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アフリカのエリトリアで偵察任務に就いていた米海兵隊の敏腕狙撃手ボブ・リー・スワガー。だが、その攻防で援軍に見捨てられ、相棒のドニーが命を落としてしまう。3年後、スワガーは一線を退き、愛犬サムとワイオミングの山中で隠遁生活を送っていた。そんなある日、彼の元に退役したアイザック・ジョンソン大佐とその部下たちが訪ねてくる。そして、全米各地を遊説する大統領に対して暗殺計画が浮上し、スワガーの経験から犯人が狙撃に及ぶ都市を割り出してほしい、と要請されるのだった。やがて、その都市をフィラデルフィアに絞り、現場で監視にあたるスワガーだったが…。
多くの方が指摘してますけど、この香港映画みたいな邦題はいただけませんね。これのおかげで観ようと言う気が起きずに、手元に有ったにもかかわらず、今日まで観ないでいました。アルバがお得意のパターンで「シューター/無限射程」ってのを出していて、そいつが届いたので、
「よっしゃ、観比べてみるか」
と鑑賞したのですが、面白いじゃないですか。「逃亡者」であったり、「ボーン~」であったり「山猫~」であったりと、似通った雰囲気の作品は多々ありますが、その中でも独特の描き方で、良くできた娯楽作品でしょう。邦題だけ聞くと、B級・C級の香りがぷんぷんしていますけど、とてももったいないですね。
マーク・ウォルバーグは「ミニミニ大作戦」(ああ、これも邦題で存してるなあ・・・)で観て、いい男だと思っていたのですが(私の若い頃に良く似てる・・・って、ウソです、すいません!)マット・デイモンに似てるなと思えたり、たまにブラピっぽかったりしますね。これはと思えるオリジナリティを出すことが出来れば、ブレイクする可能性もありそうです。キアヌ・リーブスが主役という話しもあったそうですが、ウォルバーグで良かったと思いますね。
新米FBI捜査官のニック・メンフィスが登場した途端、かみさんと
「あ!ヒメノじゃん」
「ワールド・トレードセンター」のイメージが強すぎますけど、なかなかの熱演です。っていうか、たまたま縁があって、スワガーの相棒のように行動しますけど、彼がこれほど使える人間だったというのが、ちょっとご都合主義に感じられてしまいますね。
サラは、元相棒のかみさん。傷ついたビルが助けを求めたのはいいとして、それっぽい関係に発展していく2人の気持ちのバックボーンがよくわからないので、今ひとつ納得できないんですよね。死んだ相棒への裏切りとも言えなくもないのですから。
雪山にミッチャムたちを呼び出したシーンは、小説を原作として映画化した作品のデメリット部分が出てしまっていますかね。原作は読んでませんけど、おそらく文字で表現されていれば、手に汗握る場面なのでしょうが、ああやって映像で直接的に見せられると、ある意味滑稽というか、荒唐無稽に映ってしまいます。
そして諮問会からエンディング。せっかく前半、孤高の狙撃手としてのスワガーをうまく描写したのに、途中からは「野生味の無いランボー」に成り下がってしまうし、法では裁けない存在として放免せざるを得なかった悪党どもを、「必殺仕置き人」よろしく、闇で葬り去るなんていう展開には、カタルシスも感じられないのです。
「だったら、初めからこっそり狙撃しちゃえばいいじゃん・・・」
と思ってしまいますよね。
現実には、こういう風に、裁くことが出来ない犯罪も多いのでしょうし、そうやって私腹を肥やす政治家や政府高官もいるのでしょうが、そこはほら娯楽映画ですから、キッチリと引導を渡してくれないとねえ・・・。
まあ、邦題で損をしているのと、中盤まではテンポよく進むのにそこからがご都合主義に走ってしまうので、もったいないなと思います。
しかしながら、娯楽作品としてはなかなか面白いので、「ゴルゴ13」を楽しく読めた人ならば、観て損はないでしょうね。
原作のStephen Hunter著、「極大射程」はメチャクチャ面白い!。
。発売されて10年近い筈だが、上下巻と長い原作も、一気に読ませる魅力に溢れたストーリーは、是非DVDが出る前に読んで欲しい。後に主人公ボブ・リー・スワガーは、4部作とシリーズ化されるが、本作はソノ第一作目に中る。
似た映画で「山猫は眠らない」シリーズも有名。日本人は集団で攻めるより「個」を意識したアクションが生来の感覚(サムライ魂)に合うのかも・・・「ゴルゴ13」の感性は不変らしい。
「山猫は眠らない」で、Tom Berengerが演じたトーマス・ベケット曹長は、伝説のスナイパー、カルロス・ハスコック軍曹がモデルらしい。小説を読む限りでは、ボブ・リー・スワガーとハスコックには共通点も多いので、本作は「山猫」ファンも注目!。
私は随分前に原作を読破してるので、一緒に見た友人の様に「ごくぶとしゃてい」とは言わない(笑)。
秀逸な原作を映画として、どう料理するかと勇んで劇場へ向ったが、結果として原作とは程遠い出来・・・しかし切り捨てられない魅力も存在する。
その理由は、本作が清く「B級」に徹した面白さを追求してるからに尽きる。ガン・マニアなら主人公が左利きのスナイパーと聞いただけで卒倒モノ(軍用銃器は右利き)。しかし、そんな事はお構いなしと突っ走る疾走感が、逆に痛快に思える面白さも有る。
映画で孤高のヒーローと言えば、ジョン・ランボーだが、本作はスタローンでも、シュワちゃんでも、セガール親爺でも、バンダムで、ラングレンでも無い、チャック・ノリスの風味を醸し出すセンスが妙に心地良い(笑)。レンタルビデオで、VHSとβが激しく争った時代のヒーローを、今風に蘇らせたAntoine Fuqua監督のセンスにも脱帽だ。
主演のMark Wahlbergは、もっと評価されて良いと常々思うが、本作で一枚看板を背負う事を任され、見事に応えたと素直に褒めたい。そして本作のシリーズ化も大いに歓迎したい。
私は原作有るモノは、それと乖離した作品は認めない主義だが、本作は別腹(笑)。
「山猫は眠らない」の凋落を見て分かる通り、寡黙で言葉少なく、それをヴィジュアルで補完する作風は現代に合わない。それは緻密な演出やカメラが展開しなければ成り立たず、作劇としてのネタも限られるからだ。
その意味で本作は、ベースが秀逸でプロットも豊富。しかし、下手に陰謀話や政権批判を謳い文句にすれば、本作は中途半端に陥る。さればハリウッド節全開のお気楽アクションに徹した方が、結果として見る側も楽しめる・・・映画なんて、意外と簡単に考えればいいのだと高らかに謳い上げた単純さを、逆に評価したい佳作だ。