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1962年。音楽での成功を夢見るエフィ、ローレル、ディーナの3人は、“ドリーメッツ”というグループを結成して、新人オーディションへの挑戦を繰り返していた。そんな彼女たちに大きな可能性を見出したのが、中古車販売会社を経営するカーティス。マネジメントを買って出た彼は、地元の人気シンガー、ジェームス・アーリーのバックコーラスに抜擢する。彼らのパワフルなステージは全米の注目を集め、“ザ・ドリームズ”に改名してデビューしたディーナたちはスター街道を歩み始めるが・・・。
レビューの前に如何しても言いたい、なぜ本作はOscarで作品賞にノミニーすらされなかったのか?。
私は大いなる疑問と失望を禁じえない・・・勿論、賞を取る事が映画の全てでは無いが、やはりハリウッドにとってOscarは特別なのだ。エントリーした内の4作品は順当として、一つだけ「?」な作品が有るが、2006年度のOscarは初めから出来レースだと告発したい。本作のBill Condon監督は同じミュージカル映画「シカゴ」で作品賞を得てる。あのラジー賞を取ってもおかしくない「シカゴ」が良くて本作が候補すらダメな理由を是非とも聞かせて欲しい。私には映画的政治力以外には思いつかない。
と、怒ってもしょうがないが、実は私はミュージカル映画は苦手(恥)。でも本作は食わず嫌いを止めて見てとお薦めしたい。「Listen」「Patience」「Love You I Do」など聞き処も多く、ブラックミュージックがお好きな方なら楽しさ倍増なのは請け合いの面白さだ。
しかし、本作では手放しで楽しめない現実も見てほしい。
それは当時の(いや今もか)米国はカラーの違いによる差別・区別・格差が激しく、白人と違って何をするにも制約が多く、人々の偏見も根強い。映画の舞台と成ったデトロイトはG.MやFordに代表される世界屈指の工業都市なので、住んでる人の多くは労働階級、つまり黒人が多い。と言うことは貧富の差が激しいと単純に解釈できてしまう。つまり、白人に「なんとしても」取り入らなければ此処では生活できない現実が有ったと思う。その為に自分の理念や信条に反する行動も仕方ない、そうしなければ生活できないからだ。しかし理想だけで飯は食えないのは現代でも変わらない。
このバックボーンを咀嚼しないと、本作の本当の意味は分かり難い。当然の様にアメリカ人なら彼らの此処までの歩みは半ば常識で、本作でも黒人社会の背景までは多くは語らない。私はJamie FoxxやEddie Murphy、Danny Gloverといった主役級の黒人男優が名を連ねてるのは、決してギャラだけでは無いと思う。
もう一つのメインで有るモータウンやブラック・ミュージックについては詳しい方に道を譲るとして音楽がお好きな方なら本作を見る前にサントラを聴く事をお薦め!私の一押し「And I am telling you I'm not going」も是非!。
前評判どおりのJennifer HudsonのOscar受賞は素直に褒めたいが、正直言って演技力で受賞したとは思ってない。私的にはBeyonce Knowlesの方が良かった(ご免ねへそ曲がりで(笑)。Hudsonは歌い方にしても、やや絶叫が過ぎるのがクドかった。全体的に歌が印象的過ぎて目立たないが、本作はセットや衣装などの細かい「こだわり」も見ていて堪能できた。映画としての総合評価はかなりの高ポイントだと、珍しく褒めたい。
本作は単にライヴ感溢れるミュージカル映画として存分に楽しめる一方で、黒人社会の根深さも嫌味なく描いてる。日本で米国のミュージカル映画が大ヒットしない理由は、言葉の問題も有ろうが、やはり社会背景が分からないから?かもしれない。
それにしてもアカデミー協会の本作への評価はどうよ?肝心な歌曲賞で3曲もノミニーしながら、受賞したのは映画ですらないドキュメンタリーの「不都合な真実」・・・私も授賞式を見てましたけど会場のどよめきと言ったら(驚)。助演男優賞の最有力と言われたEddie Murphyは、受賞を逃した直後に会場から出て行くし(笑)。
映画の冒頭で計画性が無いカット割で、落ち着かない編集が続いたのでこの映画はダメかなという感じがしたのですが、題材が面白いので次第に画面に集中していきました。体を通して編集に関しては決して上手いと言える作品では無さそうです。
全体を通してサクサクっと楽しめたのですが、欲を言えばもう少し設定の描き方に深みが欲しい所です。実際のミュージックシーンをモチーフにしているのであれば、敏腕マネージャーの変化の過程も描いても良かったのでしょうか。彼の存在がこの映画のキーポイントの一つで終始彼が物語には絡んできます。そういった意味で言うとこの作品はビヨンセ演じるディーラとジェニファー・ハドソンのエフィ、そしてジェイミー・フォックス演じるカーティス3人の物語なのです。この3人を対比して描いていけば、それぞれの存在がもっと浮き上がり作品に深みが生まれたような気がするのです。
カーティスを掘り下げることで、当時の黒人音楽の置かれた状況、またそれを打破するために彼が取った(取らざるを得なかった)行動、また彼が元から自分の成功だけが欲しかったのかどうか、といった社会的な内容を描く事が出来たでしょう。ところどころビートルズやデトロイト暴動などを挟み込んで社会的なネタも加えたいフシは散見できました。 またカーティスが彼女達に対して本当の愛情があったのかどうか映画では微妙な描き方ですが、このあたりも上手く描けて内容の濃い上質なエンターテインメントになっていたように思います。
ただし私もこの映画は劇場で観るべきだと思います。やっぱりミュージカル作品の売りは音楽ですからね。
ジェニファー・ハドソンがビヨンセを食ったという見方もあると思うのですが、私は逆にビヨンセが出しゃばらずに自分の役柄を演じたのではというように思えビヨンセに好感を持ちました。特に物語り前半は美形は美形ですが目立たない存在として上手くそのオーラを抑えていますが、後半に掛けてスターのオーラを出していくさまは圧巻です。
ということでトータルとしては悪くない作品ですが絶賛とまでは行きませんでした。
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まゆまゆさん、ありがとうございます。
レビューの雰囲気変わりましたか?捻くれ者な性格は変わっていませんが、ここ2年ほどで、他の方のレビューを読んだりしてかなり映画に対する見方や鑑賞する映画のジャンルも広がってきているように思います。私も暖かい言葉を頂いたからまだレビューを続けていられたのだと自覚しています。私の言葉で誰かを勇気づけられるとしたら大変光栄で嬉しい事です。
すべてのショット、すべてのカットに意味があり、無駄だと思えるシーンがほとんどない秀作だ。
。皆さんおっしゃるとおり、ジェニファー・ハドソンが主役だよね・・・(フラガールの蒼井優みたいだ)「アメリカン・アイドル」出身の彼女は、何とこのエフィー役が歌も芝居も本格デビューらしい。
「アメリカン・アイドル」でも、最終まで残りながら優勝できず、悔しい思いをしたとのこと。(あの容姿で最終まで残ったのがすごいけど)そして、「ドリームガールズ」のオーディションを受け続けて782人の候補者の中からエフィー役を勝ち得た。ジェニファーはエフィの役柄を、自分の人生として体験しているのだ。
あのサバーブ、あのヘッドヴォイス、歌を聴くだけで有れば、もう絶賛。が、映画の中の一部と考えれば、ちとくどいというか、メリハリが無い。これからが問題。
ディーナ役がビヨンセと聞いて、今ひとつ不安だった。ダイアナは、本来のブラックミュージックとは異質で(ラヴァ様も言っているが)パンチよりも、表現力が特徴なので、ビヨンセでは違う気がしていた。
実際、彼女の一番の見せ所だと思われる「Listen」での歌唱シーンが今ひとつ・・。美人なのに、歌っている顔が美しくない。
ジェイミー・フォックスは[Ray」で見せてくれたように、音楽的な素養も高く(自分のバンドも持っていて、全米21161になったこともある)カーティス(モータウン・レコードの創設者、ベリー・ゴーディ・ジュニアがモデルでしょ)を好演している。いやな男に思えるのは、彼がうまいという証拠。歌は1曲だけで、本来のうまさは感じられなかったたが・・・。
エディ・マーフィが評判が高いようだが・・。
たしかにジミー(ジェイムス・ブラウンかな?)は重要な役どころだし、人気が下降していく、試行錯誤しながらも自分のスタイル守り抜こうとする役は、実際のマーフィと重なる部分もあるのだ。ふと見せる寂しげな視線は、幾千のセリフよりも多くのことを物語る。
歌もうまいが、やはり歌う表情・・。コメディアンが物真似しているようにしか見えない。
実は私の一番のお気に入りは、C・C・ホワイトを演じたキース・ロビンソン。彼が歌った「Family」は、聞いていてゾクゾクするほどセンシティブで、涙が出そうだった。
25年もブロードウェイでロングランを続けるこの「ドリーム・ガールズ」を映画化する話は、以前からずいぶんあったようだ。80年代後半にホイットニー・ヒューストンをディーナ役に企画されたが、ホイットニーが「AND I AM TELLING YOU I'M NOT GOING」を自分が歌うという無茶な要求をしたため、(エフィーの曲ですから)お流れに。
その後、ディーナをローリン・ヒルで企画されたが、当時、ミュージカル映画が次々とコケたため、またもや企画は立ち消えに。
「シカゴ」がある程度のヒットを記録したおかげで、日の目を見たのだろうか。
モデルとなったダイアナ・ロスは異常にどプライドの高い女性だと言われている。来日したときに、私の友人がバックコーラスで参加したのだが、非常に高圧的で嫌な女だったそうな。
彼女はミュージカル「ドリームガールズ」は決して見ようとしなかったとか。
まあ、無理もないね。ディーナではなく、フローレンス・バラードをモデルにしたエフィーが実質的には主役だから。
セリフを歌で表現する、ミュージカルとロックオペラ(ロックじゃないからR&Bオペラ?)の中間のような映画だが、その観点で見ると、どっちつかずで中途半端な印象。セリフなどなしにしてすべて歌でつないでいくか(「ジーザス・クライスト・スーパースター」のように)でなければ、歌と踊りはステージで、それ以外の場所ではきちんと芝居をした方が良かったのかも。
ひらりさんがおっしゃるように、「モ’ベターブルース」のスパイク・リーが作ったら、どんな風に仕上がるのかな?
とは言え、近年のミュージカルの中では、一級品と言っても良いだろう。
(なげえレビューだなあ・・・最後まで読んで下さったあなた、そう、そこのあなた。暇なんですね~。いやいや、ありがとうございました)