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戦わない軍隊「王立宇宙軍」の兵士シロツグ・ラーダット。彼はいつの間にか宇宙への夢も遠ざかり訓練もさぼり放題だった。そんなある日、街で神の教えを説く少女リイクニに出会ったシロツグは、仲間の反対にもめげず宇宙パイロットに志願することに。かくして「王立宇宙軍」の威信と名誉挽回の宇宙飛行計画が開始された!
大学生のころに見たアニメ。
アニメに多少なりとも関心のある人なら、この傑作の存在を知らない人はいないというくらい有名な作品なので、いまさら作品の内容自体の論評は避けます。
昔のアニメなので画像には期待してなかったけど、なかなかどうして結構きれいな映像だったので驚いた。シネマサイズで横が切れてないし。サウンドもしっかりリニューアルされていて5.1ドルビーサウンドが心地よい。昔見たアニメ、もう一度見てみようか、ということなら、こちらのブルーレイ版をお勧めします。
大学生のころに2回見て、2回ともまったく印象が違ったけど、大人になってもう一度見ると、更にまったく違う印象の作品だった。何度見返しても飽きることが無い、なんというか奥行きがある作品だと再認識した。
ブルーレイ、スポットレンタルその7。ラストです。
とにかくブルーレイでアニメーションを観ておきかった。
で、選んだのがこれ『オネアミスの翼~王立宇宙軍~』。
知る人ぞ知る、バンダイが初めて映像コンテンツに出資した作品にしてガイナックスの劇場アニメ第一作。というか、ガイナックスはもともと本作を製作するためだけに設立された。メンバーは主に、これも知る人ぞ知る「DAICON FILM」関係者、つまり岡田斗司夫とか山賀博之とか庵野秀明とか貞本義行とか。だからつまり本作は、彼らのプロとしての初めての劇場アニメ。
ブルーレイでの感想は、やはり「絵」の解像度がDVDとは数段に違うように感じた。
DVDではほぼ一色に見えた、建物の壁や物体の色が単一ではなく汚れであるとか傷であるとかそういうものまで普通に観ていて判別出来た。映像としてはとても深みが増していた。たいしたものですブルーレイ。
さて本作については、discasレビューデビューの日(2005年4月4日)に短いレビューを投稿しているのですが、あらためて思うことを少々。
久しぶりに観ながら、ふと監督の山賀博之(現ガイナックス社長)が当時この作品の出来について訊かれて答えたコメントを思い出しました。確か、
「完璧。設計通り。我々は芸術(確かここで噛んだ)作品を作っているわけではありませんから、これを完璧と言わずして何を言うかです・・・(笑)」
みたいな感じだったでしょうか。
弱冠25歳。まさに怖いもの知らずとも言える発言です。
確かに、エヴァや一連の細田守作品(時かけ、夏戦争)のキャラデザインで知られる貞本義行の今とは全然違うキャラデザインがしっくりくるか否かは別にして、庵野秀明を中心にして描かれたアニメーションは今観ても相当の完成度を誇っています。特にクライマックスのロケット打ち上げシーンは、基本手描きセルアニメでよくぞここまで!と感嘆するほど圧巻です。この場面だけでも多くの方に観てもらいたいくらいです。
また、音楽監督は坂本龍一。これは言うまでもなく文句無し。
主人公シロツグの声を演じるのは森本レオ。これは異論多いでしょうが個人的には文句無し。
そして肝心要の物語。
オネアミスという国のつま弾き集団宇宙軍が人類初の有人人工衛星打ち上げに挑む姿を、(不純な動機で)パイロットに志願したシロツグの人間的成長、敵国の妨害などを絡めて描いているのですが、ここで山賀博之の「設計通り」という言葉が引っ掛かります。
冒頭からクライマックス、そしてラストシーンに至るまでの流れは確かによく出来ていると思います。ただ、あらためて観ると、その展開がいかにもセオリー通り、例えば敵国の侵攻により打ち上げ中止命令が出ながらも強行するその展開も予定調和のごとく皆を鼓舞すべき者が鼓舞し、それに応えるべき者が応え、決断すべき者が決断する。まさに設計通り、破綻はありません。けれど、あえて言うなら本作全体を通して、観る者の心を揺り動かすエモーショナルな要素を物語に乗せ切れていないのではと。そのせいで、すごく淡々とした印象が残り、全体として間違いなくよく出来た作品なのにもかかわらず、多くの人の支持を得られずに終わったのかもと、今思うようになりました。
事実、本作は劇場公開時、見事にコケました。
けれどその結果、負債を背負うことになったガイナックスは解散できず、借金返済のために事業を続け、後にエヴァンゲリオンを生み出すことになるわけですから、人の世は面白いもんです。
と、いろいろわけの分からんことを書いてしまいましたが、今でも本作は大好きな作品であることに変わりありません。
お粗末。