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ジュリアンは上流階級の夫人の“恋の相手”をするジゴロ。鍛えた肉体をアルマーニのスーツに包み、数か国語を操る彼はプロ中のプロだ。だが彼は殺人事件に巻き込まれてしまう。アリバイはあるのだが…。ブロンディの名曲「コール・ミー」に乗って、華麗な世界に生きる男の野心・孤独・愛が描かれるリチャード・ギアの出世作。
この時代には、こういうインテリアや、雰囲気がカッコよくて、ローレン・ハットンのああいう感じがきれいだったのねえ~っと、80年代に思いをはせることができます。そして、80年代から今に至るまでずーーーーーっと素敵なギア様の息の長さを確認することができます。
もともとはジョン・トラボルタにオファーがあったのだそうですが、彼はジゴロではイメージが悪くなる危険性があるということで、これを蹴って「アーバン・カウボーイ」に出演したという経緯があるそうです。トラボルタのジュリアン役というのも、おもしろそうですが、高級ジゴロって感じではないかも。
本当の愛があったと言いたいのだろうか。サスペンスとしてもロマンスとしてもなんとも中途半端。アルマーニを着こなした若きリチャード・ギアの格好良さを、これでもかと見せつける映画。
上流階級の有閑マダムたちの間を華麗に渡り歩くジゴロの、光と影を描いているのかと思ったら、とんでもない展開に。真犯人の追及が甘い結末は、クライムサスペンスとしては失格。警察は最初からジュリアンを犯人と決めつけて疑わないし、ジュリアンは冷静に犯行を分析するどころか、狼狽して自分のアリバイ作りに奔走する始末。地位のある夫人たちがジゴロのアリバイになんか協力してくれるはずもないのに。彼にその仕事を斡旋した元締めのところに真っ先に行くべきだろう。ジュリアンを救うのが、(お金のかかる)敏腕弁護士とアリバイだけとは…。
ロマンスについても、上院議員夫人のミシェルやジュリアンの満たされない思い、何かを渇望する切実な気持ちが伝わってこないので、運命の恋とか唯一無二の相手とか言われても、言葉だけではピンと来ない。ジュリアン役のリチャード・ギアはとても健闘していると思うけれど、ジゴロ役としては、アラン・ドロンみたいな甘さのなかのクールさとか、目の奥の冷ややかさとかを感じられる方が好みかな。あるいは、もっと刹那的な感じとか。