ベネデッタ

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ポール・ヴァーホーヴェン監督の『エル』以来の新作であるが、
ヴァーホーヴェンも丸くなったのか？という印象を持つほど切り込みが甘い印象だった。
（という事は、「あなたにはこのテーマを咀嚼できる力がないのだろう」と言われる可能性もあるが、
色々描かれているわりには感動要素がないのである。）
実話というか、同性愛裁判記録『ルネサンス修道女物語』（JC・ブラウン著）というノンフィクションを下敷きにしている。

17世紀、イタリア・ペシアの町。(現在のイタリア・トスカーナ地方)
信心深いベネデッタ・カルリーニは、6歳の時にテアティノ修道院に出家する。
その日、修道院のフロアにあるマリア像にお祈りすると、なぜかマリア像が倒れてベネデッタに覆いかぶさってきた。
目の前のマリア様の胸に思わず吸い付くベネデッタ。集まってきたシスターたちは「ケガしなかったのは奇跡だ」と騒ぐが、
院長のフェリシタ（シャーロット・ランプリング）は、「奇跡なんか度々起こるもんじゃない」と冷たい。

18歳になったベネデッタは、よくキリスト・イエスの夢（幻視？）を見るようになり、
『私の花嫁だから貴女を守る』などと言われたり、『ペストが流行り死者が出るがペシアの町は無事』などと予言めいた言葉も受ける。
ただ、裸のイエスに（あるべきもの）がついていなかったのは、まったく想像できないか元々、同性愛者の素質ゆえか、ちょっとわからない。

純粋無垢なまま成人したベネデッタは、ある日、父親の暴力から修道院に逃げ込んできた若い女性バルトロメアを助ける。
バルトロメアは無学で信仰心もなかったが、性暴力を受けていたせいか、欲情だけは一人前だった。
様々な心情が絡み合いいつしか2人は秘密の関係を深めてゆく。
処女のベネデッタに「こけし」まで使って快感を教え込むバルトロメアはどうしたもんかと思うが、
こんな時イエス様は「俺の花嫁に何をする！」と現れないのかね？
二人のレズシーンは長くて、（アダルトビデオかい？）困ってしまった。
原案のブラウン氏が「セクシャルシーンに重きを置きすぎている。私の名前を削除してくれ」と申し立てるのももっともだ。

さて、ベネデッタは突如、手足から出血して、教会は『聖痕があらわれた！』と歓喜する。
主席司祭は巡礼者が増えることによる寄付の増加と、それに伴う教会内での地位向上を望み、
フェリシタに代わりベネデッタを新たな修道院長に任命する。
収まらないのがフェリシタ（シャーロット・ランプリング）だ。
実は部屋の壁に穴をあけて「覗き」をしていた。ペシアの町を抜けて、教皇までベネデッタの罪を告発にゆく・・。

当時の教会の計算高さや腐敗を見事に描き、ペストにかかったシャーロット・ランプリングの演技なんかおぞましくも凄まじい・・。
ベネデッタは誘惑に負けるし、特に聖女には描かれていない。（マリア様の形のこけしなんか信者には卒倒ものだろう）
でも幻視や聖痕は本当のようにも思う。が、私にはよくわからない・・・。

ヘアの無修正が頻出するが、題材のゆえか、演技の迫力か、嫌らしさは感じられない。

あまり面白くなかった。
無宗教なので理解出来ないことが多かった。

　実在の出来事を基にした話だが、男性社会で女性がのし上がったという事実。
　実際に聖痕はあったのか偽りなのかは別として、彼女が彼女たる資質で手に入れたのは事実。

　奇跡なのか詐欺なのかはどうでもいいのかもしれない。

　ある種の愛と欲望に満ちた物語。
　１人の修道女の栄枯盛衰。

　とんでもない魅力に惹きつけられる。

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