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すばらしき世界

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すばらしき世界 / 役所広司

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「すばらしき世界」 の解説・あらすじ・ストーリー

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解説・ストーリー

「ディア・ドクター」の西川美和監督が佐木隆三のノンフィクション小説『身分帳』を原案に、役所広司主演で描く感動の人間ドラマ。真っ直ぐで思いやりもあるが癇癪持ちの元殺人犯を主人公に、カタギとして人生をやり直そうと奮闘するものの、なかなか世間のルールと折り合いをつけられず悪戦苦闘する姿と、そんな彼に手を差しのべる人々との心の触れ合いを見つめていく。共演は仲野太賀、六角精児、長澤まさみ、安田成美、梶芽衣子、橋爪功。13年の刑期を終え、旭川刑務所を出所した元殺人犯の三上正夫。身寄りのない彼は上京し、身元引受人となった弁護士の庄司とその妻・敦子に温かく迎えられる。一方、小説家への転身を目指していたTVディレクター津乃田のもとには、そんな三上の社会復帰に密着したドキュメンタリー番組の制作という仕事が舞い込むが…。 JAN:4934569738561

「すばらしき世界」 の作品情報

作品情報

製作年: 2020年

「すばらしき世界」 のキャスト・出演者/監督・スタッフ

キャスト・スタッフ

監督: 西川美和
出演: 役所広司

関連作品

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砦なき者

パコと魔法の絵本

大河ドラマ 花の乱 総集編

蜩ノ記(ひぐらしのき)

ユーザーレビュー:8件

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1〜 5件 / 全8件

今いる世界はどんな世界なのか

投稿日:2021/10/07 レビュアー:くまげらの森

殺人を犯し13年の刑期を終えた三上正夫(役所広司)が、旭川刑務所を出所する。
44歳である。(三上正夫、字画が少ないよう孤児院がつけた)
主人公が一歩一歩踏みしめるように、日常の社会へ分け入ってゆく光景を描く。
社会の目は冷たく、色眼鏡で見るので仕事が続かなく、半数は刑務所に戻るそうだ。
(まるで浦島太郎のような三上の目から見れば)我々の日常というものは、
意外にザラザラしており、誰かを傷つける事なしには容易には人を受け入れない。
一方で温かく迎える人々も存在しており、彼らは、
「心にバリヤーを張って。理不尽だろうと怒ってはダメ、関わりすぎてもダメ、」
そんな注意を受けるが、三上は根っからのワルではなかった。
不幸な生い立ちからヤクザ組織に関わったものの、涙もろく感激屋で、
困っている人がいると見過ごせない正義感の持ち主だ
しかし、母親に捨てられ、ヤクザに育てられた彼は対話や交流を知らず、暴力で決着を
つけようとしてしまう。

上手く社会に溶け込めないのは、犯罪者たる自分が歪んでいるからか、
それとも日常社会の方が、人間的であろうとする者と一致しないのか。

『素晴らしき世界』というタイトルが、青空にクッキリと浮かぶのは映画もラストになって
初めて示される。
はたして、この世界はどんな世界なのだろう、三上の人生は、生きづらい、馴染めない、
努力が報われない人生だった。

西川美和監督は、このタイトルに若干の皮肉と悲しみを込めたと言う。
同時に、三上の旅する異世界が今度は、優しい世界であってほしいという祈りもあるだろう。

三上の肩の入れ墨は、少年時、見習いの彫師に練習として彫らせたものだ。
だから色がない。鮮やかな色彩がほしかった三上は、コスモスの花束を
握りしめてどんなに嬉しかったか・・
ちなみに西川美和さんは、これも佐木隆三原作の『復習するは我にあり』1979年(今村昌平監督)を
観て衝撃を受け、そんな映画を作りたいと映画界に入ったそうだ。
原作ではなく「原案」となっている佐木隆三『身分帳』の重厚さは、確かに映画化されて薄れてはいるが、
「どう描いたって、この小説が語ったものは語りきれない。小説と異なる視点を描かない限り映画にする意義はない」と語る。
今作の、タイトルが青空に浮かぶシーンは、『復讐するは我にあり』で、
犯人の遺骨を散布するシーンが空中で静止する場面、へのオマージュだと思った。
西川美和、渾身の一作だと思う。

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堅気の見る空は、広い・・と言う

投稿日:2021/10/06 レビュアー:アーモンド・クッキー

2021年。監督・脚本:西川美和。
長い(13年間)の刑務所生活を終えた男・三上が経験する「堅気の世界」
その七転八倒を時に厳しく時に優しく描いた感動作品。
困った人は見過ごせない・・でも解決手段はいつでも《暴力》
そんな真っ直ぐな男三上は元受刑者。
三上(役所広司)と言う人間の瞬間湯沸かし器がいつ爆発するか?
危なっかしくてハラハラ・ドキドキしてしまいました。
ホントにスリルの連続です。
殺人罪で服役13年間。
出所した三上はもう初老で、身体もガタが来て心臓もイカれています。
弁護士夫妻(橋爪功と梶芽衣子)に一時引き取られて、生活保護の申請そして受理されます。しかし三上はそれが堪らなく屈辱なのです。
何としても働きたい!!
そこから三上は自活するため必死でもがきだす七転八倒。
笑っちゃうくらい《真っ直ぐ》
小学生の時、先生に言われましたね。
《困った人を見たら助けましょう》
《正直に生きよう》
実行すると大変なことになるんだよ!!
とは、先生は教えなかった。

主要なキャストで心根が腐ってるのは長澤まさみ演じるテレビ局のディレクターだけだ。
面白いドキュメンタリーを撮るためなら、人殺しもカメラを回しつづけるタイプだ。
三上が犯罪をやらかすのを期待している腹黒だ。

役所さんが本当にはまり役で素晴らしいかったです。
繊細に豪胆な三上を魅力的に演じました。
まだ根っこは極道なんかい?そう思わせるキレッぷり。
でも笑顔と目が優しい。

津乃田はテレビ局を辞めて三上の身分帳(三上の人生の犯歴などを細かく記したノート)から、小説を書こうとしている。
津乃田役の中野大賀がすごく良い!!
三上にどんどん惚れ込んでいく。
みんなハラハラしながら踏む込んでいく、三上に。
無垢な物を持っているから・・・
幸せになってと願うから・・・
(関西のヤクザの親分で白竜が出てます。)
ドッキリ・シーンあります。
姐御のキムラ緑子もが言う!
『娑婆で見る空は広い』って言うよ。

私たちは金はなくても平等に、
「広い大きな空」を見上げているんだね。
空でお腹は一杯にならないし、
この世界が、素晴らしいと、手放しで言えないけれど、
この世界は、満更でもないかも知れない。

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凄く良かったです ネタバレ

投稿日:2021/09/03 レビュアー:飛べない魔女

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最後は涙が止まらなかった。
マスクがびしょびしょになるほど、泣いてしまった。
先に観た『ヤクザと家族』に被る内容だった。

人生のほとんどを刑務所で過ごしてきた元極道の三上。
今度こそまっとうに生きようともがくが、世間の風は冷たい。
ただ普通に生きていくのもままならない。
また極道の道に戻るしかないのか?
もがき苦しむ三上を演じる役所広司さんの演技が素晴らしかった。
短気だけど、弱者を放っておけない優しい一面を見せる三上。
穏やかな表情が一変して鋭い眼光になるところは迫力満点。
流石役所さんだと感心した。
三上の良き理解者になるライターの仲野大賀くんの演技も見逃せない。

タイトルの意味が分かったとき、ああ、この世界は優しさで溢れているじゃないか、
人の世も捨てたもんじゃないじゃないか、と思った。
心を開いてまっすぐ向き合えば、理解してくれる優しい人たちに救われた三上。

今度こそ普通の人として生きていこうと固く決心するその様は
痛々しくも健気で、涙が止まらなかった。

どうかもうこれ以上悪いことが起こりませんように。。。
そう三上の幸せを心から願ったのに。。。。
ラストの余韻が凄くて、エンドロールで席を立つ人は一人もいなかった。

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切ない復帰の物語 良き人びとに助けられて

投稿日:2021/10/06 レビュアー:ちゅく

「すばらしき世界」(2021、「すばらしき世界」製作委員会、カラー、126分)。監督・脚本は西川美和(1974生)。原案は佐木隆三(1932〜2015)の長編「身分帳」(1990)。
殺人罪による懲役刑期を終え、雪国の刑務所を出た「三上」(役所広司)は、身元引受人の東京の弁護士「庄司」(橋爪功)と上野駅で再会、彼の家で妻「敦子」(梶芽衣子)の「すき焼き」をご馳走になる。生活保護を受けようと「庄司」と市役所に行くが、担当の「井口」(北村有起哉)に「反社の人には例外なく保護はおりませんから」と言われる。「庄司」は「彼が暴力団組織に籍があったのは20年以上前の話です。ここで網の目から落とすことになれば、こういう人をまたもや組織に押し戻すかもしれない、という現実をご承知のうえですよね?」と懇切に脅しながら説明する。保護が決まり、アパートで暮らし始める。
数日前、宅配便で「身分帳」と題するノートを数冊受け取ったライターの「津乃田」(仲野太賀)は、プロデューサーの「吉澤」(長澤まさみ)から、「本人から局に送られてきたの。面白いんじゃん」と示唆を受ける。「三上」の意図は、昔、音信が跡絶えた母の行方を捜してもらうことだったが、「吉澤」は視聴率稼ぎのネタにしようと企む。
アパートの下階に住む青年が「身分帳」を見せ、TV局の取材陣と言う。「吉澤」に色仕掛けで唆された「津乃田」が接近してきたのだ。彼は「三上」をビデオ撮影。少年院や刑務所で覚えた「ミシン」や大工仕事に求人なく、「反社?」「養育できない子供のための養子縁組」「携帯なし」「運転免許は更新切れ」──世間は変わっていた。あまりにも速く、すっきりと冷淡になっていた。刑務所で過ごした13年が彼を「浦島太郎」状態にしてしまったのだ。
ハングレの騒音野郎に「仁義」を切って、びびった相手が「助けてください。暴力団の人に脅されています」と叫んで……。市役所の「井口」が定期訪問で、就職を勧めて「社会から孤立しないことです」と言う。昔の妻(安田成美)の幻想──裁判で証言する彼女の横顔──が「三上」にちらつき、「津乃田」は裁判記録を閲覧し始める。「傷害致死」か「殺人」か。
スーパーの店長「松本」(六角精児)は「三上」を万引き犯と疑うが誤解が解けると親切になってくれる。「三上」は、先に出所していた仲間「下稲葉」(白竜)と妻「マス子」(キムラ緑子)が北九州で営む料理旅館に会いに行く。「下稲葉」は糖尿で片足の膝下がなく車椅子に乗っていた。「マス子」から「元気の出るクスリを入れますか」と言われ、固まる。「津乃田」から母が見つかったという電話が入る。
あらすじばかり書いて、字数を越えてしまった。いい原案をもとに、いい脚本を書いて演出する監督、そして名優が揃うと、こんな映画ができるのだと思いました。ここ一年で、最高の「すばらしき映画」でした。

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底辺の人間が這い上がるのは、容易ではない

投稿日:2021/10/11 レビュアー:ホラーは観ないKEN

今の世の中、本当は働けるのに 働こうともせず、生活保護に頼る輩もいます。
けれど、元殺人犯の三上は『人からの施しを受けたくない』と働こうとするのです。
それなのに身体が悪くて 肉体労働が出来ず、
車の免許も失効していて 運転手にもなれません。(自動車学校に通うお金も有りません)
底辺の人間が這い上がるのは、容易ではないのです。
特に三上のように 真っ直ぐすぎる性格の人間は、とても生き辛い。

後半、三上が自分の居場所を見付けてからは
少し ほのぼのした気分になれたのですが・・・。

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すばらしき世界

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今いる世界はどんな世界なのか

投稿日

2021/10/07

レビュアー

くまげらの森

殺人を犯し13年の刑期を終えた三上正夫(役所広司)が、旭川刑務所を出所する。
44歳である。(三上正夫、字画が少ないよう孤児院がつけた)
主人公が一歩一歩踏みしめるように、日常の社会へ分け入ってゆく光景を描く。
社会の目は冷たく、色眼鏡で見るので仕事が続かなく、半数は刑務所に戻るそうだ。
(まるで浦島太郎のような三上の目から見れば)我々の日常というものは、
意外にザラザラしており、誰かを傷つける事なしには容易には人を受け入れない。
一方で温かく迎える人々も存在しており、彼らは、
「心にバリヤーを張って。理不尽だろうと怒ってはダメ、関わりすぎてもダメ、」
そんな注意を受けるが、三上は根っからのワルではなかった。
不幸な生い立ちからヤクザ組織に関わったものの、涙もろく感激屋で、
困っている人がいると見過ごせない正義感の持ち主だ
しかし、母親に捨てられ、ヤクザに育てられた彼は対話や交流を知らず、暴力で決着を
つけようとしてしまう。

上手く社会に溶け込めないのは、犯罪者たる自分が歪んでいるからか、
それとも日常社会の方が、人間的であろうとする者と一致しないのか。

『素晴らしき世界』というタイトルが、青空にクッキリと浮かぶのは映画もラストになって
初めて示される。
はたして、この世界はどんな世界なのだろう、三上の人生は、生きづらい、馴染めない、
努力が報われない人生だった。

西川美和監督は、このタイトルに若干の皮肉と悲しみを込めたと言う。
同時に、三上の旅する異世界が今度は、優しい世界であってほしいという祈りもあるだろう。

三上の肩の入れ墨は、少年時、見習いの彫師に練習として彫らせたものだ。
だから色がない。鮮やかな色彩がほしかった三上は、コスモスの花束を
握りしめてどんなに嬉しかったか・・
ちなみに西川美和さんは、これも佐木隆三原作の『復習するは我にあり』1979年(今村昌平監督)を
観て衝撃を受け、そんな映画を作りたいと映画界に入ったそうだ。
原作ではなく「原案」となっている佐木隆三『身分帳』の重厚さは、確かに映画化されて薄れてはいるが、
「どう描いたって、この小説が語ったものは語りきれない。小説と異なる視点を描かない限り映画にする意義はない」と語る。
今作の、タイトルが青空に浮かぶシーンは、『復讐するは我にあり』で、
犯人の遺骨を散布するシーンが空中で静止する場面、へのオマージュだと思った。
西川美和、渾身の一作だと思う。

堅気の見る空は、広い・・と言う

投稿日

2021/10/06

レビュアー

アーモンド・クッキー

2021年。監督・脚本:西川美和。
長い(13年間)の刑務所生活を終えた男・三上が経験する「堅気の世界」
その七転八倒を時に厳しく時に優しく描いた感動作品。
困った人は見過ごせない・・でも解決手段はいつでも《暴力》
そんな真っ直ぐな男三上は元受刑者。
三上(役所広司)と言う人間の瞬間湯沸かし器がいつ爆発するか?
危なっかしくてハラハラ・ドキドキしてしまいました。
ホントにスリルの連続です。
殺人罪で服役13年間。
出所した三上はもう初老で、身体もガタが来て心臓もイカれています。
弁護士夫妻(橋爪功と梶芽衣子)に一時引き取られて、生活保護の申請そして受理されます。しかし三上はそれが堪らなく屈辱なのです。
何としても働きたい!!
そこから三上は自活するため必死でもがきだす七転八倒。
笑っちゃうくらい《真っ直ぐ》
小学生の時、先生に言われましたね。
《困った人を見たら助けましょう》
《正直に生きよう》
実行すると大変なことになるんだよ!!
とは、先生は教えなかった。

主要なキャストで心根が腐ってるのは長澤まさみ演じるテレビ局のディレクターだけだ。
面白いドキュメンタリーを撮るためなら、人殺しもカメラを回しつづけるタイプだ。
三上が犯罪をやらかすのを期待している腹黒だ。

役所さんが本当にはまり役で素晴らしいかったです。
繊細に豪胆な三上を魅力的に演じました。
まだ根っこは極道なんかい?そう思わせるキレッぷり。
でも笑顔と目が優しい。

津乃田はテレビ局を辞めて三上の身分帳(三上の人生の犯歴などを細かく記したノート)から、小説を書こうとしている。
津乃田役の中野大賀がすごく良い!!
三上にどんどん惚れ込んでいく。
みんなハラハラしながら踏む込んでいく、三上に。
無垢な物を持っているから・・・
幸せになってと願うから・・・
(関西のヤクザの親分で白竜が出てます。)
ドッキリ・シーンあります。
姐御のキムラ緑子もが言う!
『娑婆で見る空は広い』って言うよ。

私たちは金はなくても平等に、
「広い大きな空」を見上げているんだね。
空でお腹は一杯にならないし、
この世界が、素晴らしいと、手放しで言えないけれど、
この世界は、満更でもないかも知れない。

凄く良かったです

投稿日

2021/09/03

レビュアー

飛べない魔女

※このユーザーレビューは作品の内容に関する記述が含まれています。

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最後は涙が止まらなかった。
マスクがびしょびしょになるほど、泣いてしまった。
先に観た『ヤクザと家族』に被る内容だった。

人生のほとんどを刑務所で過ごしてきた元極道の三上。
今度こそまっとうに生きようともがくが、世間の風は冷たい。
ただ普通に生きていくのもままならない。
また極道の道に戻るしかないのか?
もがき苦しむ三上を演じる役所広司さんの演技が素晴らしかった。
短気だけど、弱者を放っておけない優しい一面を見せる三上。
穏やかな表情が一変して鋭い眼光になるところは迫力満点。
流石役所さんだと感心した。
三上の良き理解者になるライターの仲野大賀くんの演技も見逃せない。

タイトルの意味が分かったとき、ああ、この世界は優しさで溢れているじゃないか、
人の世も捨てたもんじゃないじゃないか、と思った。
心を開いてまっすぐ向き合えば、理解してくれる優しい人たちに救われた三上。

今度こそ普通の人として生きていこうと固く決心するその様は
痛々しくも健気で、涙が止まらなかった。

どうかもうこれ以上悪いことが起こりませんように。。。
そう三上の幸せを心から願ったのに。。。。
ラストの余韻が凄くて、エンドロールで席を立つ人は一人もいなかった。

切ない復帰の物語 良き人びとに助けられて

投稿日

2021/10/06

レビュアー

ちゅく

「すばらしき世界」(2021、「すばらしき世界」製作委員会、カラー、126分)。監督・脚本は西川美和(1974生)。原案は佐木隆三(1932〜2015)の長編「身分帳」(1990)。
殺人罪による懲役刑期を終え、雪国の刑務所を出た「三上」(役所広司)は、身元引受人の東京の弁護士「庄司」(橋爪功)と上野駅で再会、彼の家で妻「敦子」(梶芽衣子)の「すき焼き」をご馳走になる。生活保護を受けようと「庄司」と市役所に行くが、担当の「井口」(北村有起哉)に「反社の人には例外なく保護はおりませんから」と言われる。「庄司」は「彼が暴力団組織に籍があったのは20年以上前の話です。ここで網の目から落とすことになれば、こういう人をまたもや組織に押し戻すかもしれない、という現実をご承知のうえですよね?」と懇切に脅しながら説明する。保護が決まり、アパートで暮らし始める。
数日前、宅配便で「身分帳」と題するノートを数冊受け取ったライターの「津乃田」(仲野太賀)は、プロデューサーの「吉澤」(長澤まさみ)から、「本人から局に送られてきたの。面白いんじゃん」と示唆を受ける。「三上」の意図は、昔、音信が跡絶えた母の行方を捜してもらうことだったが、「吉澤」は視聴率稼ぎのネタにしようと企む。
アパートの下階に住む青年が「身分帳」を見せ、TV局の取材陣と言う。「吉澤」に色仕掛けで唆された「津乃田」が接近してきたのだ。彼は「三上」をビデオ撮影。少年院や刑務所で覚えた「ミシン」や大工仕事に求人なく、「反社?」「養育できない子供のための養子縁組」「携帯なし」「運転免許は更新切れ」──世間は変わっていた。あまりにも速く、すっきりと冷淡になっていた。刑務所で過ごした13年が彼を「浦島太郎」状態にしてしまったのだ。
ハングレの騒音野郎に「仁義」を切って、びびった相手が「助けてください。暴力団の人に脅されています」と叫んで……。市役所の「井口」が定期訪問で、就職を勧めて「社会から孤立しないことです」と言う。昔の妻(安田成美)の幻想──裁判で証言する彼女の横顔──が「三上」にちらつき、「津乃田」は裁判記録を閲覧し始める。「傷害致死」か「殺人」か。
スーパーの店長「松本」(六角精児)は「三上」を万引き犯と疑うが誤解が解けると親切になってくれる。「三上」は、先に出所していた仲間「下稲葉」(白竜)と妻「マス子」(キムラ緑子)が北九州で営む料理旅館に会いに行く。「下稲葉」は糖尿で片足の膝下がなく車椅子に乗っていた。「マス子」から「元気の出るクスリを入れますか」と言われ、固まる。「津乃田」から母が見つかったという電話が入る。
あらすじばかり書いて、字数を越えてしまった。いい原案をもとに、いい脚本を書いて演出する監督、そして名優が揃うと、こんな映画ができるのだと思いました。ここ一年で、最高の「すばらしき映画」でした。

底辺の人間が這い上がるのは、容易ではない

投稿日

2021/10/11

レビュアー

ホラーは観ないKEN

今の世の中、本当は働けるのに 働こうともせず、生活保護に頼る輩もいます。
けれど、元殺人犯の三上は『人からの施しを受けたくない』と働こうとするのです。
それなのに身体が悪くて 肉体労働が出来ず、
車の免許も失効していて 運転手にもなれません。(自動車学校に通うお金も有りません)
底辺の人間が這い上がるのは、容易ではないのです。
特に三上のように 真っ直ぐすぎる性格の人間は、とても生き辛い。

後半、三上が自分の居場所を見付けてからは
少し ほのぼのした気分になれたのですが・・・。

1〜 5件 / 全8件