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「ゴッズ・オウン・カントリー」のフランシス・リー監督が、ケイト・ウィンスレットとシアーシャ・ローナンという実力派女優2人を主演に迎えて贈るヒューマン・ドラマ。19世紀に実在した不遇の女性古生物学者メアリー・アニングを主人公に、男性優位の社会で貧しく孤独な人生を歩んできたヒロインが、対照的な境遇でありながら同じような孤独を抱えた若い人妻との出会いを通して、抑圧された心を開放していく姿を、繊細かつ官能的に描き出す。1840年代、イギリス南西部の海辺の町ライム・レジス。母親と2人暮らしの古生物学者メアリー。暮らしは貧しく、生計のために観光土産用のアンモナイトを探す日々。そんな中ひょんな成り行きから、化石収集家の妻で、この地で療養することになったシャーロットを渋々ながらも預かることになったメアリーだったが…。 JAN:4589921413985
製作年: |
2020年 |
---|---|
原題: |
AMMONITE |
収録時間: | 字幕: | 音声: |
---|---|---|
118分 | ||
レイティング: | 記番: | レンタル開始日: |
R-15 | GADR2398 | 2021年10月06日 |
在庫枚数 | 1位登録者: | 2位登録者: |
89枚 | 2人 | 1人 |
収録時間:
118分
字幕:
音声:
レイティング:
R-15
記番:
GADR2398
レンタル開始日:
2021年10月06日
在庫枚数
89枚
1位登録者:
2人
2位登録者:
1人
DVD
収録時間: | 字幕: | 音声: |
---|---|---|
118分 | ||
レイティング: | 記番: | レンタル開始日: |
R-15 | GADR2398 | 2021年10月06日 |
在庫枚数 | 1位登録者: | 2位登録者: |
89枚 | 2人 | 1人 |
収録時間:
118分
字幕:
音声:
レイティング:
R-15
記番:
GADR2398
レンタル開始日:
2021年10月06日
在庫枚数
89枚
1位登録者:
2人
2位登録者:
1人
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(辛口です)
舞台は、19世紀中葉のビクトリア朝時代、イギリス南西部の海沿いの町ライム・レジス。時代背景は異なるけれど、「燃ゆる女の肖像画」と設定がよく似ていて、肖像画がここでは化石になっている点以外、荒涼とした海岸、孤立した女性だけの空間、身分格差、ハプシコードに花(すみれ)の刺繍、別れた後の再会といった要素まで類似している。男性優位社会で閉塞感を感じているふたりの女性メアリーとシャーロットの、階級格差を超えた同性愛を描いている。これが、架空の登場人物が主人公の、完全にフィクションの作品であるのなら、私は何も言わず、こういう愛の形もあるのねと物語を堪能し、演技派女優ふたりのただただ素晴らしい繊細な演技に魅了されて、絶賛して観終わっていたことだろう。
けれど、主人公のメアリー・アニングは(シャーロットも、実際はシャーロットの方が年上)実在の人物で、生前には学界に無視され、科学におけるその多大な功績を正当に評価されることなく、それでも人生をフィールドワークと研究に捧げた、立派な古生物学者なのだ。監督はありきたりの伝記にはしたくなかったと述べているようだが、彼女が同性愛者だったという根拠もないのに、最もパーソナルな部分を想像で勝手に捏造するぐらいなら、なぜ実在の女性を主人公に選んだのかその理由が理解できない。
愛による解放や自由という主題に条件的に都合のいい人物として扱われていて、本当の意味でメアリー・アニングに対するリスペクトが感じられないことが残念で仕方ない。当時の社会と同じように、この映画の制作者たちもまた本音では、彼女の学術的な業績などどうでもいいと思っているのではないかとすら疑いたくなる。監督は、男性優位社会で疎外され搾取された女性には異性愛は相応しくないと考えたそうだが、階級格差や女性ゆえに差別されることと恋愛とは、また別問題だ。だからこそ葛藤する。実際、映画の終盤では、階級格差によるメアリーとシャーロットの互いにすれ違う想いが描かれている。
この映画は、実在の女性科学者を描きながら、女性同士の連帯感や友情ではなく、あえて史実に基づかない同性愛という形で、女性のセクシュアリティを消費している。こうである、ではなく、こうであってほしいというパーソナルな作品だ。アンモナイトは、メアリ―の正当に評価されなかった研究業績の象徴というより、女性同士の密やかな性愛の証しとなってしまっている。メアリ―・アニングは、2010年、英国王立協会によって、「科学の歴史に最も影響を与えたイギリス女性10人」のひとりに選ばれた。
このレビューは気に入りましたか? 8人の会員が気に入ったと投稿しています
実在の人物である19世紀の古生物学者メアリー・アニング(ケイト・ウィンスレット)と、やはり実在の人物で地質学者だったシャーロット・マーチソン(シアーシャ・ローナン)のロマンスを描いた作品である。
年齢が10歳ほど違う二人は、研究仲間として交流はあったようだが、
映画は、フランシス・リー監督のフィクションである。
同監督は『ゴッズ・オウン・カントリー』で、やはり大自然を背景に、男同士の愛情を描いている。
今作の、、メアリー・アニングがレズビアンだったという描写には、メアリーの遠縁にあたる人物から(根拠のない話)だとクレームが出ている。
(監督にしてみれば、女性の同性愛を描く映画が製作費も集まりやすくなってきているという時代の事情に加え、MeToo運動など女性の地位向上への流れも影響していると思われる。)
(しかし残念なことに『燃ゆる女の肖像』と、構成等も似ているため「またか」と思われやすい事がある)
そうではあるものの、この分野ではフランシス・リーが本領発揮するべき時、
観客の一人である私から言わせれば、『燃ゆる〜』を凌駕した完成度は出色だと思う。
ケイト・ウィンスレッドとシアーシャ・ローナンを起用したのは大成功だと思う。
二人とも、持てる力を出し切ったのが伝わるし、二人を見ているだけで楽しい。
(どうでも良いのだが、「放尿のシーン」すらケイトは自力でやったそうな)
ウツ状態から、弾むような喜びを表現するシアーシャ、そして自我の押し付けのような
提案をケイトに一蹴され固まるシアーシャと、ケイトの真実を見透かす瞳、
だが、初見の時の異和感を少しだけ言わせてほしい。
性愛場面が強烈すぎる!!シアーシャはうなじだけでも、足(つま先)を少し出しただけでも十分エロい。ケイトは豊満な肉と情熱的な眼差しからスパークする熱愛が伝わる。それなのに、
あそこまで官能的にベッドシーンを表現する必要があったろうか。
そして、同じく地質学者であったシャーロット・マーチソンがあまりにも世間知らずに描かれている。夫のロデリックも学者であり二人で化石の採集旅行に出ている。夫のデータ監修にも尽力した。ここは、(男にまともに評価されない鬱憤からではなく)凡庸でない自身の能力として、学問に傾倒するアカデミックな要素も見せてほしかった。
このレビューは気に入りましたか? 7人の会員が気に入ったと投稿しています
2020年(イギリス)監督:脚本:フランシス・リー。
“激しい雨音”にはじまり、寄せては返す“波音”で終わる。
雨音、波の音、音の狂ったチェンバロ、響きの悪いチェロ、馬車の軋む車輪の音、突然鳴り出す時計。
BGMと言うよりそれらの自然音やら生活音が強く主張していた。
それはまるでメアリー(ケイト・ウィンスレット)の意志の強さと共鳴するかのようだ。
女が誇り高く自活すること・・・それが難しかった19世紀初頭。
1840年。イギリス南西部の海沿いの町ライム・レジス。
人間嫌いの古生物学者メアリー・アニングは、若き日の名声も忘れ去られて、
観光客相手にありふれた化石を売ってひっそりと暮らしていた。
アンモナイト採掘家のメアリー・アニング。
意志の強さを演じさせたらケイト・ウィンスレットほど相応しい女優はいない。
メアリー・アニングとはわずか13歳で“アンモナイトの化石を大発見した女性“の名前。
それは大英博物館に展示され、その後もメアリーは現代の“恐竜ブーム”につながる化石を多く発掘したが、女性である故に歴史の中に埋もれ、かき消された女性なのだ。
この映画で《化石発掘》をライフワークとして、貧しく生きたメアリー・アネットに、
フランシス・リー監督がスポットライトを当てたことは、素晴らしい功績だ。
そんなメアリーの元へ、うつ病の若い妻シャーロットを地質学者の夫ロデリックが、静養を兼ねてメアリーの家に預けて去るのだった。
美しく可憐。役に立たない飾り物のようなシャーロット(シアーシャ・ローナン)
しかしメアリーとシャーロットは互いに惹かれていく。
燃え上がる2人の恋心。
砂糖菓子のようなシャーロットに対して農婦や漁師のように素朴なメアリー。
題名の「アンモナイトの目覚め」とはシャーロットの性の目覚めをさすのだろうか?
(原題はただの、アンモナイト、である。)
私は途中この映画はシアーシャ・ローナンの映画かと思った。
しかし最後まで見たとき、これは間違いなくケイト・ウィンスレットが主演の映画なのだと思った。
若く美しいシアーシャ・ローナンの魅力を持ってしても尚、ケイト・ウィンスレットの存在感が数段と上回って見えるのは、美しさの盛りを過ぎた女優にも、若さと美しさに対抗する術があると知らしめた。
ところで、“アンモナイト”とはなんぞや?
答えは、絶滅した化石軟体動物の一つ。
頭足類に属するオウム貝の近縁。
日本では菊石、南瓜石などと呼ばれてきた。
シャーロットとメアリーの恋。
それは多分、架空のストーリーで、映画を賑やかにする小道具のひとつなのだろう。
エンドロールでいつまでも鳴らされる“波音“
その鳴り続ける激しさがメアリーの生き様のようだった。
このレビューは気に入りましたか? 3人の会員が気に入ったと投稿しています
「アンモナイトの目覚め」(2021、英国/豪国/米国、カラー、120分)。
古生物学者「メアリー・アニング」(ケイト・ウィンスレット)は失意の生活を送っていた。残されたのは老母と、多くの珍奇でない化石ばかり。彼女は大きな古生代の貝のなかに閉じ籠もっている。別れた夫とは共同研究者だったが、離婚の前に、貴重な発掘物を独り占めにされ、夫は論文発表し、アリバイを作っていた。「アンモナイト」は英国でも多く見つかり、土産物として「メアリー」はアンモナイトの小さく安い化石を売っている。
これは1840年代の話です。ある日、彼女は海岸で倒れていた若い女「シャーロット」(シアーシャ・ローナン)を助ける。彼女の夫は裕福で著名な化石収集家であったが、なぜ、こんな場所に来たのか……。「メアリー」は我儘で神経質な「シャーロット」に戸惑い、イラッとするが、次第に距離を近めていく。これを同性愛というか、そうでないかは、映画の本質に影響のない課題です。二人は離れがたい関係を築いていく。
「アンモナイト」の「目覚め」。それは「メアリー」と「シャーロット」協働の結果に生まれた、それぞれの人間としての覚醒でず。
このレビューは気に入りましたか? 2人の会員が気に入ったと投稿しています
博物館の床に這いつくばり、雑巾掛けをしている女性。どけ、と男たちが入ってきて、大きな化石を運び込む。「メアリー・アニング採取」というラベルを剥ぎ取り「ナントカ・カントカ卿寄贈」に付け替える・・・オープニングの30秒に作品のテーマの半分が示されている。考古学上の偉大な業績を上げながら、女性であること、身分が低いこと、学歴がないことなどから、多くを男たちに横取りされ、正当に評価されず、不遇な一生を送った。
残りの半分は、メアリー・アニングの、ほとんど知られていない私生活をフィクションとして描くこと。預かることになった上流階級の若い人妻が、肺炎で倒れる。高熱の彼女の背中や胸に軟膏を塗ってあげるシーンあたりから、予感はしたが、まさか、と思いつつ、あまりの早い展開に・・・。身分を越え、立場を越えて、愛に飢えた二人の女性の間で何かのロックがはずれた。
たしかにラブシーンが過激すぎると思います、くまげらの森様。ライム・レジスの小学校では地元の誇りだと教えているし、子ども向けの伝記は日本でもたくさん出ている。子どもにみせられないじゃないですか。このくらいで心配してると子どもに笑われるのかな、逆に。
このレビューは気に入りましたか? 1人の会員が気に入ったと投稿しています
アンモナイトの目覚め
入力内容に誤りがあります。
内容をご確認のうえ、修正いただきますようお願いいたします。
ユーザーレビュー:6件
投稿日
2021/10/22
レビュアー
hinakksk (辛口です)
舞台は、19世紀中葉のビクトリア朝時代、イギリス南西部の海沿いの町ライム・レジス。時代背景は異なるけれど、「燃ゆる女の肖像画」と設定がよく似ていて、肖像画がここでは化石になっている点以外、荒涼とした海岸、孤立した女性だけの空間、身分格差、ハプシコードに花(すみれ)の刺繍、別れた後の再会といった要素まで類似している。男性優位社会で閉塞感を感じているふたりの女性メアリーとシャーロットの、階級格差を超えた同性愛を描いている。これが、架空の登場人物が主人公の、完全にフィクションの作品であるのなら、私は何も言わず、こういう愛の形もあるのねと物語を堪能し、演技派女優ふたりのただただ素晴らしい繊細な演技に魅了されて、絶賛して観終わっていたことだろう。
けれど、主人公のメアリー・アニングは(シャーロットも、実際はシャーロットの方が年上)実在の人物で、生前には学界に無視され、科学におけるその多大な功績を正当に評価されることなく、それでも人生をフィールドワークと研究に捧げた、立派な古生物学者なのだ。監督はありきたりの伝記にはしたくなかったと述べているようだが、彼女が同性愛者だったという根拠もないのに、最もパーソナルな部分を想像で勝手に捏造するぐらいなら、なぜ実在の女性を主人公に選んだのかその理由が理解できない。
愛による解放や自由という主題に条件的に都合のいい人物として扱われていて、本当の意味でメアリー・アニングに対するリスペクトが感じられないことが残念で仕方ない。当時の社会と同じように、この映画の制作者たちもまた本音では、彼女の学術的な業績などどうでもいいと思っているのではないかとすら疑いたくなる。監督は、男性優位社会で疎外され搾取された女性には異性愛は相応しくないと考えたそうだが、階級格差や女性ゆえに差別されることと恋愛とは、また別問題だ。だからこそ葛藤する。実際、映画の終盤では、階級格差によるメアリーとシャーロットの互いにすれ違う想いが描かれている。
この映画は、実在の女性科学者を描きながら、女性同士の連帯感や友情ではなく、あえて史実に基づかない同性愛という形で、女性のセクシュアリティを消費している。こうである、ではなく、こうであってほしいというパーソナルな作品だ。アンモナイトは、メアリ―の正当に評価されなかった研究業績の象徴というより、女性同士の密やかな性愛の証しとなってしまっている。メアリ―・アニングは、2010年、英国王立協会によって、「科学の歴史に最も影響を与えたイギリス女性10人」のひとりに選ばれた。
投稿日
2021/10/08
レビュアー
くまげらの森実在の人物である19世紀の古生物学者メアリー・アニング(ケイト・ウィンスレット)と、やはり実在の人物で地質学者だったシャーロット・マーチソン(シアーシャ・ローナン)のロマンスを描いた作品である。
年齢が10歳ほど違う二人は、研究仲間として交流はあったようだが、
映画は、フランシス・リー監督のフィクションである。
同監督は『ゴッズ・オウン・カントリー』で、やはり大自然を背景に、男同士の愛情を描いている。
今作の、、メアリー・アニングがレズビアンだったという描写には、メアリーの遠縁にあたる人物から(根拠のない話)だとクレームが出ている。
(監督にしてみれば、女性の同性愛を描く映画が製作費も集まりやすくなってきているという時代の事情に加え、MeToo運動など女性の地位向上への流れも影響していると思われる。)
(しかし残念なことに『燃ゆる女の肖像』と、構成等も似ているため「またか」と思われやすい事がある)
そうではあるものの、この分野ではフランシス・リーが本領発揮するべき時、
観客の一人である私から言わせれば、『燃ゆる〜』を凌駕した完成度は出色だと思う。
ケイト・ウィンスレッドとシアーシャ・ローナンを起用したのは大成功だと思う。
二人とも、持てる力を出し切ったのが伝わるし、二人を見ているだけで楽しい。
(どうでも良いのだが、「放尿のシーン」すらケイトは自力でやったそうな)
ウツ状態から、弾むような喜びを表現するシアーシャ、そして自我の押し付けのような
提案をケイトに一蹴され固まるシアーシャと、ケイトの真実を見透かす瞳、
だが、初見の時の異和感を少しだけ言わせてほしい。
性愛場面が強烈すぎる!!シアーシャはうなじだけでも、足(つま先)を少し出しただけでも十分エロい。ケイトは豊満な肉と情熱的な眼差しからスパークする熱愛が伝わる。それなのに、
あそこまで官能的にベッドシーンを表現する必要があったろうか。
そして、同じく地質学者であったシャーロット・マーチソンがあまりにも世間知らずに描かれている。夫のロデリックも学者であり二人で化石の採集旅行に出ている。夫のデータ監修にも尽力した。ここは、(男にまともに評価されない鬱憤からではなく)凡庸でない自身の能力として、学問に傾倒するアカデミックな要素も見せてほしかった。
投稿日
2021/10/07
レビュアー
アーモンド2020年(イギリス)監督:脚本:フランシス・リー。
“激しい雨音”にはじまり、寄せては返す“波音”で終わる。
雨音、波の音、音の狂ったチェンバロ、響きの悪いチェロ、馬車の軋む車輪の音、突然鳴り出す時計。
BGMと言うよりそれらの自然音やら生活音が強く主張していた。
それはまるでメアリー(ケイト・ウィンスレット)の意志の強さと共鳴するかのようだ。
女が誇り高く自活すること・・・それが難しかった19世紀初頭。
1840年。イギリス南西部の海沿いの町ライム・レジス。
人間嫌いの古生物学者メアリー・アニングは、若き日の名声も忘れ去られて、
観光客相手にありふれた化石を売ってひっそりと暮らしていた。
アンモナイト採掘家のメアリー・アニング。
意志の強さを演じさせたらケイト・ウィンスレットほど相応しい女優はいない。
メアリー・アニングとはわずか13歳で“アンモナイトの化石を大発見した女性“の名前。
それは大英博物館に展示され、その後もメアリーは現代の“恐竜ブーム”につながる化石を多く発掘したが、女性である故に歴史の中に埋もれ、かき消された女性なのだ。
この映画で《化石発掘》をライフワークとして、貧しく生きたメアリー・アネットに、
フランシス・リー監督がスポットライトを当てたことは、素晴らしい功績だ。
そんなメアリーの元へ、うつ病の若い妻シャーロットを地質学者の夫ロデリックが、静養を兼ねてメアリーの家に預けて去るのだった。
美しく可憐。役に立たない飾り物のようなシャーロット(シアーシャ・ローナン)
しかしメアリーとシャーロットは互いに惹かれていく。
燃え上がる2人の恋心。
砂糖菓子のようなシャーロットに対して農婦や漁師のように素朴なメアリー。
題名の「アンモナイトの目覚め」とはシャーロットの性の目覚めをさすのだろうか?
(原題はただの、アンモナイト、である。)
私は途中この映画はシアーシャ・ローナンの映画かと思った。
しかし最後まで見たとき、これは間違いなくケイト・ウィンスレットが主演の映画なのだと思った。
若く美しいシアーシャ・ローナンの魅力を持ってしても尚、ケイト・ウィンスレットの存在感が数段と上回って見えるのは、美しさの盛りを過ぎた女優にも、若さと美しさに対抗する術があると知らしめた。
ところで、“アンモナイト”とはなんぞや?
答えは、絶滅した化石軟体動物の一つ。
頭足類に属するオウム貝の近縁。
日本では菊石、南瓜石などと呼ばれてきた。
シャーロットとメアリーの恋。
それは多分、架空のストーリーで、映画を賑やかにする小道具のひとつなのだろう。
エンドロールでいつまでも鳴らされる“波音“
その鳴り続ける激しさがメアリーの生き様のようだった。
投稿日
2022/01/10
レビュアー
ちゅく「アンモナイトの目覚め」(2021、英国/豪国/米国、カラー、120分)。
古生物学者「メアリー・アニング」(ケイト・ウィンスレット)は失意の生活を送っていた。残されたのは老母と、多くの珍奇でない化石ばかり。彼女は大きな古生代の貝のなかに閉じ籠もっている。別れた夫とは共同研究者だったが、離婚の前に、貴重な発掘物を独り占めにされ、夫は論文発表し、アリバイを作っていた。「アンモナイト」は英国でも多く見つかり、土産物として「メアリー」はアンモナイトの小さく安い化石を売っている。
これは1840年代の話です。ある日、彼女は海岸で倒れていた若い女「シャーロット」(シアーシャ・ローナン)を助ける。彼女の夫は裕福で著名な化石収集家であったが、なぜ、こんな場所に来たのか……。「メアリー」は我儘で神経質な「シャーロット」に戸惑い、イラッとするが、次第に距離を近めていく。これを同性愛というか、そうでないかは、映画の本質に影響のない課題です。二人は離れがたい関係を築いていく。
「アンモナイト」の「目覚め」。それは「メアリー」と「シャーロット」協働の結果に生まれた、それぞれの人間としての覚醒でず。
投稿日
2021/10/24
レビュアー
daichan博物館の床に這いつくばり、雑巾掛けをしている女性。どけ、と男たちが入ってきて、大きな化石を運び込む。「メアリー・アニング採取」というラベルを剥ぎ取り「ナントカ・カントカ卿寄贈」に付け替える・・・オープニングの30秒に作品のテーマの半分が示されている。考古学上の偉大な業績を上げながら、女性であること、身分が低いこと、学歴がないことなどから、多くを男たちに横取りされ、正当に評価されず、不遇な一生を送った。
残りの半分は、メアリー・アニングの、ほとんど知られていない私生活をフィクションとして描くこと。預かることになった上流階級の若い人妻が、肺炎で倒れる。高熱の彼女の背中や胸に軟膏を塗ってあげるシーンあたりから、予感はしたが、まさか、と思いつつ、あまりの早い展開に・・・。身分を越え、立場を越えて、愛に飢えた二人の女性の間で何かのロックがはずれた。
たしかにラブシーンが過激すぎると思います、くまげらの森様。ライム・レジスの小学校では地元の誇りだと教えているし、子ども向けの伝記は日本でもたくさん出ている。子どもにみせられないじゃないですか。このくらいで心配してると子どもに笑われるのかな、逆に。