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邦彦は、道頓堀川沿いの喫茶店で働きながら美大に通う学生。両親を亡くした彼の親代りのマスター竹内は、日本一のハスラーになると言って家を出た息子の政夫が悩みの種だった。彼も同じ道を歩んで挫折した過去があった。ある日、邦彦は道頓堀川にかかる橋の上で、小料理屋のママ、まち子と出会う。数日後、まち子の愛犬を探す二人には、急速に愛が芽生えやがて結ばれる。宮本輝の『泥の川』『蛍川』に続く“川三部作”の完結編といえる小説を原作に、深作監督が未知の分野に臨んだ意欲作。
原作というのは.”原作”でしかなくて、映画となると監督の考えや思いで印象が違うものになってしまうんだなとつくづく感じました。設定とタイトルは同じでも.やっぱり宮本輝さんの小説とは別物だと考えてみた方がいい感じでした。原作は.なんとなく暗く濁った川を遠くから眺めている印象でしたが.映画ではその川に飛び込んで行きそうな勢いを感じました。でも.原作.映画共に人間の明暗.若さがもっている無鉄砲さやそこから抜け出したい苛立ち.大人がもっている後悔している過去や若さに対する嫉妬や老婆心...人間臭さは十分に伝わってきました。
そして映画をみて全体に感じたあの雰囲気は.深作監督独特のものだと思いました。俳優全てが人間臭い魅力と躍動感.生きているという実感が溢れているのです。松坂慶子さんの少し大人のために冒険を恐れてしまっている心情.真田広之さんの若さ溢れる真直ぐさと衝動.佐藤浩市さんの親に反発する心と親を欲している心.山崎努さんの子供だから真っ当に生きて貰いたいという心...本当に生きている実感がある人たちは魅力的に色っぽく映ることができるんだと思います。深作さんはものすごく人間の心を大事にして.愛し愛された人なのだろうと思います。
そして.原作と全く違ったラストシーンは深作監督のこだわりというかモラルだったんだなとメイキングをみて知りました。仲間意識や人間同士の繋がりを一番大事にする人の最終的な解釈なのかもしれないと自分は思いました。自分はちょっと好きじゃないけれど...
真田さんが、アクション専門俳優から演技派俳優も出来るんだよ~と、言わしめた初めての映画であります。貧弱な美大生を、うまく演じております。映画全編、体の筋肉を隠した服装をしておりますが、店の看板の絵に色を塗るシーンで、半袖Tシャツとオーバーオールの服装なのですが、Tシャツの袖丈が短すぎて筋肉隆々がバレております。(もっと、袖丈長くダブダブしたTシャツ着ないとね)邦彦とまち子さんが、結ばれるシーンもやはり、運動禁止して抑えたつもりでしょうが、筋肉が目立ちました。。(まち子さん、初めての男の子に教えている割には、感じ過ぎじゃ~ありませんか??邦彦が、感じて恍惚としてるのは分かるけど。。)
原作じゃ、ハッピーエンドなのに深作監督のモラルとして、悲しい結末になってしまっています。あれじゃ、原作者の宮本輝さんも怒るってものです。。
しかし最後、邦彦が腹を包丁で刺されてしまう立ち回りシーンは、
やはりJAC色が出てしまってますね。。普通、貧弱な男子だったら刺された時点で、気を失ってますよ。ふと、「吼えよ鉄拳」の冒頭シーンの、双子の兄が殺される場面と似てるな~と思ってしまいました。。しかし、まち子さん可哀想過ぎます!泣けてくる。。
1982年といえば、オレは♪盗んだバイクで走り出す~♪な年頃。実は映画館へ観に行ったんですこれ。同じクラスのヤツ(もちろん野郎)と。どういう経緯でそいつと行くことになったのかは憶えていませんが、本作を観た目的はただひとつ、松坂慶子さま・・・(正確に言うと)の濡れ場。
当時15やそこらのガキからしたら、30歳の松坂慶子さまはくらくらするほどの大人の女性。映画中盤の、相手役真田広之との小料理屋2階の狭い部屋での濡れ場をドキドキしながら観ていたことだけよく憶えています。
で、懐かしさも手伝って、実に20年以上ぶりに観直してみました。
すでに、劇中での松坂慶子さまは、今のオレにとっては年下の女性。綺麗なのは間違いなく綺麗だと思いつつ、妙にオーバーアクト気味なところが気になってしまったり、濡れ場にしてもこんなにあっさりやったかなみたいな印象で、やっぱ時の流れを感じてしまいました。
けど、その反面、ドラマ部分に思いのほか入り込み、しっぽりと観てしまったのでした。
美大に通いながら、絵描きをめざす邦彦(真田広之)、邦彦の同級生で日本一のハスラーをめざす隆夫(佐藤浩市)、隆夫の父親(山崎努)。この3人を軸に描かれる道頓堀川のほとりに暮らす人々の人間模様。いやほんと、よかったです。
また、真田広之、佐藤浩市という現在の日本映画には欠かすことの出来ない同い年の二人の俳優の、22歳という若さにまかせた初々しい演技を見るだけでも、なかなか貴重といえるかもしれません。
DVDの特典映像に、当時の関係者へのインタビューが収録されていたのですが、原作とは違うラストをめぐって原作者宮本輝ともめた話とか、主演なのに先の3人が軸になったストーリーで自分の出番が少ないことにジレンマを感じた松坂慶子さまが、軽いうつ状態になってしまった話とか、ちょっと興味深い話が聴けました。