エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス

話題性に踊らされて映画館までわざわざ見に行った。
ぜんぜんしょうもなかった。
あちゃらて評価される映画って日本人の感性とは合わない作品ってのがよくある。これもその一つだと思う。

監督・脚本：ダニエルズ　（ダニエル・クワン＆ダニエル・シャイナート）
原題：Everything Everywhere All at Once

う〜ん。。。何でもシロクロつけたい私には向いていなかったみたい。色々、詰め込み過ぎなくらい盛沢山の内容だった。
では、まったく面白くなかったか？と言えば決してそうではなくて、このオハナシの着地するところが知りたくて最後まで観てしまった感じかな…
途中、何だか変なモノを見てしまった気がして「今のって、まさか…」と巻き戻して観たらやっぱりそうだった。アレが出て来た時点でアカデミー賞受賞のことは、何処かに飛んで行った…

エヴリン・ワン（ミシェル・ヨー）の目下の問題は、経営するコインランドリーの国税局（IRS)への納税申告と、娘・ジョイ・ワン（ステファニー・スー）と自分との関係だった。おまけにエヴリンの父ゴンゴン（ジェームズ・ホン）は高齢な上、頑固者で車いす生活。夫のウェイモンド・ワン（キー・ホイ・クァン）は優しいけれど頼りない。
とりあえず、納税申告に提出する領収証や書類を揃えているところへ、ジョイがベッキー（タリ―・メデル）を家に連れて来る。エヴリンがゴンゴンにベッキーをジョイのガールフレンドだと紹介すると、ジョイは不機嫌になる。ジョイにとってのベッキーは恋人だったから。
ウィキペディアによると、映画本編では明言されていないけれど、エヴリンはＡＤＨＤ（注意欠陥・多動性障害）の設定らしい。
そして、本作での登場人物でもう一人重要なのが、ＩＲＳの監察官ディアドラ（ジェイミー・リー・カーティス）で、不正を見抜くことに長けていて、エヴリンの申告の不備を指摘し、劇中でエヴリンと対決することになる。
この基本的な人間関係さえ押さえておけば、この（今の）バースを離れて他のマルチバース（多元宇宙）に行こうとも結局、エヴリンの抱える問題に違いはなかったわけで…
ここまでぶっ飛んだ映像にする必要があったのだろうか？

一番シンプルに見せたのが崖の上に並ぶ二つの岩。片方がエヴリンでもう片方がジョイだった。他者のいない岩二つの世界なのに、互いの岩は絶妙に離れている。距離を取っている。
そして、エヴリン岩が近づくと、ジョイ岩は逃げる。もっと近づくとジョイ岩は崖を転げ落ちて行ってしまう。
さーて、これらから何を読み解けと…？
いや、わかるよ、分かってる。今の世の中、多様性を認める時代。人種とかジェンダーとかＡＤＨＤ含めて全部その人の個性なんだって。
こういうことに常に配慮していること、理解していることを示したり訴えたりしなくてはならないのは、まだまだだってことだよね。
このオハナシの結論は、きっとウェイモンドの「優しくなって」という言葉なのだろう。（私の個人的解釈）

ところで、先日、インディ・ジョーンズのシリーズを観たけれど、その２作目『魔宮の伝説』のショーティ少年が、本作のエヴリンの夫役・ウェイモンドだった。
また、数あるバースの中のひとつで、エヴリンはカンフーの達人だった。そのカンフーの決めポーズがジャッキー・チェンみたいだなあと思っていたら、元々の脚本では主役をジャッキー・チェンと想定して書かれていたらしい。ミシェル・ヨーに変更になった経緯は分からないけど、そのお陰で彼女のアクションが観られたのね！

※このユーザーレビューは作品の内容に関する記述が含まれています。

レビューを表示する

かなりゴチャっとした作品でした。
展開が巡るましく変わり、目を離すことができませんでした。
この点は良かったと思います。
ただタイトルにも書きましたが、ソーセージの指とかお尻にピーとかの表現があり、実写で良かったのか？
むしろコミックで描いた方がもっといろいろな表現ができて良かった気がします。

まあ、実写でここまで踏み込んで描いた勇気や、自由奔放に作りこんだ姿勢は称賛にあたいすると思います。

作品としては、かなり好き嫌いがでると思います。
わたくし的には、まあまあという評価です。

コメディ要素？を入れたせいか、むしろ中途半端な印象になってしまった印象です。
よくあるいろいろな詰め込みすぎた結果だと思います。

わたくし的には、コメディ要素を外し、もっとサスペンス要素を強くした方が良かったと感じます。
エンディングもスケールの割に小ぶりで勿体ない気がしました。
まとまっていると言えばまとまっていますが・・・惜しかったです。

まあ、それなりに楽しむことができました。

　このカオスな世界観は、一昔前のアカデミーであれば一発で門前払いにあったことだろう。
マルチバースの展開も、正統SFのそれでは無く、出来の悪いB級コミックのようなお行儀の悪さ。
グラインドハウス的バカSFとでも言ってもいい。それがアカデミーの冠をかぶせればあーら不思議
なんだかリッパに見えてくるのだから。
　
　今現在、どうしたって避けては通れない、ポリコレに対する配慮。人種や性別の問題、LGBTQ…
それらの全てを公平に扱わなければいけない事に、人々はこっそり疲れ果てているのかもしれない。
　だが脚本・監督のニエル・クワン＆ダニエル・シャイナートは、その疲労感を逆手にとるように
あらゆる要素をここにぶち込んできた。映画というレゴブロックを、組み立てては崩し、また並べ
替え、崩す。この脚本は、映画学校では教えられるものでない。

　ギャグの様に多展開するダニエルズのマルチバースに、SF界が大切にしていた法則性や整合性は
半ば無視される。それの何がいけないと問われれば、答えは無い。これでいいんだと言ってしまえば
楽だ。アカデミーの重鎮方も楽になろうとしたのかもしれない。

　脚本監督のダニエルズというユニット（ダニエル・シャイナート＆ダニエル・クワン）クワン氏は
自らがADHD(注意欠陥・多動性障害)であると言い、エブリンにそれを投影しているように見える。
乱暴に言うなら、このマルチバースこそがADHD的だ。クワンは自ら作り上げる作品世界の中で
リハビリを実行しているかのようでもある。彼にとってこの作品世界は、存外奇抜なものでなく、
日常と変わらないのかもしれない。

人の存在しないバースでの「岩生命」の登場に至って、この物語は行くとこまで行き着く。だが、
なおも世界は多動的・衝動的にうごめき続ける。最終的に現バースにおいて、物語は一定の落着を
見せるが（これが案外つまらないのだけど）おそらく未だ世界でカオスは続いているのだろう。

　私たちもそれぞれにマルチバースの中で生きている、いや「生きていたい」と思っているのかも
しれない。どこかに自分のいるべきバースがある。このとことん美しく、くだらない世界のどこかに。

サプライズと言ってもいい感じでアカデミー賞を獲った作品でしたので、期待して観たのですが・・・うーーーん。別次元の世界があって、それらがわちゃわちゃと関わりながら全ての世界を救うという作品、わからんでもないんだけど。なんだかなぁ。

映像が面白いとかそういうものなのかも知れませんが、ネタ的な面白さの方ばっかりを求めている感じでした。もっと格好いい映像とかを入れた方が良かったんじゃないかなあ。なんとなく、アジア系だからこんな感じでいいだろっていう感じがいたしました。

主人公のおばちゃんはミシェル・ヨー。あんなに美しい方だったのに、なんかしょぼいおばちゃんに。もうちょっと美しく描いてほしかったなぁ。昔むかしの武侠映画とかに出ていたミシェル・ヨーさんの雰囲気を求めていたので、闘うシーンとかは残念でした。これだってあの雰囲気でいいんじゃないの、荒唐無稽な作品なんだから。

なんか、あえて無茶苦茶やったろ、ケチつける方がスジ違いやで、という感じで狙って作ったような感じの作品で・・・まんまとアカデミー賞とった、まぁ、そういうもんなんでしょう。