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パーフェクト・ケア / ロザムンド・パイク

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「パーフェクト・ケア」 の解説・あらすじ・ストーリー

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解説・ストーリー

『ゴーン・ガール』のロザムンド・パイクが悪徳後見人を演じたクライムサスペンス。常にたくさんの顧客を抱え、裁判所からの信頼も厚い法定後見人のマーラ。だが、その正体は医師やケアホームと結託し高齢者たちから資産を搾り取る悪徳後見人だった。

「パーフェクト・ケア」 の作品情報

作品情報

製作年:

2020年

製作国:

アメリカ

原題:

I CARE A LOT

「パーフェクト・ケア」 のキャスト・出演者/監督・スタッフ

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「悪党」ロザムンド・パイクの小気味良さ!

投稿日:2022/03/25 レビュアー:くまげらの森

(2020年制作・アメリカ)
法定後見人のマーラ(ロザムンド・パイク)は、法の目をかいくぐって合法的に
老人から家屋等の資産を奪っている。
まだ元気な老人に『認知症で一人で暮らすのは困難』と、診断書を出す医師、
『介護の名で軟禁状態』に出来るケアホーム長。その両方と結託して(時にリベートなど払いながら)死ぬまでホームに入所させるのだ。(財産奪い放題)

(ちなみに法定後見人には、重要な取引行為(不動産の売買など)から日常の買い物まで財産に関する全ての代理権が認められている。)

『後妻業』のような、直接老人をたらしこんだり、遺言を書かせる話ではない。
紙切れ一枚突き出して、いきなり「老人ホームに行ってください!」とのたまうマーラ。
「パーフェクト・ケア」とか言うからもっと介護の現場も見たかったが望むべくもない。
監督は、「アリス・クリードの失踪」のJ・ブレイクソン。
コメディー色も散りばめた一級のピカレスク・エンタメである。

マーラと恋人でもあるフラン(エイザ・ゴンザレス)の仕事は順風満帆だった。
さて、次のネギ背負ったカモは、身寄りのない資産家のジェニファー(ダイアン・ウィースト)だ、
優良物件だよとウキウキ気分の二人だったが・・。
老人ホームに押し込めたはいいが、なぜか偽弁護士や偽友人があらわれ、ジェニファーを連れ出そうと画策する。
実はジェニファーはロシアンマフィアのボスと深い関係があったのだ!

ホームから脱走させるのに失敗するボス(ピーター・ディンクレイジ)は、ついに
マーラの命を狙ってくる!
マフィアの冷酷無比かつ暴力的な態度!。無慈悲な殺し方をさんざん見せといて、
マーラもついにここまでか・・と見えたが、むにゃむにゃ。(ネタバレするとこだった)
「悪徳後見人バーサス悪の支配者」、ばあさん渡せと仁義なき抗争って感じ?

そして、ダイアン・ウィーストの凄みのある笑い方。(アンタ、死ぬわよ、ニヤッ)こわ〜!
意外な展開の終盤も納得です。面白かったです。
(介護ご老人をもうちょっと見たかったけど、そういう映画じゃないんでね。)

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負のアメリカンドリームがたどり着く先 ネタバレ

投稿日:2022/04/28 レビュアー:hinakksk

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 面白いかどうかと言えば、背筋が寒くはなるけれど、とても面白い映画です。医師やケアホームと共謀し、合法的に高齢者から全財産を奪い取る悪徳後見人の悪辣ぶりを描く話なのかと思っていると、後見人マーラが次のターゲットに選んだ天涯孤独だったはずの老婦人ジェニファーに隠された秘密があったことから、物語は詐欺による搾取からまさかのサスペンスへと急転し、最高級のダイヤモンドやらジェニファーのケアホームからの解放をめぐり、ロシアンマフィアとの打々発止の極めて危険な攻防に。どんな脅迫にも最後まで平然と持論を通し、決して怯んだり屈することのない憎々しいマーラを演じるロザムンド・パイクのタフネスぶりが半端ないです。

 世の中に善人なんていない。フェアプレーなんて金持ちの保身のための言い訳にすぎなくて、この世は弱肉強食の世界だ。奪う者と奪われる者、捕食者とその餌食、ライオンと子羊との2種類の人間しかいない。私は子羊じゃない、獰猛な雌ライオンだ、私に「負け」はない、絶対に金持ちになり成功するのだとマーラは豪語する。そうして彼女のやっていることは、金持ちの老人を合法的に介護施設に閉じ込めて、彼らの財産を奪い取ることなのだ。老人自らの選択ならともかく、それが老人の利益だと強弁して強制的に彼らから基本的人権である自由を奪い、肉親にも友人にも会うことのできない孤独な晩年を過ごさせる。(いくら衣食住が保証されて専門のケアが受けられるとしても、こんな晩年は絶対に嫌だ。)

 あっぱれな悪人ぶりなのかもしれないけれど、マーラのやっていることは、それほどに罪深い。「この国で成功するには、勇敢で、愚かで、残酷でなければ。フェアプレーじゃ負けるだけ、桁違いの大金持ちになりたい」と自信満々で言ってのけるマーラの豪胆さに、敵対していたマフィアでさえも感服して、全国展開の後見人請負事業の共同経営者にならないかと提案する。ついにマーラは、建前だけは合法的な、介護の総合ビジネス企業のCEOにまで昇りつめる。けれど、人の心を傷つけたり恨みを買ったりすれば、いつか必ずその代償を払わなければならないというのも、また世の常なのだ。映画の結末には賛否両論あるだろうが、私は至極真っ当だと思う。こんなことがいつまでも許されていいはずはない。輝かしい成功のまま終わっていたら、とても居心地の悪い映画になっていただろう。

このレビューは気に入りましたか? 7人の会員が気に入ったと投稿しています

ジェンダーレス時代の悪女はこーよ

投稿日:2022/06/12 レビュアー:ポッシュ

ずいぶんとまぁ薄汚いアメリカン・ドリームよのう・・・と、うなだれちゃう話なれど、
自分はフィクションとして屈託なく楽しんでしまいました。^^
ピカレスク・ロマン(悪漢小説)ですよね。ロザムンド・パイクの悪女ぶりがアッパレ。
この人、デヴィッド・フィンチャーの「ゴーンガール」(2014)でも相当な女だったけど、
この度のマーラも肝っ玉の据わった強欲ぶりが圧巻であります。

認知症が進んで独居生活が困難になった高齢者を、公的に保護する「後見人制度」を逆手にとった
悪徳介護ビジネスで辣腕を振るう法定後見人のオハナシ。
本作でマーラが食いついた獲物のジェニファーさん(ダイアン・ウィースト)ですが。
彼女ぐらいシッカリしてたら本人の意思抜きには無理(日本で言ったら法定後見ではなく任意後見になる)
よねーなどと、無粋なこと考えたりするものの、なにせ医者もホームもみ〜んなが結託してるんだから。
これは、やられるな・・・と。

しかし、この婆さんが只者ではなく、マーラってば虎の尾を踏んじゃったねっていう
スリラー系にシフトしていくのがオモロイのです。合法のボロい商売だったハズが、
ヤバい世界に関わることになり、気づけば自分が狙われる立場に・・・?という展開。

なにしろマーラという女性は恐ろしくタフなのですよ。
殺すって脅されても「男なんて脅すことしかできない」って一歩も引かない。ま、ある意味、勇敢なんだけど、
自分もまたジェニファーを服従させるために“脅す”し、それでも言うこと聞かなきゃ
ホントに卑劣な手を使うし。もうさ、アンタも男じゃんって感じで、
こういうキャラ造形が面白かったですね。
色仕掛けとか、か弱さを演出するとか、女の武器を一切使わない。
ジェンダーレス時代の悪女はこーよ、って感じですかね。

まぁ、あくまでもエンタメ、フィクションの世界なので、
介護のお仕事に偏見を持たないでいただきたいなーと、最後に付け加えさせていただきます。
実際に認知症が進んだ独居高齢者のケアや保護がどれだけ大変か。
介護施設で働く職員さんたちがどれだけ心を砕いてケアにあたっているか。
そういう事実を軽んじて欲しくないです。本当に。

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ロザムンド・パイクの独壇場!

投稿日:2022/04/25 レビュアー:アーモンド

ロザムンド・パイクに尽きる映画だ。
《可愛い顔してあの子わりと、やるもんだねーと♪・♪・》
パイクは結構なお年だけど、あみんの替え歌を歌いたくなる!
そして綺麗なお顔を踏みつけたくなるのだ!
金持ちに善人はいない。フェアプレーで金持ちにはなれない。
上の言葉がマーラ(ロザムンド・パイク)の人生哲学。
身寄りのない認知症の老人を食い物にして蓄財している法廷後見人のマーラー。
憎々しく美しい悪女を演じさせたら、右に出る者のいないロザムンド・パイク。
携帯酸素ポンベを吸い、真っ白い煙幕を吐く姿は、ドラゴンのようだ。
マーラの職業=法廷後見人とは?
(認知症で判断能力が不十分になったお年寄りの財産を管理出来る人)
(持ち家を売る権限さえ持つ)
マーラの次のターゲットはジェニファー(71歳)だった。
マーラが突然ジェニファー宅を、アポ無しで訪れる。
裁判所の書類を見せる。
老眼鏡を探すジェニファー。
早口でまくし立てるマーラに、聞き取るため首を傾けるジェニファー。
「認知能力が欠けています」
「一人暮らしは無理」一方的に告げる。
家の外にはパトカー。
警官が2人コチラを窺っている。
怯えるジェニファー。
(無防備な年寄りジェニファー役のダイアン・ウィーストが絶品)
(認知症で視野のボヤけた表情が実にリアル)

しかしジェニファーは、訳ありの年寄りだった。
マーラが引いたクジはとんでもない災いを呼ぶ。
ジェニファーに身寄りがない→その情報は真っ赤な嘘だった。
ジェニファーにはロシアンマフィアの息子がいた。
息子のローマン役は132cmの個性派ピーター・ディンクレイジ。

後半はマーラとローマンの殺るか?殺られるか?の一騎打ち。
命知らずのマーラは互角で戦う。
この辺りロザムンド・パイクを一躍有名にした「ゴーンガール」のエイミーを彷彿させる。
マーラとエイミー。
どっちが悪女かは好みだが、
マーラもエイミーも、法律を味方にする悪どさと、死をも畏れぬサイコな女だ。
更にマーラは、同性の恋人ブラン(エイザ・ゴンザレス)と、金と権力に目がない!!
男も子供も要らない純粋培養の悪女。

総人口の20%がやがて認知症になるという。
介護ビジネスは金のなる木。
アメリカでは、後見人制度が巨万の富を生むと言う。
ケアハウスと言う終の住処は、ひと聞きの良い牢獄かも。
老人は獲物。
ハンターはあなたを、次のターゲットに狙ってるかも!!
(他人事ではない。)

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ブラックなスリラーを愉しむ映画

投稿日:2022/06/19 レビュアー:趣味は洋画

パーフェクト・ケア(2020年・アメリカ、カラー、118分)

これだけブラックが効いたコメディ系スリラーなら、フィクションとして屈託なく楽しめる。
ロザムンド・パイクの超ストレートな ‘金髪おかっぱボブ’ のヘアスタイル、原色の黄色いスーツとサングラスがよく似合う。
ポッシュさんのお言葉を拝借すれば、まさに ‘肝っ玉の据わった強欲ぶりが圧巻’ です。

高齢者を守り、完璧なケアを行う法定後見人のマーラ・グレイソン(ロザムンド・パイク)。だが、彼女の正体は、合法的に高齢者の資産を搾り取る悪徳後見人であった。ある日、まだ数年は利益を搾取できると見込んでいた老人が亡くなり、マーラは次のターゲットを探すため、女医のカレン(アリシア・ウィット)を訪ねた。裏で結託しているカレンから、ジェニファー・ピーターソン(ダイアン・ウィースト)という老女の情報を入手したマーラは、早速ジェニファーの調査を行った。彼女に身寄りはなく天涯孤独で、しかも莫大な資産の持ち主だった。マーラは再びカレンを訪ね、ジェニファーが認知症である旨の虚偽の診断書を作成させた。そしてジェニファー不在のまま、家裁で自身をジェニファーの後見人へと選定させたのである。ジェニファー宅を訪れたマーラは、困惑するジェニファーの言い分に耳を貸さず、強引に施設へ入所させてしまう。やがて、マーラの周辺に黒い影が迫ってくるが...。

ロザムンド・パイクもダイアン・ウィーストも、最初に登場するシーンは、正面ではなく、なぜか後ろ姿(しかも頭部中心に)がアップになっている。これ、なにか意味があるんやろか?と思ってしまう。
ロザムンド・パイク41歳、ダイアン・ウィースト72歳、さすがに貫禄の違いはあれど、ロザムンド・パイクの一貫した悪女ぶりがいい。
彼女を初めて見たときは、キャンディス・バーゲンの若き頃を彷彿させる雰囲気があったのデス。
彼女の出演作はまだ8本しか観ていないけど、いわゆる ‘普通の女性’ 役ではなく、強すぎるほどの個性が出ている役が似合っている。「ゴーン・ガール」(2014年)の怖さは別格としても、「ナチス第三の男」(2017年)や「プライベート・ウォー」(2018年)でも、独特の凄みすら感じられた。

一方、かつては「癒し系女優」として知られたダイアン・ウィースト。
ウディ・アレン作品の常連だけど、「パッセンジャーズ」(08年)のような怪演もみせる。カメラを通すと、どんな色にも染まる名女優。アカデミー助演女優賞を二度も受賞しているのは、その証拠。
「運び屋」(2019年)では、イーストウッドの妻役で健在ぶりをみせていたけど、本作では資産家の老女役を楽しんで演じているように見えました。まだまだ活躍してほしい女優さんのひとりです。

中盤、マーラのオフィスに紳士然とした弁護士がやって来る頃から、ストーリーの流れに少しずつ変化が見え、やがてサスペンスを含んだスリラーへと展開...それでもブラックの効きは衰えません。
ラストは、落ち着くところへ落ち着いたという感でしょうか。

最後に、
ロザムンド・パイクが ‘金髪おかっぱボブ’ のヘアスタイルを変え、黒ぶちメガネで登場するシーンもとても似合っていたのです。

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パーフェクト・ケア

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「悪党」ロザムンド・パイクの小気味良さ!

投稿日

2022/03/25

レビュアー

くまげらの森

(2020年制作・アメリカ)
法定後見人のマーラ(ロザムンド・パイク)は、法の目をかいくぐって合法的に
老人から家屋等の資産を奪っている。
まだ元気な老人に『認知症で一人で暮らすのは困難』と、診断書を出す医師、
『介護の名で軟禁状態』に出来るケアホーム長。その両方と結託して(時にリベートなど払いながら)死ぬまでホームに入所させるのだ。(財産奪い放題)

(ちなみに法定後見人には、重要な取引行為(不動産の売買など)から日常の買い物まで財産に関する全ての代理権が認められている。)

『後妻業』のような、直接老人をたらしこんだり、遺言を書かせる話ではない。
紙切れ一枚突き出して、いきなり「老人ホームに行ってください!」とのたまうマーラ。
「パーフェクト・ケア」とか言うからもっと介護の現場も見たかったが望むべくもない。
監督は、「アリス・クリードの失踪」のJ・ブレイクソン。
コメディー色も散りばめた一級のピカレスク・エンタメである。

マーラと恋人でもあるフラン(エイザ・ゴンザレス)の仕事は順風満帆だった。
さて、次のネギ背負ったカモは、身寄りのない資産家のジェニファー(ダイアン・ウィースト)だ、
優良物件だよとウキウキ気分の二人だったが・・。
老人ホームに押し込めたはいいが、なぜか偽弁護士や偽友人があらわれ、ジェニファーを連れ出そうと画策する。
実はジェニファーはロシアンマフィアのボスと深い関係があったのだ!

ホームから脱走させるのに失敗するボス(ピーター・ディンクレイジ)は、ついに
マーラの命を狙ってくる!
マフィアの冷酷無比かつ暴力的な態度!。無慈悲な殺し方をさんざん見せといて、
マーラもついにここまでか・・と見えたが、むにゃむにゃ。(ネタバレするとこだった)
「悪徳後見人バーサス悪の支配者」、ばあさん渡せと仁義なき抗争って感じ?

そして、ダイアン・ウィーストの凄みのある笑い方。(アンタ、死ぬわよ、ニヤッ)こわ〜!
意外な展開の終盤も納得です。面白かったです。
(介護ご老人をもうちょっと見たかったけど、そういう映画じゃないんでね。)

負のアメリカンドリームがたどり着く先

投稿日

2022/04/28

レビュアー

hinakksk

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 面白いかどうかと言えば、背筋が寒くはなるけれど、とても面白い映画です。医師やケアホームと共謀し、合法的に高齢者から全財産を奪い取る悪徳後見人の悪辣ぶりを描く話なのかと思っていると、後見人マーラが次のターゲットに選んだ天涯孤独だったはずの老婦人ジェニファーに隠された秘密があったことから、物語は詐欺による搾取からまさかのサスペンスへと急転し、最高級のダイヤモンドやらジェニファーのケアホームからの解放をめぐり、ロシアンマフィアとの打々発止の極めて危険な攻防に。どんな脅迫にも最後まで平然と持論を通し、決して怯んだり屈することのない憎々しいマーラを演じるロザムンド・パイクのタフネスぶりが半端ないです。

 世の中に善人なんていない。フェアプレーなんて金持ちの保身のための言い訳にすぎなくて、この世は弱肉強食の世界だ。奪う者と奪われる者、捕食者とその餌食、ライオンと子羊との2種類の人間しかいない。私は子羊じゃない、獰猛な雌ライオンだ、私に「負け」はない、絶対に金持ちになり成功するのだとマーラは豪語する。そうして彼女のやっていることは、金持ちの老人を合法的に介護施設に閉じ込めて、彼らの財産を奪い取ることなのだ。老人自らの選択ならともかく、それが老人の利益だと強弁して強制的に彼らから基本的人権である自由を奪い、肉親にも友人にも会うことのできない孤独な晩年を過ごさせる。(いくら衣食住が保証されて専門のケアが受けられるとしても、こんな晩年は絶対に嫌だ。)

 あっぱれな悪人ぶりなのかもしれないけれど、マーラのやっていることは、それほどに罪深い。「この国で成功するには、勇敢で、愚かで、残酷でなければ。フェアプレーじゃ負けるだけ、桁違いの大金持ちになりたい」と自信満々で言ってのけるマーラの豪胆さに、敵対していたマフィアでさえも感服して、全国展開の後見人請負事業の共同経営者にならないかと提案する。ついにマーラは、建前だけは合法的な、介護の総合ビジネス企業のCEOにまで昇りつめる。けれど、人の心を傷つけたり恨みを買ったりすれば、いつか必ずその代償を払わなければならないというのも、また世の常なのだ。映画の結末には賛否両論あるだろうが、私は至極真っ当だと思う。こんなことがいつまでも許されていいはずはない。輝かしい成功のまま終わっていたら、とても居心地の悪い映画になっていただろう。

ジェンダーレス時代の悪女はこーよ

投稿日

2022/06/12

レビュアー

ポッシュ

ずいぶんとまぁ薄汚いアメリカン・ドリームよのう・・・と、うなだれちゃう話なれど、
自分はフィクションとして屈託なく楽しんでしまいました。^^
ピカレスク・ロマン(悪漢小説)ですよね。ロザムンド・パイクの悪女ぶりがアッパレ。
この人、デヴィッド・フィンチャーの「ゴーンガール」(2014)でも相当な女だったけど、
この度のマーラも肝っ玉の据わった強欲ぶりが圧巻であります。

認知症が進んで独居生活が困難になった高齢者を、公的に保護する「後見人制度」を逆手にとった
悪徳介護ビジネスで辣腕を振るう法定後見人のオハナシ。
本作でマーラが食いついた獲物のジェニファーさん(ダイアン・ウィースト)ですが。
彼女ぐらいシッカリしてたら本人の意思抜きには無理(日本で言ったら法定後見ではなく任意後見になる)
よねーなどと、無粋なこと考えたりするものの、なにせ医者もホームもみ〜んなが結託してるんだから。
これは、やられるな・・・と。

しかし、この婆さんが只者ではなく、マーラってば虎の尾を踏んじゃったねっていう
スリラー系にシフトしていくのがオモロイのです。合法のボロい商売だったハズが、
ヤバい世界に関わることになり、気づけば自分が狙われる立場に・・・?という展開。

なにしろマーラという女性は恐ろしくタフなのですよ。
殺すって脅されても「男なんて脅すことしかできない」って一歩も引かない。ま、ある意味、勇敢なんだけど、
自分もまたジェニファーを服従させるために“脅す”し、それでも言うこと聞かなきゃ
ホントに卑劣な手を使うし。もうさ、アンタも男じゃんって感じで、
こういうキャラ造形が面白かったですね。
色仕掛けとか、か弱さを演出するとか、女の武器を一切使わない。
ジェンダーレス時代の悪女はこーよ、って感じですかね。

まぁ、あくまでもエンタメ、フィクションの世界なので、
介護のお仕事に偏見を持たないでいただきたいなーと、最後に付け加えさせていただきます。
実際に認知症が進んだ独居高齢者のケアや保護がどれだけ大変か。
介護施設で働く職員さんたちがどれだけ心を砕いてケアにあたっているか。
そういう事実を軽んじて欲しくないです。本当に。

ロザムンド・パイクの独壇場!

投稿日

2022/04/25

レビュアー

アーモンド

ロザムンド・パイクに尽きる映画だ。
《可愛い顔してあの子わりと、やるもんだねーと♪・♪・》
パイクは結構なお年だけど、あみんの替え歌を歌いたくなる!
そして綺麗なお顔を踏みつけたくなるのだ!
金持ちに善人はいない。フェアプレーで金持ちにはなれない。
上の言葉がマーラ(ロザムンド・パイク)の人生哲学。
身寄りのない認知症の老人を食い物にして蓄財している法廷後見人のマーラー。
憎々しく美しい悪女を演じさせたら、右に出る者のいないロザムンド・パイク。
携帯酸素ポンベを吸い、真っ白い煙幕を吐く姿は、ドラゴンのようだ。
マーラの職業=法廷後見人とは?
(認知症で判断能力が不十分になったお年寄りの財産を管理出来る人)
(持ち家を売る権限さえ持つ)
マーラの次のターゲットはジェニファー(71歳)だった。
マーラが突然ジェニファー宅を、アポ無しで訪れる。
裁判所の書類を見せる。
老眼鏡を探すジェニファー。
早口でまくし立てるマーラに、聞き取るため首を傾けるジェニファー。
「認知能力が欠けています」
「一人暮らしは無理」一方的に告げる。
家の外にはパトカー。
警官が2人コチラを窺っている。
怯えるジェニファー。
(無防備な年寄りジェニファー役のダイアン・ウィーストが絶品)
(認知症で視野のボヤけた表情が実にリアル)

しかしジェニファーは、訳ありの年寄りだった。
マーラが引いたクジはとんでもない災いを呼ぶ。
ジェニファーに身寄りがない→その情報は真っ赤な嘘だった。
ジェニファーにはロシアンマフィアの息子がいた。
息子のローマン役は132cmの個性派ピーター・ディンクレイジ。

後半はマーラとローマンの殺るか?殺られるか?の一騎打ち。
命知らずのマーラは互角で戦う。
この辺りロザムンド・パイクを一躍有名にした「ゴーンガール」のエイミーを彷彿させる。
マーラとエイミー。
どっちが悪女かは好みだが、
マーラもエイミーも、法律を味方にする悪どさと、死をも畏れぬサイコな女だ。
更にマーラは、同性の恋人ブラン(エイザ・ゴンザレス)と、金と権力に目がない!!
男も子供も要らない純粋培養の悪女。

総人口の20%がやがて認知症になるという。
介護ビジネスは金のなる木。
アメリカでは、後見人制度が巨万の富を生むと言う。
ケアハウスと言う終の住処は、ひと聞きの良い牢獄かも。
老人は獲物。
ハンターはあなたを、次のターゲットに狙ってるかも!!
(他人事ではない。)

ブラックなスリラーを愉しむ映画

投稿日

2022/06/19

レビュアー

趣味は洋画

パーフェクト・ケア(2020年・アメリカ、カラー、118分)

これだけブラックが効いたコメディ系スリラーなら、フィクションとして屈託なく楽しめる。
ロザムンド・パイクの超ストレートな ‘金髪おかっぱボブ’ のヘアスタイル、原色の黄色いスーツとサングラスがよく似合う。
ポッシュさんのお言葉を拝借すれば、まさに ‘肝っ玉の据わった強欲ぶりが圧巻’ です。

高齢者を守り、完璧なケアを行う法定後見人のマーラ・グレイソン(ロザムンド・パイク)。だが、彼女の正体は、合法的に高齢者の資産を搾り取る悪徳後見人であった。ある日、まだ数年は利益を搾取できると見込んでいた老人が亡くなり、マーラは次のターゲットを探すため、女医のカレン(アリシア・ウィット)を訪ねた。裏で結託しているカレンから、ジェニファー・ピーターソン(ダイアン・ウィースト)という老女の情報を入手したマーラは、早速ジェニファーの調査を行った。彼女に身寄りはなく天涯孤独で、しかも莫大な資産の持ち主だった。マーラは再びカレンを訪ね、ジェニファーが認知症である旨の虚偽の診断書を作成させた。そしてジェニファー不在のまま、家裁で自身をジェニファーの後見人へと選定させたのである。ジェニファー宅を訪れたマーラは、困惑するジェニファーの言い分に耳を貸さず、強引に施設へ入所させてしまう。やがて、マーラの周辺に黒い影が迫ってくるが...。

ロザムンド・パイクもダイアン・ウィーストも、最初に登場するシーンは、正面ではなく、なぜか後ろ姿(しかも頭部中心に)がアップになっている。これ、なにか意味があるんやろか?と思ってしまう。
ロザムンド・パイク41歳、ダイアン・ウィースト72歳、さすがに貫禄の違いはあれど、ロザムンド・パイクの一貫した悪女ぶりがいい。
彼女を初めて見たときは、キャンディス・バーゲンの若き頃を彷彿させる雰囲気があったのデス。
彼女の出演作はまだ8本しか観ていないけど、いわゆる ‘普通の女性’ 役ではなく、強すぎるほどの個性が出ている役が似合っている。「ゴーン・ガール」(2014年)の怖さは別格としても、「ナチス第三の男」(2017年)や「プライベート・ウォー」(2018年)でも、独特の凄みすら感じられた。

一方、かつては「癒し系女優」として知られたダイアン・ウィースト。
ウディ・アレン作品の常連だけど、「パッセンジャーズ」(08年)のような怪演もみせる。カメラを通すと、どんな色にも染まる名女優。アカデミー助演女優賞を二度も受賞しているのは、その証拠。
「運び屋」(2019年)では、イーストウッドの妻役で健在ぶりをみせていたけど、本作では資産家の老女役を楽しんで演じているように見えました。まだまだ活躍してほしい女優さんのひとりです。

中盤、マーラのオフィスに紳士然とした弁護士がやって来る頃から、ストーリーの流れに少しずつ変化が見え、やがてサスペンスを含んだスリラーへと展開...それでもブラックの効きは衰えません。
ラストは、落ち着くところへ落ち着いたという感でしょうか。

最後に、
ロザムンド・パイクが ‘金髪おかっぱボブ’ のヘアスタイルを変え、黒ぶちメガネで登場するシーンもとても似合っていたのです。

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