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刑務所から出所したばかりのジョニーはカフェレストランのコックの職を得るが、そこで働くウェートレスのフランキーに恋をする。だが、ジョニーの想いに対するフランキーの態度は固い。男性関係で辛い経験ある彼女は恋に対して臆病になっていたのだ・・・
15年前に見たとき、すっごくいい!って思った記憶があり、随分前にDVDを買ったのだけど、ずっと買ったことを忘れていた。
久しぶりに見た。
ストーリーはほとんど覚えていなかったので、新鮮な目で鑑賞。
ミッチェル・ファイファーはとげとげした孤独な疲れた中年女性を上手に演じている。彼女の部屋に飾ってある写真が家族のものでなく、ウェートレス仲間の写真ていうところが、この女性の孤独さを強調しているように思う。
アル・パチーノも前科者のコックという派手さのない役どころをうまくこなしている。彼のに部屋には別れた奥さんと子供達の写真が飾られている。これもまた孤独だ。
フランキーの硬く閉ざしていた心が少しづつ緩み、花屋のシャッターが突然開き、真っ赤なバラの花たちの前で情熱的にキスを交わすシーンが印象的。脇役人たちもなかなか味があってよし。そしてラストの歯磨きのシーン。 歯を磨いているだけなのに、二人ともセクシーだった。最後に自然と笑みがこぼれてしまう、なんかいい感じの大人のラブ・ストーリー。
ジョニーの愛を遂に真っ正面で受け止めた瞬間のフランキーが良い。
抑圧から解き放たれ一気にカタルシスに浸る、その涙に心打たれた。
傷心を抱え込み、接近する異性には警戒心の塊、いつしかそれは
心の刃(やいば)となり、外へ向けられている。
だが、ジョニーはその刃に何度も何度も突進してゆく。
血だらけになりながら。
中年男の滑稽な執拗さという表現だけでは片付けられない
過去ある同士の哀しさ、寂しさがにじみ出てはいても
一方で、達観あふれる大人のラブストーリーをやさしい眼差しで
描いてる。
務所帰りのジョニーを雇い入れてくれたレストランオーナーはじめ
周りの人間一人一人の描写も行き届いており
台詞は決して多くないが、二人の恋の進行に要所要所で
合いの手をいれるかの如く和ませてくれる。
芯から心が暖まる映画でした。
秋になるとなんだか人恋しくなります。そんな秋の夜にお薦めな映画です。
人生30年、40年と生きていると、いろんな事があるんです。決してピュアなだけの恋愛なんて実際にはないのです。そんなものがあるとすれば、邦画の高校生恋愛物の中くらいのものです。
全体的にきれいなだけの映画ではないのが良いですね。疲れきって、ちょっとくたびれた感じの大人の恋。
フランキー(ミシェル・ファイファー)の煮え切らない態度に少しイライラするものの、なにかあるんだろうなというのは感じます。『あなたになら言える秘密のこと』や『サラエボの花』のようなショッキングな秘密ではないものの、当事者にとっては大小では測れない心の傷を負っているのでしょう。
ジョニー(アル・パチーノ)の陽気さも、なんだか自らを鼓舞するために無理に自分を作っているようにも見え、痛々しさを感じます。
小粒ながらもなんだかほんのりと暖かくなる、ちょっとほろ苦いホットココアを味わうような作品です。