結婚

この結婚詐欺師の古海健児はディーン・フジオカ以外に考えられないはまり役でした。
ある時は小説家、またある時は空間コーディネーター、と職業を偽り、
市役所勤務の女(安藤玉恵)
家具屋の店員(中村映里子)
キャリアウーマン(松本若菜)
被害者から共犯になった女(柊子)
の4人から100万円程度の金をだまし取る。

女性の「結婚願望」を巧みに点く、ディーンの話術、端正な容姿、
寂しげな横顔・・・騙されるだろうなぁと思わせます。
そして後半に現れる「鍵を握る女」の役で萬田久子が出ています。
萬田久子の役は、とても重要です。
ディーン・フジオカの甘さと安っぽさ、まがい物ぽさ、嘘臭さが、
結婚詐欺師にピッタリ似合うんですね。
大人のライト・ファータジーでしょうか？
観終わって哀しい男の生い立ちと半生が、クッキリと心に残りました。

ディーンの美しい時間を保存するための映画、という印象でした。
ディーンさんファンには、いいでしょうね。ずっと出ています。

萬田久子さんが出て、引き締まったと感じたことと、貫地谷しほりさんは、役柄によって、ずいぶん印象が変わる女優さんだな、と思いました。素敵でした。

結婚詐欺師だから女性は騙されて本来なら悔しかったり、怒ったりするのだろうけど怒りながらもまだ彼に未練がいっぱいなのはなんとなくわかる気がします。ディーンフジオカさんのような詐欺師なら許してしまいそう。いっときでも夢を見させてもらえたのだからいいのではと思ってしまう。ただ夢を見させてもらうためには相当ないい男ならと思う。中途半端ではだめだと思いました。

なんとなく結婚は幻のような気がして見ていたのでやっぱりと思いました。だましてる加害者なのになぜかかわいそうに見えました。ラストの方で色々見えてきて見ていて切なくなりました。萬田久子さんの役柄はすごい合っていて良かったです。