1,026円(税込)「動画見放題※1」プランを
久乃が吉原の中梅楼に女郎として売られてきたのは十八歳の春の事であった。久乃は娼妓営業の鑑札が下り若汐という源氏名をもらったが、初見世の時、客のもとを飛び出してしまう。これに激怒したお職の九重は自らの身体で若汐に廓の女の作法を教えるのだった。一年後、中梅楼のお職の座には吉里がついていた。酒と情人に弱いこの花魁には危うい不安がつきまとう。ある夜、若汐の前に古島財閥の若き当主、信輔があらわれた。この日を境に彼は若汐のもとに通い詰める・・・
女郎になったら、身うけされるより、花魁道中(おねり)を飾りたい!という女の野望。花魁道中のシーンは大変美しいです。
一方で病などでクズのように死んでいく女郎たち。エロチックと言っても男性が楽しめるほどのいやらしさじゃないと思います。あくまでもテーマは女の闘いで、当時の身売りや吉原の習慣もわかります。
五社英雄監督ですね。女のどろどろ情念を描いたら天下一です。
吉原に売られて、仕込まれてデビュー・・・
昔の日本って貧しかったんですね。口減らしに子供を人買いに売るなんて・・・今なら逮捕されちゃいます。っていうか吉原自体が違法かと。
濡れ場が話題になりましたが、なんとも言えない艶やかさがあって決して下品ではありません。花魁として上り詰めていく者もいれば落ちぶれていく者もいる。買う客である男共も然り・・・翻弄されながら、運命を狂わせていく者もいる・・・
かたせ梨乃さんの美貌は今も変わらずですね。自ら、男運が悪いと言っていた西川峰子さんの演技もグッド!! 緒方拳さんら男性陣も好演です。ラストシーンの続きが気になってますが、あとは自分で考えろという事かな。
この作品は今までに何度もテレビで放送されていたのを観た記憶がある。しかし、全てをキッチリ見た記憶がなく、恥ずかしながら所々を見たという記憶しか残っていないのだが、今回緒形拳さんがお亡くなりになったこともあって彼が出演されている作品を少しずつ観ている関係でこの作品がピックアップされ、それをきっかけにこの作品を最後まで全てを観ようと思いレンタルした。狙いはもちろん緒形拳さんの演技のみ(^^;。しかし、彼の出演シーンの少なさと女優陣の演技の素晴らしさで思いの外この作品を楽しむことが出来たのは自分自身意外だった。
緒形拳さんが登場するのは最初の頃の2シーンのみ(^^;。でもさすがは拳さんです、その存在感はしっかりと残す優しさ溢れる演技で憲兵役を演じておられました。売られてきた主人公、久乃(名取裕子)に年相応のスケベさを含ませた一見お節介とも思われるような優しさを短時間に見事に演じておられました。彼のこの優しさは彼の人間性がにじみ出ているようで何とも印象的だがこれはこの作品に限らず彼が出演されているいくつかの作品でも見られるものでもある。また、これも彼の魅力の一つだが優しさとは反対に映画「復讐するは我にあり」や映画「薄化粧」のように残虐な犯罪者を演じることによってみせる人間の怖さ、恐ろしさ、残虐さなども見事に演じきれるその手腕は高く評価されるべきだと思う。だから彼の演技に惹かれるのだと思う。それが例え僅かな時間の演技であっても同じである。そんなことを考えながら彼の演技を見ているとやっぱり悲しさと残念さがこみ上げてくる。
さて僕は拳さんの演技が見れればそれで良かったのだけれども、いつの間にかこの作品に取り込まれている自分に気がついたのはとても不思議な感じがした。初めて観る作品ではなく、筋書きもわかっている作品であるにも関わらずいつの間にか見入っていた。この作品を観たのは僕が20代の頃。それからかなりの年月が経ち、僕もおっさんになり、やっとこの作品の面白さ、良さがわかるようになったのかもしれない。間違いなく最初にこの作品を観た時より楽しめたのだ。最近、昔の邦画をよく見たくなる。なぜだか自分自身でもわからないが、年をとり、昔の作品の良さを再確認できることに気がついたためなのかもしれない。この作品で魅せつけられる5人の女優さんの演技の素晴らしさはそれを形容する言葉が見つからないぐらい力の入ったものとなっている。主役、久乃を演じた遊女役初演技の名取裕子、中梅楼一番花魁である九重を演じた二宮さよ子、中梅楼二番花魁である吉里を演じた藤真利子、中梅楼三番花魁である小花を演じた西川峰子、久乃の親友、菊川を演じたかたせ梨乃、彼女らの演技は本当に形容しがたいほど艶めかしく妖しく美しくそしてとても素晴らしい物だった。間違いなく彼女らの演技に魅せられたのだ。五社作品には濡れ場が多いと酷評されることが良くあるが、濡れ場だけに目を奪われるのは間違いだ。彼の作品には絶対に切り離せないものだし、濡れ場をうまく利用し、女の人生の浮き沈みや情念、怨念、生き様を見事に描ききるのは彼ならではの手法である。それは作品でクローズアップされる女の艶めかしさや美しさ、時には醜さをも浮き彫りにさせるのだ。その辺が五社英雄監督の凄いところだと僕は常々思う。女の情念を重厚に描かせたら彼の右に出る者はいないと僕は思っている。でもそれがわかってきたのはつい最近のこと(笑)。若い頃は濡れ場だけに目がいっていたのは事実だ・・・若気の至りってことか?(^^;。
花魁九重(二宮さよ子)と久乃(名取裕子)のレズっぽいシーンや吉里(藤真利子)と菊川(かたせ梨乃)の喧嘩シーン、小花(西川峰子)が狂い死にするシーン、菊川と久乃(このときは既に花魁紫となっている)の古島を巡る意見の対立シーンなどその見所は満載である。そんな見所の中でも最初に観た頃も今観ても驚愕するほどの演技を西川峰子演じる小花が狂い死にするシーンで魅せてくれる。このシーンはある意味、この作品を象徴するシーンといっても過言ではないだろう。真っ赤な高価な寝具に包まれて嫉妬や恨みから狂い、「誰でもいいから抱いてぇ~!お願いだからここ、ここ、ここ、噛んでぇ~!」と大股開きで熱演する演技にはいつも度肝を抜かれる。僕はそのシーンでいつも女の美しさと醜さを同時に観たような気がするのだ・・・女優西川峰子の凄さと共に。
吉原遊廓の遊女たちの驚愕的で万丈波乱な人生を主人公、久乃のサクセスストーリーを軸に重厚に描かれる本作品をじっくりご堪能下さい。