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人生何があっても、「生きること」を楽しんで。
91才(撮影当時)の絵本作家・ターシャ・テューダーの日々を捉えたドキュメンタリー。
折々に紹介される彼女の作品が愛らしい。
バーモント州にある農家風コテージ「コーギーコテージ」が彼女の住まい。
美しい庭、愛犬メギー、雄鶏チカホミニー、手書きのレシピで焼くお菓子、
大きなモミの木のクリスマスツリー…
彼女の絵本そのままの生活である。
ターシャは「アメリカが最も輝いていたのは1830年代」と語る。
短髪、丈の短いスカートという1920年代の流行に背を向け、
裾の長いドレスとボンネットを身に着けていた若き日のターシャ。
アーミッシュにも興味を持っていたそうだ。
1960年代に入っても電気や水道のない生活を5年も送っていた。
19世紀の装い、暮らしが、彼女の理想なのだ。
古き良きアメリカの暮らし、金髪の女の子シルヴィー・アンが登場する絵本。
彼女の価値観はどうだったのかな。
その辺、特に踏み込んでいないけど。
まあ、そういう作品じゃないんだけど…
ターシャの素朴な生活の影には、長男セスと彼の息子夫婦の献身があった。
彼女は庭が盛りを迎える2008年6月、天に召された。
1915年、ボストンの名家に生まれながら、社交界に背を向け農場暮らしを愛したターシャ。
彼女自身も語っていたが、幸せな一生だったと思う。
ターシャの死後、遺産争いがあったとwikiで知りました。
老親の介護には係わらないけど、死んだら出張ってくる親族…
という構図を連想させて生臭いわー…
初めてターシャの庭を見たとき、植物が自然でありのままに生き生きしていて
なんて素敵なんだろうとわくわくした。
そして、その植物たちを愛おしそうに見つめる小さなしわくちゃのおばあさんの姿を見て、
なんて可愛らしいんだろう、そう思った。
でも、テレビやなんかで実際動く彼女を見て、全く印象が変わった。
かわいいおばあちゃん、
じゃなくて、すごく頑固で負けん気の強い芯の強い女性。
横に並ぶのは鉄の女と呼ばれたサッチャー元首相。
声が重たく、鋭い。
見た目の小さなしわくちゃのおばあちゃんからは想像できない強い声。
誰も逆らえない威圧感がある。
年をとると腰をかがめられない。
動けない。
ターシャは、自分は動けなないが、その声で子供や孫、子供の奥さんに指示を飛ばす。
動けないけれど、司令塔になりターシャ帝国に君臨する。
一人がすきなの。
きっと、こうつぶやいて雪を見つめる彼女は、若い頃多くの人とぶつかってきたんだろうなあと
想像する。
真っすぐで、自分を信じ、自分を曲げない。
譲らない。
悪く言えば協調性ゼロ。
でもその頑固さが、彼女の中にある大きな世界をアウトプットし、あの素晴らしい世界を
築かせたのだろう。
嫌いなものは、堅苦しい庭。
何かをやりたいと思ったらすぐ始める。
語るのではなく動く。
人生は短い。不幸になっている暇はない。
小さな選択のひとつひとつが人生を作る。
第一次世界大戦も第二次世界大戦もくぐりぬけ、90年間生き抜いてきた彼女の言葉は、
いずれも人生のなんたるかの核をつき、心にすとんと落ちてくる。
ターシャもそうだけど、わたしがすきだと思う庭の主はものづくりに携わっている人のものが
圧倒的に多い。ドリス・ヴァン・ノッテン、デレク・ジャーマン。
庭師の作り出す庭よりも、個人的な庭の方が、人柄が現れていてなんだか惹かれる。
ただ、すき、
が純粋につまっていて心地よい。
わたしの庭はまだ半年。
これから何十年もかけて、あそこまで到達できたらな。