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アフリカのシエラレオネ共和国で、3人の男女が運命的な出逢いを果たす。元傭兵のダイヤ密売人アーチャー(ディカプリオ)、反政府軍RUFの襲撃によって家族と引き裂かれたソロモン(フンスー)、そして、紛争ダイヤモンドの真実を暴こうとするジャーナリストのマディー(コネリー)。すべてはソロモンが闇ダイヤの採掘場で大粒のピンク・ダイヤを発見することから始まる。ひとりはそのダイヤの利益で救いのない暗黒大陸から抜け出そうとし、ひとりは引き裂かれた家族を取り戻そうとし、ひとりは真実を記事にするための動かぬ“証拠”を求める。アフリカ地域紛争で武器調達の資金源として不法取引される“ブラッド・ダイヤモンド”。そのひとつのダイヤに託された、全く異なる3つの願い。アフリカが現在もなお抱える問題を絶大なリアリティで力強く描き、物語は感動的なラストへと向かっていくー。
タイタニックの頃は、まさにフレッシュさ漂うアイドル的な俳優の感ありましたが、年齢を重ねるごとに、イケメン俳優の座からは、少し遠のいてきたような?気もしますが、本作では、なかなか良い味を出していましたね。
アフリカの知られざる惨状の告発・・・ダーウィンの悪夢でもナイルパウチを巡って問題が描かれていましたが、「紛争ダイヤモンド」も多少製作側のオーバーな演出があったとしても、突きつけられた問題の重さに、しばし言葉を失ってしまいましたが、監督の伝えたいことは、伝わって来ました。
テーマの一つは、ダイヤモンドの行方ですが、
人間ドラマも秀逸です。
アフリカ生まれの白人だが、傭兵あがりで、ダイヤの密売人である主人公ディカプリオ扮するアーチャーは、この暗黒大陸に適応した人間。最初は、凶暴さと徹底したエゴイストの密売人という設定ですが、物語が進んでいくに連れて、ジャーナリストの女性の真実を追究する姿や、反政府軍に奪われた息子を取り戻すために闘う父親の愛に触れ、アーチャーの心は変わっていき・・・
その過程を演じ方も流石です。
ただ単に、ダイヤの不正を題材にするだけではなく、もう一つのテーマ、人間の本質に迫っているところが素晴らしい。
私たちは、アフリカの現実を見せられたとしても、遠い国の悲劇として終わらせてしまうでしょう。
たとえ同情の念を抱いたとしても、その場限りの欺瞞にしか過ぎないのではないかと・・・それが本質なのかも知れません。
「人間は、善なるものか、悪なるものか?」という質問があり、アーチャーは、どう答えるか?が私のハイライトでした。
「人間は、人間だ」と言わせた監督に、拍手と信頼を置いてしまいました。
人間は、基本的には善でも悪でもない。人間の行動こそが善悪を決めるというようなセリフがありましたが、それがもう一つのテーマになっていたような気がして、さらに楽しむ事ができました。
俗物的キャラである主人公が持っている小さな正義感と明日への希望・・・そういうのに共感して観てしまいました。
シエラレオネという国があることも、こんな悲惨な内戦があったことも、全く知らなかった。
アフリカのどこかの国で内戦がおこっていて難民がたくさんいて。。というニュースはきっと耳にしていたのだろうが、聞き流していたに違いない。国中のすべての国民が難民になった国。
何てことだ。。
そして、ダイヤモンドの多くが密輸されたものだなんて。
その原石は血塗られていたものだったなんて。
原石を見つけるために多くの人たちが強制的に採掘場で働かされて、少しでも自分の懐に入れようとすれば、その場で射殺される。
まるでシューティングゲーム感覚で村を襲い、全く無防備な普通の人たちを撃ちまくる。
反乱軍もはちゃめちゃならば、政府軍も民間人がいようがいまいがお構いなしで銃をぶっ放す。
どちらも人間らしさのかけらもないほど、荒んでいた国だったんだ。なんて、恐ろしい光景だろう。
あんな美しい緑の国土をもつ国で、あんな恐ろしい出来事が行われていたとは。
彼らの悲しい歴史を止めるためには、ダイヤモンドを欲しがらないこと、買わないこと。買う人がいなければ、売る意味も無くなるのに。。ダイヤモンドの魔力で人間が悪魔になったんだ。
ディカプリオ、今回の演技は抜群だった。
ジェニファー・コネリーとの不要なラブシーンとかも無いのがよかった。この映画にラブシーンはいらないから。
そしてなんと言ってもソロモン役のジャイモンが輝いていた。
胸にずっしりと来る映画だった。
独身の私には縁が無い宝石(笑)、ダイヤモンドは世界で流通する大半を僅か一社で牛耳ってる、その名は「デ・ビアス(現在のDTC)」。Wikiに依れば他の宝石と価値観が違うと顧客を広告で洗脳し、中古の流通を抑制する事で価格競争を排除し独占支配を確立。このマーケティングは世界で最も成功した事例として有名らしい。
。更に創設者のセシル・ローズは圧倒的な経済力でアフリカの一部の地域(今のザンビアとジンバブエの一部)を統一し、ローデシア共和国を建国。しかしアパルトヘイトが非難され、黒人解放運動で崩壊し今に至る。因みにローデシアとは、Rhodesia=ローズの家の意味と有る。
タイトルのBlood Diamond=反政府組織によって採掘された宝石。に対し、業界団体は国連で採択した、キンバリープロセスを通じてテロの資金源としての流通を阻止してると反論。
以上が本作と関係有るかは、ご覧頂いた上て判断して下さい。
本作を要約すれば「白人がダイヤを欲しがるのは分かる。しかし、なぜアフリカ人同士が争わなければ為らないのだ」に尽きる。
Leonardo DiCaprio主演故にお気楽な活劇を予想する向きも有ろうが、実際は世界最大の広告団体で有るダイヤモンド業界を敵に回す事も厭わない、骨太な社会派サスペンス。
一方でレオ様が単なるアクション映画の主演が務まる事も示唆した。常々彼の演技が過小評価されてる事に懸念する私にも朗報だ。
本作が秀逸なのは、表層的にアクション満載の逃亡劇を絡めつつ、暗に世界の裏側で公然と行われてる血生臭い事実を痛烈に皮肉り、しかし静かに語る点だ。本作を見るまで、シエラレオネ共和国が何処かも知らなかったが、劇場を出た後で慟哭に駆られた・・・世界で最も平均寿命が短い国の一つらしい。
監督のEdward Zwickは、私達に「ラスト・サムライ」と言う素敵な贈り物をくれたが、本作も監督らしいヒロイズムとリリシズムの世界。内在するテーマ性を声高に表現せず、見てる内に静かに脳裏に入り込む、高等戦術っぽい演出も健在。その語り口の手際の良さから、ミスリードを誘う示唆も散見される。
最近「アメリカ以外の社会」を認める作品が続いてるが米国一辺倒のアメリカ人の価値観も変わればと思う。メタボリック化したハリウッドの再生には、作品のグローバル化しか道は無い。
本作はOscarに5部門ノミニーされながら、完全スルー(そりゃそうだ)。Djimon Hounsouも良い味出てたし、ポール・ベタニー夫人ことJennifer Connellyも、力の抜けた上手い演技を見せる。
世界のエンタテイメントの総本山ハリウッドが、世界最大の広告主のダイヤモンド業界の裏側、つまり禁忌な部分に踏み込んで描く点も峻烈だ。「ディパーテッド」で作品賞が貰えるなら、本作こそ賞に相応しいテーマと思う。
しかし世界で2番目にダイヤモンドを買う日本人こそ、目を見開いて観るべきか(笑)。なぁーにがスィートテンだ、給料三か月分だと?只の虚構に塗られた「石ころ」じゃないか!ねえ男性諸兄(笑)。