逆転のトライアングル

川と船の映画は大好きなんだけど 海とクルーズ船だとかでは
視覚的にも美術的にも難しいので 懸念がありますね 見る前は
しかし 主人公兼男性モデルの登場の場面からの始まりは やっぱ
この監督にはセンスの違いがありますねと そして犬w いつもの
ノイズ 音響への拘りはタクシーのワイパー音から入ります

パート2で 舞台はクルーズ船 豪華とか言いながら やっぱ張りぼて
感がありますよね もともとそうなんだから難しい そこでは
この監督のどうやらテーマでもあるらしい サーヴィス業と その中
の階級格差の問題提出 そして香港映画の定番 ゲロの大サービスで
乗り越えていきます デモンズもちょい入るか パート3に向け
インターナショナルが流れる中 ブニュエル的不条理劇の閉所は
舞台が孤島へと移る あとは見てね

やはり 長くて退屈を不満とする評が多いのだけど そうかなあ まあ
わかるんだけど 見所としての会話の皮肉な応酬 文明批評的なとこ
とかは置いといて その演出の全編にある ある種のデレイ 差延と
音響を含めてのノイズの物質性の感触の 映画だけにある興奮の様
が退屈を押し除けて面白いんだけどね カンヌで そゆ面が評価
果たしてされてるのかはわからんのだけどね 僕はこの監督の
映画の基調に流れる性善説を含めて 断固擁護しますよ

かったるいお話。
カネ持ちと貧乏人が平等になれるのか・・？　男と女は対等な関係になれるか？　みたいなことがテーマらしい。あと、人間の上下関係は状況によってガラリと変わる、ってところも言いたいみたい。
カンヌ映画祭でパルム・ドール賞をとったそうだが、できは悪いと思う。

主人公はみてくれのよさをメシのタネにしているモデルのカップル。中年になれば消えてなくなる美貌を元手にしてカネを稼いでるせいか、２人とも将来に不安があるわけだが、見栄をはる商売なのでカッコだけはめいっぱいつけようとする。で、レストランの食事代をどっちが払うかでスッタモンダしたりして見苦しい。女は男よりも稼ぎが多いようだが、カネを出ししぶりつつ恩着せがましいことを言う。いつかセレブのいい男をみつけて結婚する・・というのがその女の人生設計。男のほうにはこれといった計画はなさそう。
その２人が富豪ばかり乗っている豪華客船にタダ乗りする。女のほうがユーチューバーみたいなことをやっているようで、インフルエンサーだということで無料なったらしい。
で、船にはロシア人の富豪が多いみたいだった。みんな高齢者でヒマをもてあましている様子。
船長はウディ・ハレルソンで、なんのために登場したのかよくわからない役だった。
で、船はけっこう小さいらしく、海がしけると大揺れに揺れていた。レストランや廊下で富豪たちがゲーゲー吐くシーンが２０分くらいあったが、観るに耐えないものだった。監督は笑えと言いたいらしいが可笑しいと思えるところはなかった。
その船が海賊に襲われて沈没する。
５名ほどがどこかのビーチに流れ着く。
で、水や食糧の問題となる。
で、生き残るためにはどうふるまうか・・ってところでスッタモンダが起きる。
で、便所の清掃係のオバハンが魚をとったりさばいたりする技術や火を起こす技能をタテにとってキャプテンの座に着き、支配権を得る。
で、オバハンはその支配権を利用して好き勝手をはじめる。

ダラダラと長いシーンが多く、観ていてあきた。
が、一応、ラストに結末があった。
パルム・ドール賞をとれたのはその結末のおかげだろうと思う。
５人が漂着した場所は実は・・・というのがオチ。
で、便所係に戻りたくないオバハンは異様な行動にでる。

主役の女優さんは実際に６歳からモデルをやってたそうだが、女優としては大した作品には出ていない。この作品がパルム・ドール賞をとったことでようやく目が出たのではないかと思うが、しかし、この映画が公開された去年、細菌性敗血症にかかって３２歳で死亡したそう。

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「フレンチアルプスで起きたこと」「ザ・スクエア　思いやりの聖域」も変わった映画だったけど、２作とも嫌いじゃない。
あの２作品を作ったリューベン・オストルンド監督作品だから
きっとこれも変わった作品なんだろうということを頭に入れて構えて観た（笑）

第１章で紹介されるヤヤとカールの美男美女のカップル。
これは物語の導入部分ではあるが、長い！
ヤヤはトップモデル、一方カールは落ち目の男性モデルであることが判る。
レストランでの支払いに纏わるもめごとも、長い！
カールが男のくせに（差別用語です）ネチネチとしつこくて、
ああ、こいつ結構面倒くさいやつだな、となる。
一方、ヤヤの傲慢さも鼻に突く。
この長い導入部分で、男女の役割、男だから、女だからの偏見が
現代社会にも根付いていることを強調していると思った。
（モデルの収入は圧倒的に女性の方がいいのだそうだ）

第２章はいきなり場面が変わって世界中のセレブが乗り込む豪華客船が舞台となる。
ヤヤとカールのカップルは、豪華客船で旅行中。
ここでも何かと揉めている二人。
船のクルーは、「客の要望にはなんでも応じて高額チップを獲得しよう！」と張り切っている。
セレブたちは自分たちがいかにお金持ちなのかを競いあうように自慢をする。
船のキャプテンは飲んだくれて、自分の仕事をしようとしない。
きっと彼は鼻につくセレブたちにうんざりしていたに違いない。
時化とカキ料理の劣化（あるセレブの我儘が原因）で、嘔吐するセレブたちを横目に
ロシアの大富豪と名言を言い合うシーンは、これまた長い！
永遠と続くのかと思った（笑）
別の富豪夫婦が自分たちが作って輸出している手榴弾で死亡するという皮肉な展開には
笑うしかない。

第３章は海賊に襲われ爆発した船は座礁、命からがらたどり着いた先は無人島。
ヤヤとカールの他数名が生き残った。
ここからが逆転のトライアングル（階級ピラミッドのこと？）となるわけだ。
豪華客船のトイレ掃除人だったアビゲイルがサバイバル術にたけていたことで、
リーダーとなり、セレブたちを服従させることになる。
そして衝撃（？）の結末。
これはどう解釈したら良いのやら。。ヤヤはアビゲイルに殺されたのだろうか？
カールが血相を変えて走っている理由は？
おそらく殺されたということだろうと思う。
せっかくピラミッドの頂点になったアビゲイルは
この島の真実を知り愕然として、今の地位を奪われまいとしたのではないか？
アビゲイルの形相がこれまた恐ろしかった。
格差社会への痛烈な皮肉が込められている本作は
やはり好き嫌いが分かれそうな作品だった。
因みに私は、嫌いじゃない（笑）

尚、原題のＴｒｉａｎｇｌｅ　ｏｆ　Ｓａｄｎｅｓｓ（悲しみのトライアングル）とは
眉間の皺のことを言うそうだ。
ここにトライアングルが出るほどのしかめっ面ばかりしている人は要注意ということらしい。

コメディとして最後まで楽しめました。

キャラクターの中で、唯一、作り物、虚構を感じるのはウディだ。
豪華客船の船長にあのようなキャラクターは、現実的ではない。
でも、この船長さえまともであれば、美味しいものを食べ、優雅な時間を過ごし、
無事に帰路に着けたはず。スタッフはほぼ誰もが、まともだった。
それは、絵本の中からキャラクターが飛び出して、物語をひっかきまわすような、
台本を無視して、一人歩きした俳優が、結果、映画をめちゃくちゃにしたような
可笑しさを感じる。

汚らしい。下品だ。という評価をされる方々が多かったように思う。
西洋人、欧米人は、比較的アルコールに強いので、公衆の面前で吐いたりしない。
めったにしない。吐くという行為について言葉としてユーモアのネタにはする
けれど、一般的にドラマや映画で行為を見せたりはほぼしない。
自虐ネタは、言葉では行うが、それを体現はしない。要は、体を張った
ギャグはしないのだ。西洋人で明るい安村のような手法で笑いを取ろうと
する者は少ない。それを敢えてなのか、彼らなりの吹っ切りがあったと、
認めてあげてもいいのではないか。

思えば、地方から出て首都圏に住んだ時の、週末の夜の電車やホームの
嫌悪感よりは、よっぽどましだ。重い腰を上げて週末におしゃれをし、
お友達との会話の中で、知らずにサンダル履きのまま踏んずけた、
あの時の非常に嫌な出来事が思い出され、それこそ吐きそうになった。

シンプルに言えば、先進国に住む、平和慣れした我々、ほぼこの程度のものだ。
ということだ。卑しく、恥知らずで、傲慢で、自分が知りえる限りの事しか信じない、
愚かな生き物だということだ。
CGや技術のみが不必要に発達し、金の無駄遣いを感じる、くだらない娯楽映画
よりは、自らを省みる機会を与えるこのような映画の方がよっぽど
ましだと思える。