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「機動戦士Ζガンダム」の劇場化第三弾。地球圏の戦乱は、エゥーゴを指揮するクワトロ(シャア)、ティターンズを我が物にしようと目論むシロッコ、ジオン軍残党アクシズのハマーンの勢力により、混迷を極めていた。一方、ついにΖガンダムの力で倒すべき相手を知るカミーユ。戦火の果てにカミーユを待ち受ける運命は!?
シャアが幼いミネバ・ザビに向かって言ったセリフ、
「2歳の時のことを、憶えていらっしゃるのですか?」
が、残っていたのは単純に嬉しかった。
けど・・・。
これでもかというくらいの矢継ぎ早な展開、映画の中、多くを占める戦闘場面、そのコクピット越しの罵りあいに少々辟易してしまう。それにしても、こんなに多くの登場人物が死んでいくストーリーだったか・・・すっかり忘れていた。
そして、ラスト。
やはり、監督の思惑だけで重要なラストシーンを変えてしまうという、その行為は肯定できない。
『ZZ』で、崩壊したカミーユがストレッチャーで運ばれるところをジュドーが見る、あの印象的な場面の意味もなくなる。
富野氏に、どんな切実な事情なり理由があったにせよ、作品への冒涜であり、ファンに対する裏切り行為と言われても仕方ない。
・・・と、思っているのは確かなんですが、
あの、変えられたカミーユの結末。悔しいけど、“これも、ちょっとアリかも”と思っている自分がいる。ちょっとだけ、感動したかもしれない自分がいる。
これを、20年前にやっとけよ、富野さん。
ガンダムについての最小限の基礎知識の無い人には一切おすすめできないのは1部・2部と変わらずです。結末は万人向けと言えますが、本作単体でのレンタルは控えたほうが無難です。
新作カットが全編を通じて最も多く、宇宙を飛び交う感覚的な台詞回し(近作の富野監督調に言えば”言葉が走った”というフレーズに象徴されるような)も、達者な声優陣の熱演により高揚感たっぷりに堪能できます。あと最終決戦時に流れる感動的なBGMは、今でもしっかり覚えていました。名曲です。
賛否が割れているラストシーンについて。
子供の頃に観たTV版の陰惨な結末がトラウマとなった自分には、当時不遇を強いられていた「Z」というコンテンツが、20年たってこういう健やかなアプローチを示される機会が得られたこと自体が嬉しいので、この結末も十分ありと思えました。そもそもTV版ほどカミーユが精神的に追い込まれない構成になっているので、今回の劇場版新訳は、展開に則した自然な結末を迎えたとも言えます。
やはりTV版の結末が良い、という人はオリジナルのみ認めればいいし、いや劇場版も良かった、と感じた人はこの結末もありとフレキシブルに許容するのが良いかと思います。作品をどう楽しむも視聴者の自由ですよ、といった寛容な選択肢を示される機会は今まで「Z」に関しては得られなかったので、それでけで十分と思えました。現在の作画技術で動くキュベレイやZが観れただけでも大収穫です。
TV放送当時はインターネットも無く、現在のようにメディアミックス展開が盛んでもなく、唯一の情報源だったアニメ誌を初めてこずかいで買ってみれば、1stに思い入れのある大人達は「Zは何が何でも頭から否定するのが正しい」という捉え方ばかりで、子供心に相当な悶々鬱々を抱えたものです。続編のZZも、その後カミーユが救われることだけを期待して観ていた記憶があります。
「Z」というコンテンツの長年の不遇を思えば、TV版まで再評価されるに至った現在が信じられない思いです。当時散々にけなしていた覚えのあるライターが、現在は評価を覆しているのを知り驚いたり。
また「Z」に思い入れのある人も実は大勢いた事実を、今になって知ることができたのも嬉しいです。ガンダムといえばとにかく1stありきかもしれませんが、世代的に自分にとっては「Z」が1stとなったガンダムですから。
得がたい贅沢な機会を与えてくれた劇場版三部作に感謝したいです。
20年くらい前のアニメブームの時、多くのTVアニメの作品が、再編集されただけで(もしくはちょこっと新作カットを加えただけで)高いお金を取って劇場用作品としてファンに見せていた。制作費を低く抑えて作れる上に、そうしたものでもファンはお金を出してくれるという、ファン心理の足元をみた卑しい考え方によって行われていたことだ。
今、そのほとんどのそうした作品はDVD化もされず消えてしまっている。つまり、そうした作品が劇場用にも関わらず、いかに後生に残らない粗悪な作品群だったかということを証明している。
そして、このZガンダムの劇場版もしかり。
20年前のそうした制作者の誠意のかけらもない手法を、今のこのご時世でもまだ使っている神経が信じられない。しかも、1つの作品としてさえ成立できていないストーリー構成無視のツギハギの映像。TVシリーズのZガンダムが良作だっただけに、見るに忍びない。
もうやめましょうよ、こういうの。それでも作るなら、せめて完全新画にして下さい。そうすれば、ストーリー構成も劇場用に組み立て直せるし、少なくとも1つの作品として成立させることができるハズ。
作品にもなってない作品を見せて、ファンを食い物にするだけの誠意のない行為を、制作者は恥ずべきだと思います。、