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松田龍平主演。『ピンポン』などで知られる松本大洋の同名短編集コミックを原作に描く、ある男子校を舞台に繰り広げられる不良学生たちの痛切なまでの青春群像。
この映画は学校の敷地内をほとんど出ない
「エレファント」と同じ 鬱屈と閉塞感 生徒は知ってる
外に逃れても 同じ構造の世界が待っているだけ 外からの誘いを怠惰に待つのみ
「エレファント」のステディカムが ひたすら滑らかに 水平に移動し そのデスコミュニケーシオンの世界を描くのに対し
「青い春」は階段を上ったり下りたり 垂直の運動を追う
あたかも外への絶望と退屈が 違う空間をめざすように
そこで屋上が彼らの 希望と想像力の限界であり 敗者は落下するのみ
おれ 空に背がとどくほど でっかくなれねえかな
すっぱだかの巨人だよ でもそうなったら 空を
やっちゃうかもしれねえな 空だって色っぽいよう
・・・谷川俊太郎
『クローズZERO』を見た直後なので本作との対比がとても面白いです。
同じ学校スタジオでの撮影ですね。頻繁に出てくる屋上も落書きが違っているだけで同じです。登場人物も学校の中で番長(テッペン)になる男が主人公であるというところまでこの両者は同じです。
『クローズZERO』の主人公は「海のような人」時に荒々しく、でも本当はゆったりと包んでくれるような人。そしてこの『青い春』の主人公は「空」のような人。透き通るようでそして冷めたようなまなざしで全てを見つめている。そしてなんといっても「空」に恋してる。あれっどこかの映画のちょっとおバカな女の主人公が同じ様なことを言ってましたね。
この学校の主人公はとにかく学校の「テッペン」が好きなんです。しかし『クローズZERO』の「テッペン」と同じ意味では無く文字通り学校の屋上。そこから風景や人物を眺めるのをこよなく愛する普段は物静かな男なのです。孤高な雰囲気と危険さを感じさせる存在感、松田龍平の当たり役ではないでしょうか。
『クローズZERO』を見た後でこの作品を観ているので、相対的に本作の評価が上がっているかもしれませんが、「青春の蹉跌」「青春の苦悩」などを良く表現できていると思います。「青」っていう色は何処までも青いと悲しいんですね。
この映画はその昔中高生の頃に校内暴力が騒がれた時代を経験している年代ならば、感じるところが多いのではないでしょうか。ちょうど私と同じ40代の頃です。今の若い子が見るとちょっとアナクロニズムに感じるかもしれません。
最初から最後まで張りつめた「青さ」を感じる映画でした。その中でひとつの光として登場するのがレビュータイトルの台詞を話す短躯の教師です。
登場人物の心情は詳しく描かれることはありませんが、映画の中から十分に心の動きを感じ取ることが出来ます。ちょっとスタイリッシュな部分に目が行ってしまいがちですが結構丁寧な演出だと思います。
明るくない青春映画が好きな方は是非お試しあれ。
瑛太もちょと面白いキャラクターで登場するのですが、この頃は「EITA」という芸名だったんですね。