イレイザー：リボーン

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シュワルツェネッガー主演の1996年制作「イレイザー」をリブート！
という触れ込みであるが・・
限りなく残念な仕上がりである。
シュワちゃん役、証人保護管のドミニク・シャーウッドは若いイケメンでそれは
いいのだが、保護されるミセス・キムラ（ジャッキー・ライ）が、顔も性格も悪く、
ペコちゃんポコちゃんの、ペコ顔であった。

「電磁砲を国外に密売」というテーマはスッポリ抜けている。ので、最新兵器の
EM砲も、ジェット機も出てこない。
飛行機から落下するシーンも、ワニに襲われるシーンもない。
金のかかりそうなシーンはまったくスルーなのであった。

そのかわり、ダチョウとかカバとかサイが出演・・。
くそつまんない。
「イレイザー」のラストでは、乗った車が爆破して二人とも死んだように見せかけた
のであるが、今作では、その爆破シーンはあるとしても、悪い意味で裏切られる。
（めっさバカらしい。あのペコちゃんと・・！）
くまげら史上、最悪の評価です。

監督：ジョン・ポーグ（2022年・米・102分）

これを観る前にオリジナルを鑑賞した。
続けて本作を観て、メイキング映像も観た。
ジョン・ポーグ監督や脚本家たちのコメントも聞いたけれど、彼らの語る熱さに比べて、私の感想は冷めたものだった。彼らは言う。オリジナルとは時代が違う。今の時代こそ、この内容に相応しいのだと。
本作は“リメイク”ではなく、“リブート”だという。過去作品ではできなかった表現を現代の技術で演出・解釈し再構築するのが狙いらしい。でも、私にはオリジナルをなぞっただけのように見えたし、オリジナルがパンパンに膨らんだ風船だとしたら、本作は空気が抜けて萎んだ風船になっていた。
レビュアー・くまげらの森さんが「つまらなくリメイクしてどうする！？」と書かれているけれど、まったくその通りだと思った。

私が面白くないと感じた理由。
・主役で重要証人の保護官メイソン・ポラード（ドミニク・シャーウッド）が、他の保護官と比較して、特別強そうに見えなかった。彼を育てたというポール・ウィットロック（マッキンリー・ベルチャー3世）の方が体格も大きくずっと強そうだった。
オリジナルの主役はアーノルド・シュワルツェネッガーで、必ず守ってくれるという安心感があった。
・ヒロイン、リナ・キムラ役のジャッキー・ライ。名前から日本人の設定だと分かる。しかし、彼女を消去した後の名前は二つとも日本人名ではなかった。それならば、最初から彼女を日本人の設定にする必要もなかった筈。そもそも日本人に見えないのだから。
・リナ・キムラが、夫の不正を暴いた理由。それは彼女の正義感からではなく、莫大な資金を横取りすることだった。また、陰謀の内容が、直ちに世間を揺るがすようなものではなく、危機感を感じられなかった。
・裏切者である人物が、見るからに（最初から）怪しかった。今の感覚に配慮して所謂白人を上司にせず、登場人物を多国籍にしたにも関わらず、部下の女性に対してセクハラ発言をさせていた。
・総じて、キャストたちの魅力不足。
・リブートという割には、材料を替えただけでストーリーの流れは同じ。観ていて、このシーンはアレだと分かるくらいオリジナルをなぞっていた。ラストのクレーンに吊られたコンテナでのアクションもそのままで、ピストルが傾いたコンテナの上を滑って行くシーンもそのままだった。最後に裏切者にサイのツノが刺さるシーン。このCGがお粗末。
・無事に裁判での証言を終えたが、リナの乗った車が爆破される。オリジナルでも同じシーンはあったけれど、本作では余計な付け足しがあった。これは、本当に不要。
・文句ばかり書いてしまったので、お口直しに一言。ケープタウンの映像が見られたのは良かった。山と海に挟まれた地域で、小高い丘から見下ろす市街地や遠くに開ける海が美しいロケーションだった。しかし、視線を転じれば、貧しい黒人たちの居住区があり、その中での撮影中のエピソードがメイキングで語られていた。（あ、これを書いてしまっては、お口直しにならないか…m(__)m　）

過去作品を知っている人と、リブート作品で初めて観る人とでは、きっと印象も感想も違ってくるだろうと思う。私自身でさえ、直前に再見していなかったらどうだっただろうと考えた。これからご覧になる方の妨げにならないよう願う次第。

確かに話の流れはリメイクだけど、
個人的にはここまで酷くしなくても。
と思ってしまった。

５点

面白かった

評価のみ