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全世界から絶賛された2001年度最高傑作!!2001年度アカデミー賞R主要4部門を受賞した『ビューティフル・マインド』。監督のロン・ハワード(『アポロ13』『身代金』)は監督賞を獲得し、彼と長くパートナーを組んできた製作のブライアン・グレイザーとともに見事作品賞も受賞した。天才数学者ジョン・ナッシュを演じるのはラッセル・クロウ(『グラディエーター』『インサイダー』)。天才であるがゆえに国際的な諜報活動に巻き込まれ、その先に待つ衝撃の真実に立ち向かう姿を圧倒的演技力で表現。献身的な愛でただ一人夫を支える妻アリシアを演じたジェニファー・コネリーも、本作品で見事アカデミー賞R助演女優賞に輝いた。全世界で大絶賛された勇気と情熱の感動傑作。
この映画は、「グッドウィル・ハンティング(1997)」と同様、この数学者のどこが天才かという大事な点を描くのに完全に失敗している。
そもそも、ジョン・ナッシュは「ゲーム理論」で有名なのはそのとおりだが、創始者ではない。また、厳密に言うとノーベル賞に「経済学賞」というのは無いし【アルフレッド・ノーベルは経済学賞を考案しなかった】、ジョン・ナッシュは単独で受賞したのでもない【ラインハルド・ゼルテンとヤノス・ハーサニーとの共同受賞】。おまけに、ジョン・ナッシュはユダヤ人差別主義者であり、ゲイであり、男性との浮気が原因でアリシアと離婚している。
別に、ゲイだからどうのという話しではない。どこが天才なのかを含めて、人物の描写がまったく出来てないのが問題なのである。この映画のジョン・ナッシュは嘘ばっかりである。確かに、数学者を数学者として描くのは難しいかもしれない。スクリーンに数式を並べて、「これを解いたのがジョン・ナッシュです」とやっても、誰もついてこないだろう。しかし、数学の話しをしないで数学者を語れるとは私は思えない。
ジョン・ナッシュは途中から統合失調症がひどくなっていく。そのときの妄想は、自伝にもとづいた映画らしいが、本当にそんな妄想が見えたのか、他の部分が正確に描写されていないだけにこれも疑わしい。映画としてはこの部分は面白いが、実話といわれると、それは無いだろうと思ってしまう。
だまされてはいけない。これは脚色された映画なのだ。本物のジョン・ナッシュはこんな人ではない。
正直、期待を裏切られました。
全然予備知識もなく(オスカーをいくつか獲ったぐらいの知識しかなかった)観たから…というのもその理由ですが。
「これって、こんな映画だったの!?」みたいな、少しサスペンスチックな要素があったのが驚きでした(そこにエド・ハリスが絡んでいたのも驚いたやら嬉しいやら)。
やっぱりすげぇなぁ!と感嘆したのはラッセル・クロウの演技ですね。ちょっと悔しいぐらいで(笑)。
でも、とにかくこの映画で驚愕したのは、夫婦の愛。正直言えば私がジョン・ナッシュの妻なら、絶対ノーベル賞まで一緒に連れ添ってません! だから奥さんに大拍手! これがこの映画の核なのでは? あくまでも私個人の意見ですが、いかがでしょ?
囚人のジレンマという話がある。
二人の共犯者を隔離して取調べる。捜査員が各人にこうもちかける
「二人とも黙秘すれば証拠不十分で懲役1年。自白すれば懲役10年。ただし、相棒が黙秘してもお前が自白すれば捜査協力ということでお前は無罪放免、相棒は懲役30年」
二人にとっての最適な解はお互い黙秘である。しかし、自分が黙秘しても相棒が裏切って自白した場合、懲役1年どころか30年を食らってしまう。ここがジレンマである。結局30年よりは10年のほうがましだということで二人とも自白してしまう。実際にこの手法で自白させた例はあるらしく、世の中いろいろ他にも応用できそうだ。
このように各人が最適な利益を求めて行動した結果が必ずしも全体の最適な利得になっていない状況を、ゲーム理論ではジョン・ナッシュにちなんで「ナッシュ均衡」という。
本作は天才数学者ジョン・ナッシュの学生時代の奇行からノーベル章を受賞するまでを描いた実話であるが、彼の精神病についてはある仕掛けがほどこされており、ミステリータッチな雰囲気もかもしだしていて、最後まで飽きない構成になっている。
彼は精神病院から退院後まもなく病気が再発するが、再び入院することを拒み自力で直す道を選択する。実家に帰るよう薦められた妻は赤ん坊とともに自宅に残りナッシュを介護することを決意する。
さて、ここにゲーム理論を適用するとどうなるか。ナッシュは再入院、妻は実家という選択肢がもっとも二人にとっての最適な解であったろう。病気は難しいものであるし、妻子に危害を与える場合もある。赤ん坊のことを考えると離れて暮らすのが得策だろう。しかし、二人の取った行動は一見理不尽で無謀な道なのである。
なぜか?
ここが本作の最大のテーマ、すなわちこれが人生であり、愛なのである。二人の選択はまさに、ナッシュ均衡そのものなのである。
ジョンナッシュがあみだしたゲーム理論のナッシュ均衡を、物語自体で描いてみせたこの脚本には正直脱帽した。ラッセル・クロウの個性的な演技もくわえ、非常に示唆に富んだ面白い作品。おすすめの一品である。