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ごく普通の19歳の女子大生、エミリー・ローズ。ある夜、彼女は突然恐ろしい幻覚に襲われ。凄まじい痙攣を引き起こす。自分に何かが取り憑いていることを確信した彼女は、医学ではなくムーア神父に自らの運命を託すことにした。しかし、悪霊祓いの儀式の後、エミリーは命を落としてしまう。やがて、起訴されたムーア神父の裁判が始まった。証拠品として提出された悪魔祓いを記録したテープと死の直前に彼女が書き残した1通の手紙が裁判を衝撃の結末へ導いていく。
この映画はホラーではなくドラマのジャンルに分類されるべきだと私も思う。
アメリカを舞台にした法廷劇なので、当然「陪審員制度」が前提にある。おそらく陪審制度のある国の人がこの映画を見る際には、陪審員の立場に置き換えてみることになるだろうし、制作者もそれを意図して映画を製作していることと思う。日本でも陪審員制導入の動きがあるので、私達がこのような事件の陪審員になることも皆無ではない。アメリカでも陪審員全てがキリスト教徒とは限らないので、キリスト教徒ではない私も出来るだけ公正な目で映画を見てみようと思った。
しかしこの映画はエミリーローズの事件は、悪霊の実在を前提としている方向で制作されてしまっており、法廷劇としての面白さを少し欠いてしまっているようだ。もう少しナチュラルな立場でそれぞれの陳述を描写し、最後まで判断を観客にまかして欲しかったところだ。これは監督の人選ミスのような気がする。だってこの監督ヘルレイザーやルール2などの脚本を手がけた人ですよ。絶対オカルト寄りになるに決まっいます。もっと社会派の監督を起用して欲しかった。
ちなみに現在の日本の裁判制度ならば神父さんはどのように裁かれるのであろうかと考えてみた。そもそも検察が起訴をするのかどうも微妙そうだ。事故か事件か。もし起訴するとしたら罪状は、業務上過失致死?。それとも詐欺罪?。どう考えても殺人罪に問えるとは思えない。裁判制度が変わるとずいぶん事情が変わりそうだ。
アッシュ2さんのレビューの「恐怖のイナバウアー」という言葉が頭にこびりついていて、その場面では思わず噴出しそうになってしまいましたよ。本当は恐怖の場面なのに・・・。
ホラーとしての面白さはまったく無いが、異色の題材を扱った法廷劇として一見の価値あり。
実際に起こった“悪魔憑き”に基づいた映画(原作も)といえば、まず『エクソシスト』が思い浮かぶ。が、本作が『エクソシスト』とかなり趣を異にしているのは、エミリー・ローズという女子大生が死亡した際に、その場に居合わせた一人の神父が、悪魔祓いを施したがために彼女が死に至ったとして過失致死罪に問われ、その裁判を通して、エミリー・ローズの身にいったい何が起こったのか?彼女は(精神的な)病気だったのか?それとも、本当に悪魔に憑かれていたのか?が描かれていくところ。物語はだから、神父を弁護することになる無可知論者の女性弁護士の視点で進んでいきます(ちなみに、検事は熱心なキリスト教信者という設定)。
そういう意味では、本作はホラー若しくはオカルトというより法廷劇という印象が強い。が、エミリー・ローズの身に起こる怪現象や、悪魔払いの場面はなかなか強烈ではあるので、その手が苦手な方にはさすがに後を引く内容ではあると思います(特に、エミリーの中にいる6体の悪魔が名乗る場面、とりわけ最後の名前はぞくりときましたね)。
全体としては、悪魔憑きというセンセーショナルな描写も含めて、法廷劇としてなかなか興味深く観ることが出来ます。結末(判決それ自体は、実際その通りのようです)は、ちょっと微妙かなあ、という部分もありますが。極端にどちらか(病気、悪魔憑き)に偏らないようには描かれているように思います。判断は観る者にゆだねられているのでしょう。
ちなみに、モデルとなった事件は、映画のようにアメリカではなくドイツでの出来事で、もちろん女子大生の名前はエミリー・ローズではないし、過失致死罪に問われた神父も4名だとか・・・と、ちょっと調べた程度ではなかなか事実の全貌には辿りつけていません。いずれにせよ、事実からはかなり脚色が施されているようなので、本作で描かれた全てを事実と思わないよう、基本はフィクションとして観るのが正しいのかなと思ったりします。
それにしても、エミリーを演じたジェニファー・カーペンター、実質出演場面はそれほど多くはないのですが、とにかく凄かったです。まさに迫真。『エクソシスト』のリンダ・ブレアの二の舞にならないか、思わず心配になりました。
本作はアメリカではなく、70年代のドイツで実際に起こった
。少女の不可思議な怪死の事件を基に脚本されたオリジナルな
物語、悪魔祓いが法廷で裁かれる点がアメリカ的な脚本です。
ハリウッドには法廷モノ、と呼べるほど裁判を扱った作品が
多く(良作も多い)これも陪審員制度ならでは?かもしれません。
悪魔の棲む家、もそうですが余り実話と言う事に縛られない
で見る事をお薦めします、あくまでモチーフに過ぎませんから。
本作の見所は何と言ってもJennifer Carpenterの力演でしょう
前作「シャッフル」で注目したのですが(作品自体はC級ですが)
期待通りの熱演で、殆どSFX無しでエクソシズムを表現しており
観る側をグッと引き込む、重要な役処を見事に演じています。
主演のTom WilkinsonとLaura Linneyの抑えた演技も中々で
最近こうしたキチンとした演技を見せてくれる作品が少なく
なったなあ・・・と思います。この演技の良さを更に引き出す
のが撮影のTom Stern。彼はClint Eastwoodの近作の撮影監督
ですがこの抑えた、しかし重厚なカメラが本作と良くマッチし
てると思う。時としてドキュメンタリーと見紛うシーンも見事。
本作は公開当時「エクソシストを超えるホラー」なんて馬鹿な
宣伝をされたおかげで、あまり評判が高くは無かったのですが
再見する度に味のある、最近では珍しい良作ではと思いますし
「面白い」と言うよりも「興味深い作品」です。