リング・ワンダリング

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　そして、そっと記憶に寄り添い、あなたたちを決して忘れないと。だから、特に前半は、丁寧でゆっくりした展開だけれど、もう少し緩急があってもよかったかもしれない。失われたささやかな日常生活、戦争の犠牲となった無辜の人々、迷い犬となり地下に埋もれてしまったシロ、毛皮のために乱獲され絶滅してしまった日本オオカミ、幻の日本オオカミの存在を信じその捕獲に執念を燃やす猟師の銀三、そんな父親によって仕掛けられた罠で誤って命を落とした梢。滅びたものたちは不思議な時空の輪で結びつき、遠い記憶の彼方から甦る。絶滅した日本オオカミはその形象となっている。

　フィクションと現実、過去と現在、映画は異なる次元を易々と超えていく。漫画家志望の草介は、建築現場で働きながら、日本オオカミを執拗に追う猟師の物語を描いている。草介は、すでに絶滅してしまった日本オオカミのリアルな造形に苦労している。そんなとき夜の建築現場で飼い犬のシロを探すミドリと偶然出会い、怪我をしたミドリを背負って神社の鳥居をくぐると、そこはいつしか昭和20年の世界に。彼の描く漫画の世界もまた、いつしかリアルな実写となり、そこは明治時代。漁師の銀三は、幻の日本オオカミを追って、雪積もる険しい山の中へと分け入っていく。

　フィクションと現実、令和（現在）、昭和、明治という３つの時間が交差しシンクロして、リアルで、それでいて幻想的な、滅びたものたちへの祈りを感じる不思議な映画になっている。ススキの茂る草原、神社の石段や御神木、橋を前景にして打ち上げられる冬の花火、雪積もる山や滝、様々な美しい情景が心に残る。

全くのノーマーク作品でしたが
フィルマークスでの評価もなかなか高かったので観てみました。
ストーリーも前知識ゼロで観たせいか
驚きな展開が待っていました。

現代、漫画の世界、過去の世界と
物語は漫画家を目指している青年を中心にして
ファンタジックに展開されていきます。

漫画家を目指している草介は、ニホンオオカミを題材にした漫画を描いているが
どうしてもニホンオオカミをうまく描けず悩んでいた。
インスピレーションを得ようと山へ出かけたある日
山の中でカメラを首からぶら下げている一人の少年と出会う。
草介が描くニホンオオカミを見て、少年は、そんなのニホンオオカミではない、
いつか僕が本物のニホンオオカミの写真を撮って、見せてやるよ、と言う。
絶滅したニホンオオカミがいるわけないじゃないか、と草介はバカにするが。。
その少年との出会いから、草介は不思議な体験をすることになる。

よく考えられたストーリーにとても惹きこまれました。
根底にあるのは、家族の愛の物語です。
淡々と青年を演じる笠間将ですが
そのクールな感じが、後半への展開に
良い効果を出していたように思います。
ラスト。。。うわー、そうきたか〜。
あまりに綺麗なラストの風景は、何度も巻き戻して見てしまいました。
とても良かったです。

好き！な映画がまた一つ増えた。