あちらにいる鬼

原作は白木篤郎のモデルになった井上光晴の娘・井上荒野の小説。
寂聴さんに直接取材して、書いたそうだ。
寂聴さんも、もう既にいろいろなものを超越しちゃってたから
快く取材に応じたのだろう。
小説にも感動した！と絶賛していたとのことで、映画化も楽しみにしていたそうだが
映画を見ることなく２０１９年に９９歳で他界した寂聴さん。
私のイメージする寂聴さんは穏やかで仏様のような女性だと思っていたので
実は愛に奔放で、４歳の娘を置いて婚家から若い男と逃げ出したあと、
その男とくっついたり、離れたりして、暮らしていたということ、
その後ずっと妻子ある作家と不倫関係だったことを知り、愕然とした。
あの仏様のような寂聴さんって、そういう女性だったんだ！
いやはや、波乱万丈の人生だったのね。

誰かを好きになることは止められないことだからそれは仕方がない。
ただ、長内みはる（寺島しのぶ）が好きになったこの白木篤郎（トヨエツ）という男がクズ男で
作家としては優秀（でも実は奥さんが書いていた？）だったのかもしれないが
あちこちに女を作り、下半身の制御が全くできない男だった。
妻に愛人のお見舞いに行かせたりを平気でするデリカシーの無さは
なんとも腹立たしい。
白木の奥さん（広末涼子）は、これまた凄い女性だと思った。
白木の感情や行動を全部知っていて、冷静さを装っている。
そして時々チクリ、チクリと白木を追い込むのだ。
夫としては失格だけど、いい父親だあると思っていたから、
そして必ず夫は自分の元に帰ってくることを知っていたから
ずっと別れなかったのだろう。

そんな白木の呪縛から解き放たれるためには出家しかないと決断したみはる。
何故にそこまで？と思うが、今にして思えば、よっぽどの決断だったのだろう。
出家したその夜も、みはるの苦悩が表れていた。
出家してから暫くして、尼僧姿で白木家を訪問するみはる（この時は寂光という名）
は、白木の奥さんとも仲良くなる。
同じ男を愛した者同士の同志愛みたいな繋がりが出来たのかもしれない。
自分勝手な人生を生きて、二人の女性に看取られた白木は最高に幸せな男だったと思う。

かなりいい作品。
役者さんみんなグッド。　👍

寺島しのぶ、豊川悦司（ラブ）主演「あちらにいる鬼」を見ました
共演　広末涼子、宇野祥平、丘みつ子、高良健吾です。

瀬戸内寂聴さんをモデルにした、寂聴さんの不倫相手の娘さんが原作です。

ある講演会で出会った作家白木篤郎に惹かれ、彼が家族と住む団地に尋ねていく長内みはる。

みはるは若いころ、子供を置いて、夫の教え子である慎二と駆け落ちし、くっついたり、離れたりしていた。
白木もまたみはるの住んでいる家に尋ね、いきなりウィスキーを飲む。
みはるは慎二ときっぱり別れ、白木と付き合うようになる。
白木の浮気癖を妻笙子は知っていたが、彼女は「絶対に別れない』と行く確固とした覚悟を持っていた。。


しかし、白木はクズだにゃー。いい男で、もう、足も長いし（そりゃ、トヨエツだし）、弁舌もさわやかで（まあ軽薄ともいえる）平気でうそつくし。。

ほんとにクズをトヨエツが好演。洒落じゃないけど、公園でのシーンはマジでトヨエツ、かっこいいぜ。

まあ苦手分野ですけど（笑い）。。

彼との修羅を断ち切るには出家しかないとみはるは決心するが、それでも、なかなか未練が断ち切れない様子も描かれていました。

笙子の、はかないようで、強い女性を広末涼子が好演。
　わたしならこんな夫、いらんけど、でも、いい父親なんですね。
きっと妻が夫のこーゆー乱交（？）を家で子供に気づかれないように、あくまで平和に務めていたんでしょうねぇ。。

小説をなぞるような映画で、実はこれも2時間半と長い。

一つの小説を読み終えたような作品でした。

私は修羅を経験してないんで（笑）、ああ、そうなんだーと思う映画でした。
でも白木はきっと幸せだったと思いますよ。