恋するけだもの

江野祥平こと宇野祥平は ふやけた反動映画「罪の声」などで賞を
獲るべきでなく 今作こそで賞を獲るべきなのだ

被虐の愛 ハイドなけだもの対女装のけだもの の無敵同士の戦い
ゴダールは常にカップルの映画を撮っているのですが こちらも
愛が憎悪に反転するカップル達の死を賭けた 皆殺しの愛の物語
こちらでは 約四組のカップルの組み合わせ あらら意外に人殺し
だらけなんですよこの映画 面白いよ 低予算で5日程で撮ってます

「愛しい人」を探し求める女装の男・江野祥平（宇野祥平）が、
激怒すると獣（ケダモノ）に変化する気弱な青年・宙也（田中俊介）に出会った。
脛に傷持つ人々が集まる町を舞台に、奇妙な恋の顛末を描く。
江野は「うちに締められるのと、うちと結ばれるの、どっち？」と宙也に迫る。
宙也に拒まれた江野は彼の首を絞める。江野の頬を伝う涙。
その時、宙也の中のケダモノが目覚める！

監督、脚本は白石晃士。
「江野祥平」は白石監督作品に何度も登場する異能の人物。本作でも異彩を放っている。
「うち人間とちゃうし」と発言、その股間は途方もなく「ヤバい」らしい。
宙也を一目見ただけで「あんた普通とちゃうな。コントロール効かへんのやろ」と見抜く。

「宙也を締めるのは、うちやー！」「愛してもうたー！」と叫び、
甘えるように「宙也」と呼びかける。
うっかりしていると、江野が愛らしくピュアに見えてしまうｗ
宇野祥平の演技力、ケダモノ宙也の格好良さ（素敵だったわー…）のせいだろうか。
「お名前なんていうの？」と江野に問われたら、登場人物たち同様、私も思わず名乗ってしまうかもしれない。

建設会社らしき場所で、女性社員シオリが猫の死骸に向かって放尿するシーンで始まる。
男性社員は宙也に暴力を振るい、彼に尿を飲ませる。社長はそれを笑って見ている。
暴力的な人間関係に震撼するが、彼らが犯罪者集団であることが間もなく明かされる。
シオリたちは殺人を生業とし殺人を楽しむ異常者なのだ。
宙也はケダモノ変化時に殺人を犯して指名手配となり、この会社に入った。
殺人の記憶がない宙也は「僕の中のヤツ、やった後も責任とってよぉ」と泣いていた。
ケダモノは「ちょっと休憩」と言って、ピンチの時に引っ込んだりもするのよ。酷い…

結末は意外にも温かい。
江野、宙也、シオリ、スナック経営者（久保山智夏）と従業員（大迫茂生）…
登場人物が抱く愛は暴力や殺意を孕んでいる。それでも愛は愛だった。
誰もが殺伐としているからこそ、純粋な部分が光って見えたのかもしれない。

性癖ドストライクでした。
主人公がかわいそ可愛いので、そういうのが好きな人にもおすすめ。
予告編だけ見ると、ただ主人公が可哀想な感じだけど、
最終的にはハッピーエンドなので安心して見てほしい。