バベル

  • BABEL
  • 2006
  • アメリカ
バベル
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    解説・あらすじ

    幼い子供たちをメキシコ人の子守に託し、夫婦の絆を取り戻す為モロッコへやってきたアメリカ人夫婦。モロッコの山道を行くバスの中、どこからか放たれた一発の銃弾が妻・スーザンの肩を打ち抜く。日本。父娘関係が冷えきり、娘チエコは満たされない日々に孤独と絶望を募らせていた。そんな中、あの事件の銃の持ち主として父ヤスジローの名前が上がる…。国境を超えた彼らの運命は…?

    キャスト・スタッフ
    監督:アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ 出演:ブラッド・ピット ケイト・ブランシェット ガエル・ガルシア・ベルナル 役所広司
    作品・情報
    再生時間 : 02:23:34
    字幕 : 日本語
    音声 : 英語
    レイティング : PG-12
    視聴制限 : <購入>無期限 <レンタル>初回再生から48時間
    購入期限 : <購入>2022年03月03日 23:59 <レンタル>2022年03月03日 23:59
    対応機器:
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    「人の数」÷2だけディスコミュニケーションがある。
    投稿者:JUCE
    2007年11月17日

     酷評と言うか批判意見が多いようですが、私は良い映画だと思いました。私はあまり理論的に映画を観られるほうでは無く、大雑把で感覚的にしか映画を捉える事が出来ません。本作はあまり各論に囚われずに大雑把に全体を見て、あまり難しく考えずに素直に感じれば良いのではないでしょうか。

     人が生きていくうえで「伝達」「理解」「共有」といったコミュニケーションが不可欠です。しかし実際にはコミュニケーションは往々にして自分達の意思通りには上手く働きません。これは言わば神の与えた試練なのでしょう。こうしたディスコミュニケーションは夫婦や親子、友人間と言ったプライベートな問題から雇用関係、国と個人、国と国と言った政治的なものまで多種多様です。この映画で描かれている4つの国のシチュエーションでそうしたディスコミュニケーションの典型的な形が盛り込まれているとは言えます。まさにディスコミュニケーションのオンパレード作品なのです。
     日本・アメリカ・メキシコ・モロッコのパートが微妙に時間軸がずれていたり、リンクがされているようでその結びつきが弱いというのも穿ち過ぎかも分からないですがこのディスコミュニケーションを暗示しているのかも知れません。
     この時間までをずらしたカットバック手法を用いた演出必要かどうかと言う部分では、私は必要だと思います。これだけの情報量を各パートごとに完結して描いていては後半のパートまで観客の集中力は持たないでしょう。また緊迫感もこれほどには描けないと思います。さらに「バベル」という逸話から考えてもバラバラのパーツに情報(コミュニケーション)が散らばるというというのは相応の意味があるように私には思えるのです。
     
     日本のパートで批判が多いようですが、そもそも全てのパートが世界の人が感じるステレオタイプ的な社会環境の代表例みたいなもので、そう細かく設定のリアリティを追及する必要も無いのではないかと思います。日本のパートは豊かで恵まれた環境であっても、誤解や孤独と言ったディスコミュニケーションが発生するのだというシンボルであって「日本がこうだ」と言っているわけでは無いのでしょう。モロッコにせよ、メキシコにせよ当然富裕層もいるわけでかなり特化されたシチュエーションだと言えます。アメリカ人夫婦にしても離婚率の高いアメリカの代表としてティピカルに描かれた夫婦像です。
     「バベル」という題名からも分かるように監督はこのディスコミュニケーションの問題をワールドワイドで描きたかった。だからアメリカ人(西欧)を夫婦間と政治的な絡みの問題で描いており、アジアを入れるために日本を豊かな設定で入れることでほぼワールドワイドな展開が完成しているのです。ですからこの映画にとっては無くても良いパートはないのです。
     さらにこの日本パートはラストシーンに持ってきていることからも推察されるのですが、この映画の主題となっていると思います。モロッコ、メキシコのパートは特に貧困から来る問題を取り扱っています。では豊かになれば人はすれ違わないのか?その問いかけへの答えが日本パートであり、銃と言う単純なメタファーでのリンクではなくテーマとして日本のパートは他と密接にリンクをしているのです。

     それぞれのパートで監督はラストでそれぞれに小さな光をともしています。しかしラストシーンでは日本の摩天楼をズームバックで象徴的に見せる事で新たな「バベルの塔」を暗示しているかのようです。

     この映画とディスコミュニケーションが起こらないように願って・・・。

    う~ん、鑑賞が難しい作品だ・・・
    投稿者:こんちゃん
    2007年11月03日

    このユーザーレビューはネタバレを含みます

     どうにも割り切れない気分の残る映画でした。
     気持ちが伝わらない、思いが伝わらない(「バベル」ということで言葉の壁によるものなのでしょうが、言葉の壁に関わらず)もどかしさ、いらつきを描いているのでしょうが・・・。

     
     一発の銃弾が引き起こした事件を軸に4つの国で4つのエピソードが展開されます。時系列通りではありません。日本でのエピソードは、スーザンが打たれてから数日経ってからでしょうし、メキシコのエピソードは、リチャードとスーザンが病院に運び込まれてからの話です。そこらへんの混乱のさせ方は、イニャリトゥ監督の十八番(笑)ですな。


     見終わった後のカタルシスというか、満足感はほとんどありません。
    「何じゃ、こりゃ?」
    「何が言いたいんだ」
    と思った人が大多数ではないでしょうか。正直、私もそう思いましたよ。提起した問題に対して、答えらしい答えは全く出してくれていません。全編を通じて、これは必要なのか?と思うシーンがたくさんありました。疑問も沢山残りました。

     山羊使いの親子はどうなったの?
     チエコが若い刑事に渡した手紙の中身は?
     アメリアは、結局どうなるの?
     サンチャゴはいずこ?
     だいたい、16年も住んでいても不法就労の自覚がある人が、そんな簡単に国境を越えようとしないでしょ?
     何故、リチャードはバスを残らせることに執着したの?
     リチャードとスーザンは、うまくやりなおせるの?
     チエコと父親は、本当に理解し合えたの?
     
     まるで、うまくコミュニケーションが取れずに悶々とし、葛藤する登場人物達を描きながら、イニャリトゥ監督も、それをうまく伝えられないジレンマを体現しているようです。
     もしかしたら、このつかみ所のない消化不良感は、監督による確信犯的なものなのかもしれませんね。そう考えると、無駄と思えたシーンも無駄ではなかったのかなぁ・・・?

     ドラマティックに見せようとすれば、スーザンは結局助からずに、彼女の苦しみをわかってやれなかったとリチャードが咆哮したり、チエコが刑事の胸で嗚咽した後、父親が部屋に入ったら、ベランダから飛び降りてしまい、間一髪間に合わなかった父親が号泣しながら懺悔・後悔するとか、兄を撃たれた山羊使いの弟が、警官に発砲しまくって、彼も射殺されてしまうとか、いろいろなシークエンスが考えられるのに、監督はそうしませんでした。言葉に限らず、神に分けられ、うまくコミュニケーションが取れずにもがいている人間達の閉塞感を描いても、そこにいくばくかの希望を残したかったのかも知れませんね。

      多分、この作品の失敗は(あえて失敗といいますが)ブラッド・ピットやケイト・ブランシェット、役所広司といったビッグネームを使って、ロードショー大作にしてしまったところでしょうか。ブラピが観たくて、映画館に行った人が、
    「なんだかよくわかんなかった。つまんない」
    と言う感想を述べ、それが口コミとなり、大作としての興行成績は芳しくなかったのでしょう。
     観る人を選ぶというか、映画鑑賞眼がある人ならば、きっと評価できるのでしょう。私は、この作品を傑作であると友人に勧めることは出来ません。でも私のごとき
    「映画は娯楽だから・・・」
    などとのたまっている輩でも、
    「表面上で理解できるほど浅薄な映画ではないのだろう」
    と思えるのですから(通り一遍に観ると、全体に散漫で、薄っぺらな印象に思えてしまうのですが・・・)
     ビッグネームの役者を使わずに、ミニシアター系で上演し続けたら、もっともっと盛り上がっていったのではないかと思うのです。たとえば「ホテル・ルワンダ」のように。

     菊池凛子は、頑張っているとは思いましたが・・・目力もあるし、聾唖者の感情の機微をうまく演じているとは思うのですが、オスカーに値するかというと、今ひとつ・・・。これくらいの演技力の女優は、たくさんいるのです。
     これは彼女の責任ではありませんが、彼女の行動のメンタリティがわからんのです。何でパンツ脱いでるのかわからないし、刑事の前で全裸になるのも、その意味がわかりません。ただの変態色ぼけ(あ、私がよく言われている!)女子高生にしか見えんのですが・・・
     演技としては、本当に聾唖の女子高校生に見えて素晴らしいのに、脱いでしまうと年齢なりでしかなく、しかもそれが貧弱と来てしまっては・・・・もったいない。





     

    難しいシネマですか
    2008年03月05日

    このユーザーレビューはネタバレを含みます

    たまった話題作をランダムに今頃観てます なんだかわかりやすすぎて 娯楽映画として良く出来ていますね イリニャトはどうも「シティ・オブ・ゴッド」の監督と混同してるようで 「アモーレ・ペロス」なんかそうですね ワンちゃんがかわいそうで 不快なシネマでした 「バベル」は商業主義的センスがずっと洗練されています

    冒頭から 銃をめぐる兄弟のアベルとカインのような確執 暴力にさらされる子供達 最近のシネマの世界的傾向で 子供達の諸問題が急速に主題化しています 映画の描写は子供をもろに標的にし オナニーが射殺がこの映画でも平気で描写されます これは趨勢とゆうやつで ボクが前々から指摘していたことなのですが 憂慮を越えすでに前景化していますね もう止められません 映画の描写のモラルの流動化の典型です

    イニリャトの皮肉は 貧しい人々の受難やその行動に対し アメリカ人は勝手で態度がでかい おとなしい日本人は表面は穏やかだけど 銃を提供してしまうような 善意ながら不注意な行動が世界に悲劇を知らないうちに広げてしまう 少女が聾唖者で裸になるのは 裸で無防備な日本人は 世界に語り掛けない 語れないってことだろうか そんな作為は感じてしまうのだけど

    異質な諸世界の物語でも 日本はさらに異質 通俗的な「バベル」に見るべきところがあるとすれば やはりこの日本パートが優れているからでしょう このシネマが凡庸さから免れているのは その異質で鈍い光を放っている日本編 それをささえる菊池凛子の演技あってゆえだと思います アカデミー賞ノミネートは珍しく慧眼ではないでしょうか そしてこのパートは銃が社会にあって浸透してないので 暴力の主題からエロスに移行しているのも 異質なゆえなのです

    モロッコ編の子供はオナニーも射殺されるのも ただ演技をしているだけなのですが 日本編のノーパンと全裸もまた イニリャトの恣意的で唐突な演出であるのですが 菊池凛子は自身の演技によって 監督の演出意図以上のものを表出しているのであり とても見事でありました このシネマでは彼女が通俗性の殻を破り突出しているのです パロちゃんが菊池凛子に涙したなら ボクはモロッコ弟の 高らかな態度表明のそれに 通俗的な演出ながら 思わず「ヨシッ!」と叫んでしまったことを書き添えましょう

          

     

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