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ドライサーの小説『シスター・キャリー』を映画化したもので、ワイラーは、社会派メロドラマ作家のこの原作の恋愛部分に焦点を絞って、重厚な悲劇を作っている。シカゴに働きに出た田舎娘キャリー(ジョーンズ)は、すぐさま悪い男にだまされ、彼と同棲を始める。彼女の勤める高級レストランの支配人ハーストウッド(オリヴィエ)は素朴な彼女に惹かれていくが、その裏には、全財産を自分名義にしている因業な妻との冷え切った仲があった。キャリーとの結婚を考え、妻に離婚話を持ちかけるハーストウッドはまるで相手にされず、遂に店の金を盗んでキャリーと二人、NYへ駆け落ちした。幸福な暮らしを営んだのも束の間、彼は一生拭いきれぬ汚名が残り、キャリーにも立ち去られてしまう。時は流れ、キャリーは大スターとなっていた。彼女の事務所前に佇む浮浪者がハーストウッドであることが分かると彼女はもう一度彼と住むことを決める。愛ゆえに落ちぶれていく男の悲哀をオリヴィエが熱演する。
黄昏(1951年アメリカ、白黒122分)
同じ邦題の名作、81年「黄昏」(マーク・ライデル監督/キャサリン・ヘプバーン、ヘンリー・フォンダ主演)があるが、本作とはまったくの別物である。
本作のジャケ写に映っているのは、ローレンス・オリヴィエとジェニファー・ジョーンズ。
社会派のメロドラマ作家、セオドア・ドライザーの「シスター・キャリー」を映画化したもので、まさにメロドラマではあるが、観終わっての印象は、<男の身勝手が招いた悲劇>、そう感じた。
19世紀末のシカゴ。キャリー(ジェニファー・ジョーンズ)はミズーリの田舎から姉を頼って働きに出てきたが、工場での仕事ぶりが認められず、職を失う。彼女は、シカゴに来る途中の列車内で知り合っていたセールスマンのドルーエ(エディ・アルバート)を頼るが、調子者のドルーエはキャリーをたぶらかし、結婚を口実に自分のアパートで同棲を始める。ある日、シカゴの一流レストラン「フィッツジェラルド」で、ドルーエの紹介のもと、キャリーは支配人のジョージ・ハーストウッド(ローレンス・オリヴィエ)に会う。ジョージはキャリーに一目ぼれし、強欲な妻(ミリアム・ホプキンス)にはない魅力を感じた。キャリーは一旦は拒むが、ジョージの紳士然とした立ち居振る舞いと、情熱的な愛情表現に魅せられ、遂に2人は結婚の約束に至る。だが、そこには予想だにしない落とし穴が待っていた...。
やはり男の身勝手が際立つ。
成人した息子がいる中年おやじがとる行動ではない。
いくら冷徹で強欲な妻に辟易しているからといって、田舎から出てきた娘に一目ぼれし、相手の立場も無視して一直線。一流レストランの支配人という職で、何でも言うことを聞く部下たちに恵まれ、ついスキが出てしまったのか。
首尾よく彼女をモノにし、幸せの絶頂に入る。
だが、長くは続かない。あることから歯車が狂い始め、徐々に奈落の底に転落していく...。
まるで天国と地獄だ。
ラストの主人公のみすぼらしさには、一流レストランの支配人の面影はない。
この一連の流れをL・オリヴィエが上手く演じている。
対するJ・ジョーンズも、むずかしい役柄を感情表現豊かに演じている。
43年「聖少女」、46年「白昼の決闘」、53年「終着駅」と、彼女の演技の上手さには定評がある。
依って、単なるメロドラマに終始せず、名優2人による重厚な人間ドラマとしても見応えがある。
それにしても、ラストのオリヴィエの悲哀さは言葉にならない。