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第二次大戦末期、ドイツのトーチカが建つ前線をリースが所属する第2分隊6人だけで守ることになった。主人公は自動小銃を撃ちまくり、トーチカを攻略するが・・・。
1961年 アメリカ映画
監督:ドン・シーゲル
原題:HELL IS FOR HEROES
これは未見であったのと同時に私にとってはかなりの掘り出し物でした。
ドン・シーゲル監督というと私の知っているところでは「真昼の決闘」・「ダーティハリー」・「白い肌の異常な夜」等を思い浮かべるが、それと同時にサム・ペキンパーの師であることも忘れてはならない。ドン・シーゲルという人は現場での撮影では無駄なショットを一切撮ることが無かったという。本作のマックイーンも戦う事だけを考える“守りより攻め”という姿勢のジョン・リース役を熱演している。
1944年フランス、ジークフリート要塞線近くの待機区域では俄かにアメリカへ帰還出来るという噂が飛び交っていたが、実はドイツのトーチカ破壊のため前線に向かう事になる。
たったの6人という小隊ながら、敵を欺くためジープを改造して戦車の音を出しながら走ったりする様や、盗聴マイクに偽の電話を掛けるふりをしたりと中隊に見せかける部分は面白かった。
このジープを改造したりとメカに強いヘンショー役のジェームス・コバーンが序盤からいい味出しています。マックイーンは30代そこそこですが、既にその後のイメージが出来上がっていて鋭い目つきと前線では俊敏な動きを魅せつける。本作の後に同じ戦争映画の「戦う翼」がありますが、それとはまた違う臨場感のある映画でした。モノクロというのもその臨場感を引き出していた気がします。ラストは戦争の虚しさを感じずにはいられません。そしてマックイーンの演技が胸に突き刺さりました。
戦争映画で小隊モノというと、テレビ「コンバット」を思い出してもらえると分かりやすいかもしれないです。『史上最大の作戦』とか『遠すぎた橋』みたいに大きな作戦を俯瞰的に描くんじゃなくて、せいぜい十数人程度の小隊の目線で戦場を描く。登場人物が少ないとキャラクターも深めやすいし、アクションでもサスペンスでもホラーでも反戦でもどんなタイプでも合うので、傑作が数多く作られています。
いま思い浮かぶのはフラーの『最前線物語』やマンの『最前線』フォードの『コレヒドール戦記』なんかですが、このドナルド・シーゲル(この頃はドンでなくドナルドとクレジットされてました)の『突撃隊』は、それらに並ぶとまでは言えないものの、とても魅力的なアクション映画に仕上がっています。
前半のややコミカルな描写と、中盤のドイツ軍との虚虚実実の駆け引き、終盤のスペクタクルな大アクションと、シンプルなつくりながら飽きさせません。ノルマンディ上陸後のフランスの最前線で、主人公たちの小隊だけを残して部隊は移動してしまい、そのことを敵に知られたら一挙に攻められてしまう。あたかも大部隊がいるように偽装しながら陣地を守るのが任務というあたりが、この作品の個性的なところ。例によって偽装担当の何でも屋に扮したジェームズ・コバーンがいい味を出しています。
それでもドイツ兵は果敢に飛び込んできて、マックィーンの身体能力を生かした肉弾戦ともなるわけですが、このあたりのきびきびした演出はシーゲルらしくパンチが効いています。
マックィーンはたとえば『大脱走』などとは違って、あまり人間味の感じられない、戦闘マシーン的に優秀な兵を演じています。彼は組織から外れて孤立しているけれども、有能で、その強い意思でコトを成し遂げる。ダーティ・ハリーなどを髣髴とさせる、シーゲル的なヒーローです。このマックィーンのキャラクターが、終盤からラストへのびっくりするような展開に生きて素晴らしいと思いました。70点。