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空白 / 古田新太

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準新作

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「空白」 の解説・あらすじ・ストーリー

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解説・ストーリー

「ヒメアノ〜ル」「愛しのアイリーン」の吉田恵輔監督が古田新太を主演に迎えて贈る衝撃のヒューマン・サスペンス。交通事故で娘を失った父親が、事故の原因となったスーパーの店長を追い詰めるべく、マスコミやSNSを巻き込み激しい憎悪をエスカレートさせていく暴走の顛末を力強い筆致で描き出す。共演は松坂桃李、田畑智子、寺島しのぶ。ある日、スーパーで中学生の花音が店長の青柳に万引きを見咎められ、逃げて車道に飛び出した末、凄惨な事故に巻き込まれて命を落としてしまう。シングルファーザーの添田充は、変わり果てた娘を前に泣き崩れる。日頃、娘の気持ちなど気にもかけてこなかった添田は、せめて彼女の濡れ衣を晴らそうと、青柳を激しく責め立て始めるのだったが…。 JAN:9999207495596

「空白」 の作品情報

作品情報

製作年:

2021年

製作国:

日本

「空白」 のキャスト・出演者/監督・スタッフ

キャスト・スタッフ

関連作品

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高橋留美子劇場

ヒメアノ〜ル

死ぬかと思った

ミテハイケナイ都市伝説

ユーザーレビュー:21件

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1〜 5件 / 全21件

娘を失った父、怒りの行方

投稿日:2021/12/23 レビュアー:くまげらの森

圧倒的な威圧感の古田新太の演技で一気に観ました。
万引のかどでスーパーから逃げ出す花音(伊東蒼)、走って追う店長の青柳(松坂桃李)、
道路を横切った花音は車に撥ねられ、飛んだ体が対向車線に落下、直進してきた
大型トラックにまともに引きずられた・・・!

男手一つで花音を育てていた添田(古田新太)は、娘の万引の無実を証明しようと、
「誰かに命令された」からと、いじめを疑って学校に怒鳴り込み、
また、「そこまでする必要があったか」と青柳を激しく責め立てる。
2人の確執はマスコミのネタになり、青柳も添田もそれぞれ非難にさらされる……。

ことなかれ主事に徹する学校の巧妙な対応も見苦しいが、スーパーの店員(寺島しのぶ)の
正義感の押し売り、「偽善者」と呼ばれてまでいるのも実にうっとうしい。
そんな中で、(事故の発端ではあるが当事者じゃないのに)『すみませんでした!』とひたすら
謝る青柳が潔いのかと言えば、それも微妙で彼は、スーパーの経営にも没頭しているように見えず、
その辺の得体の無さをセリフが少ないながら、松坂はうまく演技している。
(万引シーンをはっきり見せない手法も相まって、添田のやり場のない怒りが浮き上がる)

誰にでも起こり得る出来事だ。
まして、添田は漁業に忙しく亡くなる前日も花音の話を聞いてやれなかった後悔がある。
一人、花音の部屋に入って懐かしむ添田は「ある物」を発見する。
(この後の対応がクズだ・・。人の正義感などゴミみたいなもんだと思わされる)
この後、飛び出した花音を撥ねてしまった運転者の若い女性のお母さん(片岡礼子)の
言葉が、添田の心を溶かしたと思う。りっぱだった。

添田を中心に色々な人が登場して、気持ちの整理がつきにくい作品ではあるが、
『生命』というものを重厚に扱っている見ごたえのある作品だった。
(2021年製作/監督・吉田恵輔)

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涙腺崩壊。

投稿日:2022/01/09 レビュアー:

新年早々、涙腺崩壊。

最初10分はゆるーく始まる。
そこから、
え?!
うそやろ。
呆然としていると、もうそこからはジェットコースターの遠心力かのごとく、
ごおおおおっと猛スピードで走り、ぐるんぐるんされる。

悲惨で、イライラさせられ、なんでやねん・・と悲しくて、やり切れなくなる。
目が離せないのだけど、始終しんどくて胃が痛い。

誰が悪いの?
なんでそうなっちゃうかな。

わたしだって、どの立場にもなり得る。
今日このあと、明日、わたしに降りかかってくる現実かもしれない。
どう受け止め、どう行動し、どう気持ちを持っていったらいいのだろう。

観ながら、ずーっとずーっと考え続ける。

俳優陣が完璧。
へたくそがいない。

古田新太と藤原季節は漁師にしか見えない。
学校の先生もあんな感じ。
松坂桃李は、あのかっこいい溢れ出して止まらないオーラ全く消して、
ほんとに田舎のスーパーのやる気ない、性格もダメダメな店長だ。

寺島しのぶの恩着せがましい中年独身女も、ほんっとイライラするし、
ボランティア仲間(なんやねん、それ)もいそうだし、イライラする。

片岡礼子の娘役の人も、これドキュメンタリーか?ってくらいな冒頭のシーン。

感情があまりにあちこちに揺さぶられて、色んな種類の感情が渋滞して、
ほんとに見ていてくたびれるけれど、ゴール前、どんどんどんどん拾っていってくれる。

なんやねんっ、もう。

この監督、すごいな、って吉田恵輔、知らんがな。
しかも脚本も書いてるって。
すごいな。

あほみたいな脚本ばっかりの日本で、残念すぎるやろって嘆いていたけど、
いた、ここに。
ちゃんと脚本かけて、ちゃんと撮れる監督。
これで日本は安泰だ。

本当にいい映画。

もう、色々役者もエピソードもすごいんだけど、これを成立させるというか、
ちゃんとおもしになって着地させることができたのは、
花音役の伊藤蒼の存在感だ。

なんなんだろう。
青くて、風みたいにふわっと飛んで、忘れられない目。

彼女の存在感の重さが、あっちへこっちへ観客を乱暴に振り回すストーリーを、
ぽんとひとつにおさめてくれる。

あー、いい映画。

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悪いのは誰なのか? ネタバレ

投稿日:2022/01/21 レビュアー:飛べない魔女

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悪いのは誰なのか?
万引きをした少女なのか?
万引きをした少女を追いかけたスーパーの店長なのか?
突然飛び出してきて少女を車にぶつけてしまった女性なのか?
倒れている少女に気づいたもののブレーキを踏んだが間に合わず
引いてしまったトラックの運転手なのか?
いや、いや、そもそも、この父親が一番悪いだろ!って
見ていてずっと思っていた。
誰に対しても粗野で高圧的な態度の父親。
母親はとうに離婚して、父親と二人暮らしの花音の話に
耳を傾けようともせず、威圧的な態度で接する父親には
優しさの欠片すらも見つけることが出来ない。
万引きをしたことは当然悪いことだけど
高圧的な父親への反撥がそうさせたのだろう。
もっと娘のことを大事に思ってくれたなら。。
もっと娘の話を聞こうしてくれていたのなら。。

娘の死をきっかけに目覚めた父性愛を爆発させる添田。
この物語は着地点を見つけることが出来るのか?
最後まで引き込まれた。
でも、そこら中がトゲだらけで
見ていて苦しくなる内容だった。
事態を煽るマスコミの在り方にも苦痛を感じた。

誰もが当事者になり得る話。
些細なことが引き金となって
関わった人たちの人生が真っ白で空っぽになっていく。
とにかく俳優陣の演技がヤバい!!
みんなリアルでうますぎる!

イルカの雲を娘の絵にみつけた添田が号泣するラストには
感情が揺さぶられた。
空っぽの心に一筋の光を見出せた店長と添田のラストには
ほんの少しだけ心の中にあった鉛のような重みが
軽くなったような気がした。

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埋めることのできない心の隙間、空虚感

投稿日:2022/03/16 レビュアー:kazupon

監督・脚本:吉田恵輔(2021年・日本・107分)PG12

中学生の添田花音(伊東蒼)が、交通事故死した。
その日、花音は「スーパーアオヤギ」で店長の青柳直人(松坂桃李)に万引を見咎められ、事務所に連れて行かれそうになり走って逃げたのだった。
直人の手が花音に届きそうな瞬間、花音は道路に飛び出して乗用車に撥ねられ、反対車線の大型トラックの下敷きになり引きずられてしまう。直人は突然の出来事にその場に立ちすくむだけだった。
報せを受けた父・添田充(古田新太)は、遺体の身元確認でその損傷の酷さに慟哭する。

事故のシーンの衝撃と言ったら!!
花音を撥ねた最初の女性が気の毒で、次に轢いてしまったトラックの運転手も気の毒で・・・勿論、こんなことになるなんて思いもしなかっただろうけど、マニキュア一つでここまで追いかける必要があったのかと、観ていて思ってしまった。
確かに直人は、パート店員の草加部(寺島しのぶ)が言う様に正しいことをしただけかも知れない。私は、このオバチャンを偽善者とまでは思わないけれど、ウザい人物だと思う。何かにつけて自分の善意や正義を押し付けて来るから。
直人が土下座までして充に謝罪したのは、充の恫喝が怖かったからではないだろう。オバチャンの言う様な正義感だけで追いかけたのでもないと思う。
花音の万引きを見て、日頃の忌々しい思いが一遍に出て、絶対に逃がすものかと意地になったのだろう。その結果、花音を死なせてしまった。
直人は本当に謝罪したかったのだ。それを正しいとか正しくないとかで表面的に捉えて、直人の謝罪を遮ったのがオバチャンだ。
父親の充については、物語冒頭から彼の粗暴な言動や威圧的な態度を散々見てきたので、彼の悲しみや怒りの感情は理解できても心情的に寄り添えず、彼のその後の対応に常軌を逸したものを感じてしまった。

充は直人を事故現場に連れ出し、事故時の再現(実況見分)を強要する。直人が花音がトラックに引きずられた場所に立った時、トラックが走って来てしまった。トラックの運転手は怒鳴り、充が直人の代わりに謝る。
直人に「死ぬなら誰にも迷惑かけずに一人で死ね」とは言ったが、私は充という人間の違う面を見たように感じた。彼は娘がどうして死んだのかを知りたかったのだ。自分が納得できない内は、誰の謝罪も届かないのではないだろうか。

女性ドライバーが何度も足を運んでも充は無視し続け、ついに彼女は死を選んでしまった。通夜に訪れた充は、彼女の母に「俺は謝らないぞ」という態度を取るが、母(片岡礼子)は「心の弱い娘を赦して下さい。」と娘の代わりに頭を下げた。
恐らく充は、自分は責められるに違いないと覚悟していたと思う。それが思いもかけぬ謝罪の言葉に、呆気にとられた表情を見せたのは、彼の内面の動揺なのだろう。
ちょっと言葉が思いつかないので、ポッシュさんのレビュータイトルを拝借するけれど、『憎みあいの果てに何が生まれるの 私が先に忘れよう』は、この母親の姿に体現されていると思った。

探しても見つからない、埋められない「空白」
そこには最初から何もなかったのかも知れないし、そこに何があったのかさえ思い出せない空白。心の空白(空虚)、家の中の空白、記憶や時間的な空白。
花音が描いた絵の中に、イルカの形をした雲を見つけて、きっと充は思ったに違いない。自分が見たのと同じ空を花音も見ていて、確かに二人はイルカの雲の記憶(感動)を共有した瞬間があったのだと。

※自分のレビューを投稿前に「裸足のラヴァース2.0」さんのレビューを拝読。「空白」について“少女が店から飛び出してくる間が空白”と説明されていた。ちょっと目から鱗…の気分。

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古田新太の名演 松坂桃李の好演 「三匹のイルカ」

投稿日:2022/01/19 レビュアー:ちゅく

ずっしり腹に応える映画でした。
「空白」(2021、2021『空白』製作委員会/スターサンズ/KADOKAWA、カラー、107分)。
監督・脚本は吉田恵輔(1975生)。
漁師「添田充」(古田新太)はもともと粗暴な男。妻と別れて一人娘と二人暮らしだった。ある日、その中学生の娘「花音」(伊東蒼)は、スーパーでマニキュアを「万引きしかけた」と疑われ、逃げた車道で軽自動車にはねられ、対向車線から来たダンプカーに轢かれて死んだ。娘の潔白を信じる「充」は、スーパーの店長「青柳」(松坂桃李)の責任を執拗に追及し、さらに怒りは、中学校の担任「今井若菜」(趣里)と管理職者、元妻「翔子」(田畑智子)へ向かっていく。次第にモンスターと化した「充」はスーパーでわざと「万引き未遂」をして、その様子をTV局が放送して無責任に煽る。店員は辞めていく。追い詰められた「青柳」はスーパーを廃業することに決め、最後まで支援してくれたベテランのパート従業員「草加部麻子」(寺島しのぶ)の危惧をよそに自殺未遂を図った。同じ頃、軽自動車を運転していた女性が自殺した。その葬儀で女性の母(片岡礼子)から謝罪され、「充」の怒りにブレーキが掛かる。娘の遺品を整理しているうちに、彼は意外な発見を繰り返すのだった。
「空白」というのは娘を失った父の心の喪失感だが、怒りにまかせて行動する過程で、生きていたときの娘のことを何も知らなかったのではないか──という親子関係の「空白」にも気づくという展開がよく練られています。何より、「暴走」したままでなく、制動、緩和、発見、悔恨という流れで、後半のドラマが仕立てられているのが良いと思います。前半の怒りと「暴走」が激しく執拗だっただけに、彼の「後悔」も深くなります。7年ぶりの劇場映画主演という古田新太は、「劇団☆新感線」の舞台で鍛えられた「役者」としての凄味を遺憾なく発揮しています。松坂桃李も好演で、最後に「青柳」への微かな光明が投げかけられるのが正当と思います。

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空白

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娘を失った父、怒りの行方

投稿日

2021/12/23

レビュアー

くまげらの森

圧倒的な威圧感の古田新太の演技で一気に観ました。
万引のかどでスーパーから逃げ出す花音(伊東蒼)、走って追う店長の青柳(松坂桃李)、
道路を横切った花音は車に撥ねられ、飛んだ体が対向車線に落下、直進してきた
大型トラックにまともに引きずられた・・・!

男手一つで花音を育てていた添田(古田新太)は、娘の万引の無実を証明しようと、
「誰かに命令された」からと、いじめを疑って学校に怒鳴り込み、
また、「そこまでする必要があったか」と青柳を激しく責め立てる。
2人の確執はマスコミのネタになり、青柳も添田もそれぞれ非難にさらされる……。

ことなかれ主事に徹する学校の巧妙な対応も見苦しいが、スーパーの店員(寺島しのぶ)の
正義感の押し売り、「偽善者」と呼ばれてまでいるのも実にうっとうしい。
そんな中で、(事故の発端ではあるが当事者じゃないのに)『すみませんでした!』とひたすら
謝る青柳が潔いのかと言えば、それも微妙で彼は、スーパーの経営にも没頭しているように見えず、
その辺の得体の無さをセリフが少ないながら、松坂はうまく演技している。
(万引シーンをはっきり見せない手法も相まって、添田のやり場のない怒りが浮き上がる)

誰にでも起こり得る出来事だ。
まして、添田は漁業に忙しく亡くなる前日も花音の話を聞いてやれなかった後悔がある。
一人、花音の部屋に入って懐かしむ添田は「ある物」を発見する。
(この後の対応がクズだ・・。人の正義感などゴミみたいなもんだと思わされる)
この後、飛び出した花音を撥ねてしまった運転者の若い女性のお母さん(片岡礼子)の
言葉が、添田の心を溶かしたと思う。りっぱだった。

添田を中心に色々な人が登場して、気持ちの整理がつきにくい作品ではあるが、
『生命』というものを重厚に扱っている見ごたえのある作品だった。
(2021年製作/監督・吉田恵輔)

涙腺崩壊。

投稿日

2022/01/09

レビュアー

新年早々、涙腺崩壊。

最初10分はゆるーく始まる。
そこから、
え?!
うそやろ。
呆然としていると、もうそこからはジェットコースターの遠心力かのごとく、
ごおおおおっと猛スピードで走り、ぐるんぐるんされる。

悲惨で、イライラさせられ、なんでやねん・・と悲しくて、やり切れなくなる。
目が離せないのだけど、始終しんどくて胃が痛い。

誰が悪いの?
なんでそうなっちゃうかな。

わたしだって、どの立場にもなり得る。
今日このあと、明日、わたしに降りかかってくる現実かもしれない。
どう受け止め、どう行動し、どう気持ちを持っていったらいいのだろう。

観ながら、ずーっとずーっと考え続ける。

俳優陣が完璧。
へたくそがいない。

古田新太と藤原季節は漁師にしか見えない。
学校の先生もあんな感じ。
松坂桃李は、あのかっこいい溢れ出して止まらないオーラ全く消して、
ほんとに田舎のスーパーのやる気ない、性格もダメダメな店長だ。

寺島しのぶの恩着せがましい中年独身女も、ほんっとイライラするし、
ボランティア仲間(なんやねん、それ)もいそうだし、イライラする。

片岡礼子の娘役の人も、これドキュメンタリーか?ってくらいな冒頭のシーン。

感情があまりにあちこちに揺さぶられて、色んな種類の感情が渋滞して、
ほんとに見ていてくたびれるけれど、ゴール前、どんどんどんどん拾っていってくれる。

なんやねんっ、もう。

この監督、すごいな、って吉田恵輔、知らんがな。
しかも脚本も書いてるって。
すごいな。

あほみたいな脚本ばっかりの日本で、残念すぎるやろって嘆いていたけど、
いた、ここに。
ちゃんと脚本かけて、ちゃんと撮れる監督。
これで日本は安泰だ。

本当にいい映画。

もう、色々役者もエピソードもすごいんだけど、これを成立させるというか、
ちゃんとおもしになって着地させることができたのは、
花音役の伊藤蒼の存在感だ。

なんなんだろう。
青くて、風みたいにふわっと飛んで、忘れられない目。

彼女の存在感の重さが、あっちへこっちへ観客を乱暴に振り回すストーリーを、
ぽんとひとつにおさめてくれる。

あー、いい映画。

悪いのは誰なのか?

投稿日

2022/01/21

レビュアー

飛べない魔女

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悪いのは誰なのか?
万引きをした少女なのか?
万引きをした少女を追いかけたスーパーの店長なのか?
突然飛び出してきて少女を車にぶつけてしまった女性なのか?
倒れている少女に気づいたもののブレーキを踏んだが間に合わず
引いてしまったトラックの運転手なのか?
いや、いや、そもそも、この父親が一番悪いだろ!って
見ていてずっと思っていた。
誰に対しても粗野で高圧的な態度の父親。
母親はとうに離婚して、父親と二人暮らしの花音の話に
耳を傾けようともせず、威圧的な態度で接する父親には
優しさの欠片すらも見つけることが出来ない。
万引きをしたことは当然悪いことだけど
高圧的な父親への反撥がそうさせたのだろう。
もっと娘のことを大事に思ってくれたなら。。
もっと娘の話を聞こうしてくれていたのなら。。

娘の死をきっかけに目覚めた父性愛を爆発させる添田。
この物語は着地点を見つけることが出来るのか?
最後まで引き込まれた。
でも、そこら中がトゲだらけで
見ていて苦しくなる内容だった。
事態を煽るマスコミの在り方にも苦痛を感じた。

誰もが当事者になり得る話。
些細なことが引き金となって
関わった人たちの人生が真っ白で空っぽになっていく。
とにかく俳優陣の演技がヤバい!!
みんなリアルでうますぎる!

イルカの雲を娘の絵にみつけた添田が号泣するラストには
感情が揺さぶられた。
空っぽの心に一筋の光を見出せた店長と添田のラストには
ほんの少しだけ心の中にあった鉛のような重みが
軽くなったような気がした。

埋めることのできない心の隙間、空虚感

投稿日

2022/03/16

レビュアー

kazupon

監督・脚本:吉田恵輔(2021年・日本・107分)PG12

中学生の添田花音(伊東蒼)が、交通事故死した。
その日、花音は「スーパーアオヤギ」で店長の青柳直人(松坂桃李)に万引を見咎められ、事務所に連れて行かれそうになり走って逃げたのだった。
直人の手が花音に届きそうな瞬間、花音は道路に飛び出して乗用車に撥ねられ、反対車線の大型トラックの下敷きになり引きずられてしまう。直人は突然の出来事にその場に立ちすくむだけだった。
報せを受けた父・添田充(古田新太)は、遺体の身元確認でその損傷の酷さに慟哭する。

事故のシーンの衝撃と言ったら!!
花音を撥ねた最初の女性が気の毒で、次に轢いてしまったトラックの運転手も気の毒で・・・勿論、こんなことになるなんて思いもしなかっただろうけど、マニキュア一つでここまで追いかける必要があったのかと、観ていて思ってしまった。
確かに直人は、パート店員の草加部(寺島しのぶ)が言う様に正しいことをしただけかも知れない。私は、このオバチャンを偽善者とまでは思わないけれど、ウザい人物だと思う。何かにつけて自分の善意や正義を押し付けて来るから。
直人が土下座までして充に謝罪したのは、充の恫喝が怖かったからではないだろう。オバチャンの言う様な正義感だけで追いかけたのでもないと思う。
花音の万引きを見て、日頃の忌々しい思いが一遍に出て、絶対に逃がすものかと意地になったのだろう。その結果、花音を死なせてしまった。
直人は本当に謝罪したかったのだ。それを正しいとか正しくないとかで表面的に捉えて、直人の謝罪を遮ったのがオバチャンだ。
父親の充については、物語冒頭から彼の粗暴な言動や威圧的な態度を散々見てきたので、彼の悲しみや怒りの感情は理解できても心情的に寄り添えず、彼のその後の対応に常軌を逸したものを感じてしまった。

充は直人を事故現場に連れ出し、事故時の再現(実況見分)を強要する。直人が花音がトラックに引きずられた場所に立った時、トラックが走って来てしまった。トラックの運転手は怒鳴り、充が直人の代わりに謝る。
直人に「死ぬなら誰にも迷惑かけずに一人で死ね」とは言ったが、私は充という人間の違う面を見たように感じた。彼は娘がどうして死んだのかを知りたかったのだ。自分が納得できない内は、誰の謝罪も届かないのではないだろうか。

女性ドライバーが何度も足を運んでも充は無視し続け、ついに彼女は死を選んでしまった。通夜に訪れた充は、彼女の母に「俺は謝らないぞ」という態度を取るが、母(片岡礼子)は「心の弱い娘を赦して下さい。」と娘の代わりに頭を下げた。
恐らく充は、自分は責められるに違いないと覚悟していたと思う。それが思いもかけぬ謝罪の言葉に、呆気にとられた表情を見せたのは、彼の内面の動揺なのだろう。
ちょっと言葉が思いつかないので、ポッシュさんのレビュータイトルを拝借するけれど、『憎みあいの果てに何が生まれるの 私が先に忘れよう』は、この母親の姿に体現されていると思った。

探しても見つからない、埋められない「空白」
そこには最初から何もなかったのかも知れないし、そこに何があったのかさえ思い出せない空白。心の空白(空虚)、家の中の空白、記憶や時間的な空白。
花音が描いた絵の中に、イルカの形をした雲を見つけて、きっと充は思ったに違いない。自分が見たのと同じ空を花音も見ていて、確かに二人はイルカの雲の記憶(感動)を共有した瞬間があったのだと。

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古田新太の名演 松坂桃李の好演 「三匹のイルカ」

投稿日

2022/01/19

レビュアー

ちゅく

ずっしり腹に応える映画でした。
「空白」(2021、2021『空白』製作委員会/スターサンズ/KADOKAWA、カラー、107分)。
監督・脚本は吉田恵輔(1975生)。
漁師「添田充」(古田新太)はもともと粗暴な男。妻と別れて一人娘と二人暮らしだった。ある日、その中学生の娘「花音」(伊東蒼)は、スーパーでマニキュアを「万引きしかけた」と疑われ、逃げた車道で軽自動車にはねられ、対向車線から来たダンプカーに轢かれて死んだ。娘の潔白を信じる「充」は、スーパーの店長「青柳」(松坂桃李)の責任を執拗に追及し、さらに怒りは、中学校の担任「今井若菜」(趣里)と管理職者、元妻「翔子」(田畑智子)へ向かっていく。次第にモンスターと化した「充」はスーパーでわざと「万引き未遂」をして、その様子をTV局が放送して無責任に煽る。店員は辞めていく。追い詰められた「青柳」はスーパーを廃業することに決め、最後まで支援してくれたベテランのパート従業員「草加部麻子」(寺島しのぶ)の危惧をよそに自殺未遂を図った。同じ頃、軽自動車を運転していた女性が自殺した。その葬儀で女性の母(片岡礼子)から謝罪され、「充」の怒りにブレーキが掛かる。娘の遺品を整理しているうちに、彼は意外な発見を繰り返すのだった。
「空白」というのは娘を失った父の心の喪失感だが、怒りにまかせて行動する過程で、生きていたときの娘のことを何も知らなかったのではないか──という親子関係の「空白」にも気づくという展開がよく練られています。何より、「暴走」したままでなく、制動、緩和、発見、悔恨という流れで、後半のドラマが仕立てられているのが良いと思います。前半の怒りと「暴走」が激しく執拗だっただけに、彼の「後悔」も深くなります。7年ぶりの劇場映画主演という古田新太は、「劇団☆新感線」の舞台で鍛えられた「役者」としての凄味を遺憾なく発揮しています。松坂桃李も好演で、最後に「青柳」への微かな光明が投げかけられるのが正当と思います。

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