「珈琲いかがでしょう」

監督：荻上直子・他
原作：コナリミサトの漫画『珈琲いかがでしょう』

私は原作漫画は未見。テレビのドラマで観ました。
1話目、タコの絵が描かれた移動販売車が、オフィス街のとあるビルの前に停まり、店主の青山（中村倫也）が、客の目の前で豆を挽き、一杯一杯を丁寧に淹れて出してくれます。
お湯を注いで30秒蒸らして、また少しずつお湯を注いでいくと、真ん中がふわっと盛り上がって来ます。ドラマの中で幾度となくその場面を見るのですが、とても癒され、しあわせを感じる瞬間でした。
毎話のサブタイトルが、『人情珈琲』『死にたがり珈琲』『キラキラ珈琲』『金魚珈琲』『たこ珈琲』『ぼっちゃん珈琲』『暴力珈琲』などと、タコ珈琲を訪れる客や青山の珈琲の師匠の話、青山の意外な過去など、エピソードが満載でした。

漫画の表紙で確認しただけですが、青山のヘアスタイルも、青山が纏っている雰囲気も、初めから「当て書き」したように、演じる中村倫也そのままでした。
基本的に1回の放送が1話2本立ての構成になっていて、全14話。青山の過去が描かれるエピソードでは、金髪の中村倫也が見られます。こんな役もやるのね…と、私が初めて観る中村倫也でした。

珈琲を淹れるシーンだけでも、また観たいと思うくらい。

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原作知らずで観たけど、意外に奥深い作品。
数話は立ち寄った先での出会いや触れ合い、客の生き様や価値観のズレ等、完結でまとめられていて、面白かった。

てっきりそういう話かと思ったら、中盤以降は真髄に迫っていきます。

何故、「たこ珈琲」なのか
何故、右手を隠しているのか
何故、珈琲の移動販売を始めたのか
何故、珈琲にこだわるのか
何故、そこまで丁寧な物言いなのか

その謎がしっかりと明らかにされていく。
それがまた奥深くて、ハートフル。
わざとらしくない理由に自ずと納得し、惹かれてしまう。
上手いなー。

人間って、ほんの少し耳を傾けてくれて、ほんの少し同じ目線になってくれるだけで、こんなに変われるんだなーって。

ラストもいい感じだったなー。理想像。

酒飲まないし、珈琲好きだけど、もっと珈琲好きになる作品。





おすすめ度 ８５％

　一杯のコーヒーが香る１４のエピソード。

　青山の人生が一番ほろ苦い。いや、苦すぎる。


　珈琲が繋ぐ人生の物語は、最後にどんな景色を見せてくれるのか。


　人情珈琲、死にたがり珈琲、キラキラ珈琲、だめになった珈琲、男子珈琲、金魚珈琲、ガソリン珈琲、ファッション珈琲、ほるもん珈琲、初恋珈琲、たこ珈琲、ぼっちゃん珈琲、暴力珈琲、ポップ珈琲。

　様々なコーヒーを味わいましょう。