連続ドラマＷ　東野圭吾「さまよう刃」

原作は東野圭吾『さまよう刃』。2009年に寺尾聰主演（益子昌一監督）で映画化されている。　
本作は2021年、竹野内豊主演（片山慎三監督　）でドラマ化。全6話（297分）で、より原作に近く詳細な内容になっている。

ある日、連絡の途絶えた長峰（竹野内豊）の一人娘・エマの死体が荒川から発見された。全裸でごみ袋に包まれていた。
未成年の少年グループによって蹂躪された末の遺棄だった。
クロロホルムをかがされ、車に乗せられ、薬物を打たれ、乱暴される姿を動画に撮られたうえ、大量の薬物が原因で心不全に陥ったのだった。
死体を前にした少年たちは、モノのように川に捨てた。

謎の密告電話によって警察より早く犯人を知った長峰は、少年の借りてるアパートに入り、
15歳の娘のDVDを発見、あまりの無惨で悲惨なありさまに驚く。ただ、怒りと絶望しかなかった。
ドアを開けて入ってきた少年、伴崎を長嶺はメッタ刺しにして殺害。あたりは血吹雪になった。
長嶺は被害者の遺族であると同時に、未成年を殺害した殺人犯になったのだ。

再び、電話により主犯格の菅野カイジが長野のペンションにいるという情報で、長嶺は長野に向かう。
長嶺は菅野があっさりと自首するまえにこの手で復讐したい。
菅野が逮捕されたところでエマの復讐が果たされたことにはならない。
菅野を警察ににげこませてはならない。
少年法で守られたオリにいれるわけにはいかない。

──おそらく多くの親が同じように思うだろう。未成年だからと名前も公表されず、
刑務所に入るわけでもない。数年間、保護された未成年たちは、世間の記憶が薄れた頃、再び元の世界に戻ってゆくのだ。

作品は長野で足を棒にして菅野を探す長嶺。長嶺に力を貸す和歌子（石田ゆり子）
法の前に、法を守るしかない刑事たちの執念とその逡巡を描く。
あの結末は、想像していたのと違うので、モヤモヤせざるをえない。
だが、犯罪というものはどこにも腑に落ちる事なぞないから犯罪なのだろう。

監督が片山慎三でもあるので、1話に一回は悲惨な陵辱場面が挿入され生々しすぎて辛い。
気の毒すぎて何度も観たくはないのだが、（一気見した私と違い）、連続ドラマとして観賞される方もあり、
そこは気にしないようにはしたい。

さて、少年法であるが、令和３年に、「選挙権年齢や民法の成年年齢が20歳から18歳に引き下げられ，
18，19歳の者は，社会において，責任ある主体として積極的な役割を果たすことが期待される立場になった。」それに伴い、
少年法の一部が改正され，「18，19歳の者が罪を犯した場合には，その立場に応じた取扱いとするため，『特定少年』として，
17歳以下の少年とは異なる特例を定める。」
という事になった。犯罪の内容によっては大人と同じ扱いをするという意味でよろしいのだろうか。

被害者のために必要な法律、制度が変わることで、被害者の抱えている苦しみが少しでも緩和されるなら良いと思う。
子どもたちを加害者にもしたくないし、ましてや被害者にはしたくない。

原作も読まず、前情報一切なしでみてしまいました。
題材が重く、暴力的で見なきゃよかった。後味の悪いドラマでした。

主犯の子は反社会性パーソナリティ障害。刑期を終えて出所しても必ず同じ犯罪をします。出所させてはいけない。常に監視下に置かないと。
そして、わたしが一番心理的に問題を抱えてやばいと思ったのは、主犯と一緒に逃げた女の子です。
明らかにストックホルム症候群です。この子はたぶんかなり虐待を受けて育ってきたと思いました。自尊心が全く育っていません。この子の心の闇は一生この子自身を苦しめると思いました。

原作も読まず、前情報一切なしでみてしまいました。
題材が重く、暴力的で見なきゃよかった。後味の悪いドラマでした。