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それは、少年の日のひと夏の出来事。あるギムナジウムにいた個性的な4人グループの中でも、大人たちに批判的で、上級生に対しても堂々たる態度でのぞむリーダー格のマリオンは、全ての生徒の羨望の的だった。市長の娘で、誰もが憧れる容姿と知性をもった少女レダニアも、マリオンにひそかな恋心をもっていた。互いに惹かれあいながらも、幼さゆえにとまどい、進展しないレダニアとマリオンの恋。そんなマリオンの揺れ動く心を救ったのは、森のはずれに住む高級娼婦サラだった。大人の女サラによって恋の手ほどきを受け、ひとときの幸福に酔いしれるマリオン。子供から大人へ、一歩先に歩みだしたマリオンの変貌を見つめる仲間たち。嫉妬やいらだちにさいなまれ、羨望を抱き、あるいは自分のうちに眠るマリオンへの想いに気づき、ある者は嘘をつき、感情に流され、ドラマは意外な方向へ展開していく。
猫は扉を探してないよ…と書こうとしたら、もう先に書かれてた。しかし、あれこんな
のあるんだ懐かしいな程度で観てみたら、結構つっこんだ作りで驚かされた。
原作は竹宮惠子が乗りに乗っていた頃の短編。マリオンはジルベールのようで『風と木
の詩』に繋がる習作のような作品と言える。
これはその原作に忠実な短編映画、演出は あら珍しやの真崎守。なんだか出崎っぽいな
と感じたのはマッドハウスの癖のせいか。両者の特有のクセを最小限に抑えて、竹宮の絵
と雰囲気を壊さないように腐心している。
ギムナジウムが舞台となれば思い出すのは萩尾望都の『トーマの心臓』。両巨頭のせいで
美少年達の青春群像を描くには、日本の男子校の学生寮じゃダメ、ギムナジウムじゃなきゃ
って固定観念が作られた。(そして薄幸の美少女はサナトリウムに居る)
驚くのが、伯爵の愛人サラが美少年マリオンとの快楽に溺れるシーン。表現は抑えられ
ているものの、原作ではさらっと描かれていたベッドシーンが、やけに尺を使って
描かれていて、これ、当時としては冒険だったろうなと感心する。もう一つの問題の場面
クロードがマリオンを襲うシーンがあっさりなのは…まあやむをえないか。
オフシアター公開で、商業的には期待せずに作られたもののはずだが、キャストは豪華。
解説には「オフシアター=一般劇場で無い、映画上映が可能な文化施設)での上映の活性化を
狙った東映が、全国200カ所のホール会場で公開した」とある。
どんないきさつでそんなことが企まれたのか分からないが、根付くことにはならなかった。
しかしこれ、文化施設で流す内容とは、到底思えないんだけど(苦笑)
「地球へ…」がテレビアニメ化されて、竹宮惠子先生の作品を懐かしく思っていたら、DISCASさんに「夏への扉」があったので、レンタルしてみました。
竹宮先生の作品の中で一番のお気に入りは「風と木の詩」。「地球へ…」も、「夏への扉」も、「風と木の詩」も、小学生の頃、仲良くしていた友だち(♀)の家で読んでいました。今ならヘッチャラですけど、当時は女の子の漫画…しかも、男同士の気持ちイ~場面テンコ盛りの作品を購入し、家に持ち帰る勇気はありませんでした。それらは何と、その子の家のお母様のコレクション。お子さんが女の子ばかりということもあって、可愛がってもらっていました。(←おやつのケーキ攻撃には、ちょっと参りましたけど…)
検索してみたところ、「風と木の詩」は、1987年11月6日にOVAとして、VHS版が発売されていましたが、DVD化はまだのようです。リメイクして欲しい気もしますが、ソッチ系の色が濃い作品ですから、難しいかもしれないですね。もしDVD化されるなら、少年たちの声は、ぜひ男性でお願いしたいです!
さて、本題。
「夏への扉」は、1981年に劇場公開されたアニメ作品。DVDも当時の映像のままなので、レトロな雰囲気が溢れています。注目すべきは音楽。かの羽田健太郎さんのピアノが、切なく響きます。本当に色んな場面で活躍されていたんですね。
少年から大人へと変化していく時期の、いたたまれない思いが描かれていて、子供にとってはまだ見ぬ世界。大人にとってはホロ苦い青春の1ページといったところでしょうか。誰に感情移入するかによって、見方は変わりますし、観る年齢にも左右されると思います。かくいう自分も、あの頃、許せない…と思っていたマリオンを愛おしく感じ、理解できなかったクリューニー伯爵の言動を、カッコイイと思えたりする大人になってました。
原作で読んだとき衝撃だった、クロードとマリオンの××シーンは、ドキドキする…というより、切なさの方が先に立ち、無理と知りつつ、何とかしてあげたくてしかたがありませんでした。
映像も古いですし、ストーリー展開もじれったいものがありますが、それも含めて楽しんでいただけたら…と、思います。
☆役名&キャスト☆
マリオン…水島裕
ジャック…古谷徹
リンド…古川登志夫
クロード…三ツ矢雄二
ナレーション…井上真樹夫
クリューニー伯爵…柴田秀勝
サラ・ヴィーダ…武藤礼子
レダニア…潘恵子
女主人…大田優子
舎監…矢田耕司
ガブリエル…塩沢兼人
アルマン…塩屋翼
機関士…戸谷公次
娘A…池田優子
娘B…川島千代子
娘C…中谷ゆみ
娘D…中野聖子
協力 青二プロ