展開をゆったりと表現していく(悪く言えばダラダラと長いのですが・・・笑)映像美は、その光の使い方と相まって、ハンドカメラのブレ映像さえ、非常に心地よいものになっているのです。
まあ、中途半端に長いんですよね。映画としての135分は長いけれども、それでも表現しきれない部分がたくさんあるのではないかと思います。元々、キットカットのCMのショート・ストーリーをふくらませて(岩井俊二が、CM出身だと言うのも知りませんでした・・・恥)作った作品らしいのですが、もっとふくらませて、連ドラにした方が良かったのかもしれません。まあ、その場合は、こんなにゆったりとさせずに少しメリハリを利かせた演出にしないとつらいでしょうけど。
こういう甘酸っぱい青春ストーリーであっても、あざとい演出で泣かそうとせずに、淡々と進みます。アリスと父のシーン等で、ほろっと来そうになっても、さらっとはぐらかされてしまいます。けれど、最後、舞台袖で花の帯を直しながら、花の謝罪告白を聞いていた宮本が発した言葉で、堤防が決壊しました(笑)
なんとも、暖かい気持ちになれる秀作であると思います。
「リリィ・シュシュのすべて」も観なきゃあ!
しっかり、久々の岩井ワールドに、はまってしまった。見終わって、とても後味の爽やかな良い気分になれました。前作の『リリイ・シュシュのすべて』以外の作品は、すべて好きでした。リリイだけは胸が痛んで、辛くて、苦手でした。この作品は、二人の仲良しのおてんば少女のありえない嘘が、真になる。ほろ苦い青春の痛みも自然。また、こんな子いるな~って思える二人。今、旬の二人の持ち味が、遺憾なく発揮されていました。落語の「寿限無」の暗記に没頭する宮本少年、このボケさがまた良い。あの顔、この顔と脇に沢山の俳優がチョイ役で盛り上げて、笑えるシーンもあり、ほんと楽しかったです。ラスト、蒼井優さんのバレエのシーンもとても素敵でした。さすが映像もきれいです。岩井監督作は、こうでなくちゃ!一見の価値ありですよ。