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C.E.73。ザフトのテロリストによる事件で、多くの都市が壊滅した地球。MS開発チームの研究員セレーネは、純白のMS、スターゲイザーの打上げを控えていた。一方、地球連合軍MS、ストライクノワールのパイロットであるスウェンは、黒煙の空を冷たく見上げる。混迷を極める地上から、星は未だ見えないー。
このレビューにはネタバレ情報が含まれます。見ていない方は読まないで下さい。
21世紀初の機動戦士ガンダムシリーズ「SEED」初の外伝的OVA作品。この作品はインターネット専用サイトで配信されていたアニメをDVD化したものだ。サイトではSTAGE−1からSTAGE−3まで公開されていたがそれらをひとつにまとめ、新規エンディング映像を加味した内容となっている。監督は西澤晋、キャラクターデザインは大貫健一、メカニカルデザインは大河原邦男、山根公利、BEECRAFT、藤岡建機とクレジットされている。SEEDシリーズというかコズミックイラシリーズといえばいいのかわからないがシリーズに共通しているのはメカニカルデザインを担当した大河原氏と山根氏だけだ。登場するモビルスーツ(以下MS)もオリジナルとなっている。「SEED」や「SEED DESTINY」と共通しているMSも幾つか登場するがメインとなるMSは全てオリジナルだ。しかし、作風は「SEED」や「SEED DESTINY」の雰囲気をそのまま踏襲したかのようなものになっていた。特に登場するキャラクターはSEEDシリーズのキャラクターデザインを担当した平井久司のものとよく似ており、違和感なく見ることが出来た(よく見るとやっぱり違う(笑))。メカニカルデザインはさすがに大河原氏、山根氏がいる為、SEEDシリーズと全く違和感がない。全くのオリジナルMSはスターゲイザーだけだ。それ以外のMSはSEED本編に登場するMSを踏襲している。
登場するMSは「GSX−401FWスターゲイザー」「UT−1DシビリアンアストレイDSSDカスタム」「GAT−X105Eストライクノワール」「GAT−X1022ブルデュエル」「GAT−X103APヴェルデバスター」「GAT−01A2R105スローターダガー」「TMF/A−802W2ケルベロスバクゥハウンド」である。もう既にガンプラ化されたMSもあるので知っている人も多いかもしれない。また、この作品で主人公的扱いのキャラクターはDSSDのセレーネ・マクグリフとファントムペインのスウェン・カル・バヤンの2人だ。
DSSDとは深宇宙探査開発機構のことで火星軌道以遠領域の探査及び開発を目的とした機関で地球連合・プラント・非同盟中立国家群が共同で設立した。当然立場は中立である。つまり戦闘機関ではないということだ。探査用のMSを開発している組織と考えれば簡単だろう。また一方のファントムペインであるがこれは「SEED DESTINY」にも登場した地球連合の組織である。いや、正確にはロゴスの特殊部隊と言った方がいいだろう。ストーリーの中にも「ステラ」や「ムルタ・アズラエル」が登場している(セリフはない)ことからもそれがわかる。
ストーリーはそれほど難しくはない。物語はザフト側のテロリストによるユニウスセブン落下事件「ブレイク・オブ・ザ・ワールド」によって壊滅状態の地球から始まる。ファントムペインがDSSDで開発されたAIを奪取する目的でDSSDのトロヤステーションを襲撃する様子が描かれる。単発OVAであり、今までの違いサイトで配信されたアニメであるためかストーリーに深みはなく、感動出来るシーンもそれほど多くない。もっと掘り下げて描くことが出来たならば感動出来たであろうことが容易に想像出来るだけに残念でならない。しかし、OVA独特の短いストーリーの中に描かれる人間模様は出来るだけ描かれていたように思う。
作画レベルはTVシリーズと同等と見た。通常OVAはTVシリーズよりハイレベルな作画レベルを提供してくれるのが通説であったが、サイトで配信された為か、予算がなかった為かわからないがいずれにせよ作画レベルは思ったほど高くはない。
これからもコズミックイラを舞台にしたOVAがどんどん登場してくることを希望してやまない。
ストーリーにメリハリがなく、見せ場も盛り上がりも特になく、何となく話が進んで見終わっちゃいました。登場人物にもぜんぜん感情移入できない。まあ、45分の作品ですし、あまり掘り下げた内容を期待する方がちょっと無理なのかな。
。一番気になったのが、モビルスーツによる無抵抗な生身の人間への虐殺シーンが多いこと。戦争の悲惨さや狂気を描こうとしてるのかもしれませんが、45分の作品では深い掘り下げが出来ないため、意味があるはずの虐殺シーンが薄っぺらく感じて不快でした。
ぶっちゃけて言うと、この作品はモビルスーツのプラモデルを売るための販促用映像だと思うのですが、だとしたら、もっとMSをカッコ良くみせるとか、MS同士の戦闘の面白さとかを全面に出すべきだったと思います。しかし、そういうシーンはほぼ皆無。モビルスーツは生身の人間を殺しまくるし、MSのパイロットもコックピットの中で血しぶき上げながら死んだりするので、この作品を観て感じることは、戦争によって生み出されたMSの忌まわしさだけです。MSの魅力やカッコ良さを感じるのは感情的に難しいです。
そういう意味では、ガンプラの販促用映像として失敗してる上に、ガンダムSEEDファンを引きつけるだけの作品内容になってないのが残念。
ガンプラを売るためだけに、内容希薄な作品は作って欲しくなかったです。