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異端の鳥 / ペトル・コトラール
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「異端の鳥」 の解説・あらすじ・ストーリー

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解説・ストーリー

イェジー・コシンスキの問題作『ペインティッド・バード(異端の鳥)』を「戦場の黙示録」のチェコの俊英ヴァーツラフ・マルホウル監督が映画化した衝撃作。ホロコーストを逃れ、たった一人で田舎に疎開した少年が目の当たりにする差別と暴力の数々と、少年自身を待ち受ける過酷な運命を全編モノクロによる冷徹な筆致で描き出す。主演は新人のペトル・コトラール。共演にウド・キア、ステラン・スカルスガルド、ハーヴェイ・カイテル。ホロコーストを逃れ、一人暮らしの叔母を頼って田舎へと疎開してきた少年。しかしその叔母が急死し、身寄りをなくした少年は、生き延びるために一人さまよい歩く。そして行く先々で、共同体の異物として扱われ、壮絶な虐待を受け続けるのだったが…。 JAN:4522178013096

「異端の鳥」 の作品情報

作品情報

製作年:

2019年

製作国:

チェコ/スロバキア/ウクライナ

原題:

THE PAINTED BIRD

「異端の鳥」 のキャスト・出演者/監督・スタッフ

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ユーザーレビュー:9件

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1〜 5件 / 全9件

少年は原始人として生き延びた。

投稿日:2021/03/16 レビュアー:カマンベール

ぶっちぎりの問題作。
2019年(チェコスロバキア/ウクライナ)
モノクロ映画で2時間49分。
非常に優れた作品。そして問題作。
(退席か?スタンディング・オベーションか?ふたつにひとつ)そんな評価。
ベネチア国際映画祭でユニセフ賞を受賞。
少年はユダヤ人。時代は第二次世界大戦中。場所は東欧のどこか。
両親がホロコースト逃れるために疎開させた叔母の家を皮切りに、
想像を絶する苦難の旅を経験することになる。
その描写が凄まじい。
鞭で打たれ!!馬に引き摺られ!!木から吊るされ!!金で売られ。
ユダヤ人は意味なく銃殺される。
少年は2年の流浪の旅で、虐待と暴力にさらされ、見てはならぬものを見過ぎた。
いつも死と隣り合わせ。
台詞のほとんどない映画です。はじめ素直で愛らしかった少年、やがて言葉を失う。
それほどに酷い体験をして、心は傷ついた。
音楽もない。少年のたどたどしい「エリーゼのために」のみ。
モノクロの映画だから出来たこと。
自然光は美しく、ボルガ川は何事もなく全てを呑み込んで流れている。
水音、火のはぜる音。犬の吠え声。それらがBGM。

原作はホロコーストを生き延びたポーランドの作家イェジー・コシンスキ。
(彼も謎の自死を遂げる。)
監督はチェコ出身のハーツラフ・マルホウルが11年の歳月をかけて映像化した。
(監督を87歳。ご自身の集大成でしょう)

はじめの方で、椅子で死んでいた叔母に驚いた少年はランプを落としてしまう。
そして燃え上がる家屋・・・住む家を失った少年の放浪が始まる。
撮影に2年の歳月をかけて少年(ペルト・コラール)は、身体も一回り大きくなっている。
彼の生涯を決定づける体験だったろう。(やや丸々してるのが欠点だが、)
素直な少年が、最後には邪悪な行為を平然と侵す少年に変容する。
虐待や暴力の連鎖はこうして起こると思わせられた。
ジャケットになっている砂に埋められて頭ひとつ出し、カラスに襲われるシーン。
過激だし過酷だ。そんなシーンの連続。
国際級俳優も出演。
ウド・キアは妻と使用人の不貞を疑い両目をくり抜く農夫。
(目玉を食べる子猫・・・黒白フィルムだから耐えられた。)
他に、ハーベイ・カイテル(神父)。ステラン・スカルスガルド。ジュリアン・サンズ。
バリー・ペッパーが出演している。
ユダヤ人迫害に限らず、原始から人間は憎み合い、殺戮・略奪して殺し合う。
それが本能なのではないか?そんなことを思った。

ラストで少年は自分の名前を思い出す。
心の傷は癒やされるのか?
しなくていい経験もある・・・そう思った。

このレビューは気に入りましたか? 7人の会員が気に入ったと投稿しています

暴力やイジメは大人から子供に伝達される

投稿日:2021/03/21 レビュアー:飛べない魔女

昨年映画館で本作を見た友人が、ずっしり重い足取りで映画館を後にした、と
感想を言っていたので、心して 見た。
169分、果たして耐えられるのか?とも思ったが
凄く引き込まれていって、あっという間の時間だった。

場所は東欧のどこか。
ホロコーストを逃れるため預けられていた叔母が死んで家が焼けてから
少年の孤独で壮絶な旅が始まる。
これでもか、これでもか、と酷い目にあう。
やがて少年は口を閉ざし、言葉を話すこともなくなる。
暴力を見せられて育つ子どもは暴力的になるのは世の常。
差別から虐げられ、根拠のない悪魔の子扱い、
どこへ行っても少年の居場所はない。
やがて少年の心に芽生える邪悪な心。
少年は本当の悪魔の子になってしまうのか?
ロシア兵のハンターに教えられる。
『目には目を、歯には歯を』と。
少年はそれを実行する。

ゲームを楽しむように動物を虐待し
人を虐殺する人間たち。
どこまでも残酷で冷酷でその姿は何人であっても醜い。

本作の言語には舞台となる国や場所を特定されないよう
インタースラーヴィクという人工言語が使われているとのこと。
この言語が映画で使用されるのは史上初めてのことだそうだ。
ドイツ語とロシア語だけはそのまま使用。
原作者がポーランド出身の作家で、自身もホロコーストを逃れるため
田舎に疎開し、キリスト教徒と偽って暮らしていたというから
ある程度体験も入っているのかもしれない。

このレビューは気に入りましたか? 4人の会員が気に入ったと投稿しています

娯楽性はゼロ へーって思うところはけっこうあった。

投稿日:2021/04/19 レビュアー:勇光

長い映画。力作なのは確か。はじまってしばらくは無名の役者ばかりだが、ちょこちょこ知ってる顔が出てくる。けっこうカネもかかってる。
ドラマはないがストーリーはある。
放浪する少年を中心にして情景がどんどん変化するのだが、オムニバス的なつくりになっている。
ものすごいド田舎から話がはじまるので、最初は時代や場所が全然わからない。病人を治療する婆さんが魔術師みたいな感じなので中世なのかとおもったら中盤から次第に第二次大戦中の話だとわかる。20世紀に入っても東欧のド田舎は中世のままだったことがけっこう新鮮な驚きだった。で、場所はだいたいウクライナあたりからポーランドあたりだと思われる。舞台となる国や場所を特定されないよう、インタースラーヴィクという人工言語が使われているそうだが、ソ連軍の兵士とナチス軍の兵士は明らかにわかる。コサック騎兵なんかも登場する。メッサーシュミットも1機だけ登場する。
テーマがあるのかどうかわからないが、ひどい暴力シーンとナマナマしいセックスシーンが多い。
主人公の少年は何度か犯されるが、どうも、その子役がデクノボウで臨場感はない。けっこう名のある役者をどんどん投入してるのだから主役の子どもももうちょっとマシなのにすればよかったと思う。

見終わったところでの感じは、やっと終わったか・・っていうレベル。面白くはなかった。

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虐げる人々

投稿日:2021/12/04 レビュアー:icy

差別偏見暴力は直接的な形に限らず日常的に存在していて、それは社会集団が持つ基本的な性質の一つに過ぎない。それを憎んだり告発するとしても、その当人も意識しているかどうかはともかくとして実際には何らかの形で他人を虐げている。相対的に強くたくさんいる側が弱く少ない側を虐げるのは分かり易いが、社会の仕組みとして気付きにくい形にすることで何らかのセグメントを不利な状況に追いやるのはいつでもどこでも普通である。虐げる側は往々にして自分は傷つかない安全なところにいて、直接手を下すか傍観を決め込んで無言の圧力をかける。
この映画は形式的にはユダヤ人迫害を取り上げているが、もちろん本当は社会に普遍的に見られる虐待を描いている。村社会の中での村八分や村の外の者に対する差別は前近代的な印象を与えるが、都市の知識層ではもっと洗練されて制度化され、より大規模になった虐待が行われる。主導するのは国家権力に限らず、ネット上での誹謗中傷などに見られるように実社会で虐げられる側の負け犬が虐げる側に回ることで虐待の連鎖を加速するのもとても人間的だ。
個々のシーンは結構衝撃的なはずなのだが、早い段階から以上のような諦観に似た考えが頭から離れなくなってしまい、少年が経験することがとても当たり前に思えてほぼ何も感じなかった。

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動物の本能。

投稿日:2021/07/29 レビュアー:

169分。
長尺だ。
けど、真っ白で奔放にケラケラ笑っていた少年が、言葉を失くし、表情を失くし、
心を失くすに至るまでの何が起こったかを丁寧に描くのに必要な長さなんだと感じた。

チャプターは少年が出会った人物順にその名前で表記されている。
モノクロで美しい草原や森林、小さな村、川の流れが映し出される。
そのロシア当たりと思われる壮大な自然はタルコフスキーのように美しい。

その美しさとは反対に、事情で家族から親戚に預けられ、そこからも離れざるを得なくなり
転々と放浪する先で出会う人や出来事があまりに酷で痛くてしんどい。

まだこどもが保育園時代にだんなと保育園の運動会や発表会を見に行くたびに
かわいいなあ、
でもこの中からも何人かは踏み外す子が出てくるんやろうなぁ、
ってな話をしたものだけど、ほんとにその通りで生まれた時は皆無垢な天使だ。

それが家庭だったり、環境だったり、出会う人だったりによって、
白かったものがどんどん汚れていく。
その汚れは、人によって違えど、多かれ少なかれ誰にだってあるものだ。

彼の見たもの、されたこと、耳にしたもの。

見ていて辛かった。

最初は物語を追うだけで、時代も場所も背景もよく分からないが段々それも見えてくる。
少年の父は、彼を手放したくて離れたわけではなかった。
戦争という極限の中で普通に暮らしていた人々の心も荒んでいった。
貧しさはあるいは心を蝕む。
ものがない、娯楽がない中で、残されたタダで手に入る快楽が性的虐待や暴力、
動物虐待なのだろう。

少年をひどい目に遭わせる人を悪い人、いけない人、というのは簡単で
彼らには彼らの辿ってきた物語がまたあるのだろう。

最後に少年がたどり着いた人と場所で、
あ!
そうだったと冒頭のシーンに気づく。
でもその後の少年が果たして幸せになれたのか、心の曇りはなんとなく晴れない。

ウド・キアーの登場にはびっくりした。
ウド・キアーはどこへいってもウド・キアーで、もうあの湖のように澄んでいて
綺麗な目でこちらを見られるだけでギョッとする。
出会いはフォントリアーのキングダムだけど、どの映画で出くわしても怖い。
役が奇妙だったり怖い役という理由じゃなく、何かよく分からない怖さが彼にはある。

特典映像でチラッとインタビューで出ていて、初めて素顔っぽさをのぞけたのが嬉しかった。

ヴァーツラフ・マルホウル監督について調べてみたがほぼ情報がなかった。
また、この映画には原作があるようでその原作者イェジー・コシンスキの情報もまた
少ない。
ただ、コシンスキがユダヤ人で壮絶な人生を歩んだ方のようで、本人は否定しているが
彼の幼少期の体験が深く映し出されてるのだろうことは想像できる。

実際彼もホロコーストから逃れるため逃亡生活を強いられ幼少期5年間も口が聞けなかったと
語っている。
そして、隠されているんだろうなと思われるような部分もなんとなく感じられて、
不明な部分も多い。
象徴的なのが、彼の最期で奇妙な亡くなり方をしている。

邦題は「異端の鳥」だが、原題は「the painted bird」。
映画の中にはそのタイトルと重なるエピソードが出てくる。
様々な印象的なシーンがあるが、そのエピソードも頭から離れない。

あのシーンはCGとかじゃなく、本当にああいうことになっちゃうのだろうか。

人間しかり、動物は本能的に異端をはじく習性があるのだろうか。

長いけど見てよかった。
どのエピソードも深く、心に響く。

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1〜 5件 / 全9件

異端の鳥

ユーザーレビュー

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少年は原始人として生き延びた。

投稿日

2021/03/16

レビュアー

カマンベール

ぶっちぎりの問題作。
2019年(チェコスロバキア/ウクライナ)
モノクロ映画で2時間49分。
非常に優れた作品。そして問題作。
(退席か?スタンディング・オベーションか?ふたつにひとつ)そんな評価。
ベネチア国際映画祭でユニセフ賞を受賞。
少年はユダヤ人。時代は第二次世界大戦中。場所は東欧のどこか。
両親がホロコースト逃れるために疎開させた叔母の家を皮切りに、
想像を絶する苦難の旅を経験することになる。
その描写が凄まじい。
鞭で打たれ!!馬に引き摺られ!!木から吊るされ!!金で売られ。
ユダヤ人は意味なく銃殺される。
少年は2年の流浪の旅で、虐待と暴力にさらされ、見てはならぬものを見過ぎた。
いつも死と隣り合わせ。
台詞のほとんどない映画です。はじめ素直で愛らしかった少年、やがて言葉を失う。
それほどに酷い体験をして、心は傷ついた。
音楽もない。少年のたどたどしい「エリーゼのために」のみ。
モノクロの映画だから出来たこと。
自然光は美しく、ボルガ川は何事もなく全てを呑み込んで流れている。
水音、火のはぜる音。犬の吠え声。それらがBGM。

原作はホロコーストを生き延びたポーランドの作家イェジー・コシンスキ。
(彼も謎の自死を遂げる。)
監督はチェコ出身のハーツラフ・マルホウルが11年の歳月をかけて映像化した。
(監督を87歳。ご自身の集大成でしょう)

はじめの方で、椅子で死んでいた叔母に驚いた少年はランプを落としてしまう。
そして燃え上がる家屋・・・住む家を失った少年の放浪が始まる。
撮影に2年の歳月をかけて少年(ペルト・コラール)は、身体も一回り大きくなっている。
彼の生涯を決定づける体験だったろう。(やや丸々してるのが欠点だが、)
素直な少年が、最後には邪悪な行為を平然と侵す少年に変容する。
虐待や暴力の連鎖はこうして起こると思わせられた。
ジャケットになっている砂に埋められて頭ひとつ出し、カラスに襲われるシーン。
過激だし過酷だ。そんなシーンの連続。
国際級俳優も出演。
ウド・キアは妻と使用人の不貞を疑い両目をくり抜く農夫。
(目玉を食べる子猫・・・黒白フィルムだから耐えられた。)
他に、ハーベイ・カイテル(神父)。ステラン・スカルスガルド。ジュリアン・サンズ。
バリー・ペッパーが出演している。
ユダヤ人迫害に限らず、原始から人間は憎み合い、殺戮・略奪して殺し合う。
それが本能なのではないか?そんなことを思った。

ラストで少年は自分の名前を思い出す。
心の傷は癒やされるのか?
しなくていい経験もある・・・そう思った。

暴力やイジメは大人から子供に伝達される

投稿日

2021/03/21

レビュアー

飛べない魔女

昨年映画館で本作を見た友人が、ずっしり重い足取りで映画館を後にした、と
感想を言っていたので、心して 見た。
169分、果たして耐えられるのか?とも思ったが
凄く引き込まれていって、あっという間の時間だった。

場所は東欧のどこか。
ホロコーストを逃れるため預けられていた叔母が死んで家が焼けてから
少年の孤独で壮絶な旅が始まる。
これでもか、これでもか、と酷い目にあう。
やがて少年は口を閉ざし、言葉を話すこともなくなる。
暴力を見せられて育つ子どもは暴力的になるのは世の常。
差別から虐げられ、根拠のない悪魔の子扱い、
どこへ行っても少年の居場所はない。
やがて少年の心に芽生える邪悪な心。
少年は本当の悪魔の子になってしまうのか?
ロシア兵のハンターに教えられる。
『目には目を、歯には歯を』と。
少年はそれを実行する。

ゲームを楽しむように動物を虐待し
人を虐殺する人間たち。
どこまでも残酷で冷酷でその姿は何人であっても醜い。

本作の言語には舞台となる国や場所を特定されないよう
インタースラーヴィクという人工言語が使われているとのこと。
この言語が映画で使用されるのは史上初めてのことだそうだ。
ドイツ語とロシア語だけはそのまま使用。
原作者がポーランド出身の作家で、自身もホロコーストを逃れるため
田舎に疎開し、キリスト教徒と偽って暮らしていたというから
ある程度体験も入っているのかもしれない。

娯楽性はゼロ へーって思うところはけっこうあった。

投稿日

2021/04/19

レビュアー

勇光

長い映画。力作なのは確か。はじまってしばらくは無名の役者ばかりだが、ちょこちょこ知ってる顔が出てくる。けっこうカネもかかってる。
ドラマはないがストーリーはある。
放浪する少年を中心にして情景がどんどん変化するのだが、オムニバス的なつくりになっている。
ものすごいド田舎から話がはじまるので、最初は時代や場所が全然わからない。病人を治療する婆さんが魔術師みたいな感じなので中世なのかとおもったら中盤から次第に第二次大戦中の話だとわかる。20世紀に入っても東欧のド田舎は中世のままだったことがけっこう新鮮な驚きだった。で、場所はだいたいウクライナあたりからポーランドあたりだと思われる。舞台となる国や場所を特定されないよう、インタースラーヴィクという人工言語が使われているそうだが、ソ連軍の兵士とナチス軍の兵士は明らかにわかる。コサック騎兵なんかも登場する。メッサーシュミットも1機だけ登場する。
テーマがあるのかどうかわからないが、ひどい暴力シーンとナマナマしいセックスシーンが多い。
主人公の少年は何度か犯されるが、どうも、その子役がデクノボウで臨場感はない。けっこう名のある役者をどんどん投入してるのだから主役の子どもももうちょっとマシなのにすればよかったと思う。

見終わったところでの感じは、やっと終わったか・・っていうレベル。面白くはなかった。

虐げる人々

投稿日

2021/12/04

レビュアー

icy

差別偏見暴力は直接的な形に限らず日常的に存在していて、それは社会集団が持つ基本的な性質の一つに過ぎない。それを憎んだり告発するとしても、その当人も意識しているかどうかはともかくとして実際には何らかの形で他人を虐げている。相対的に強くたくさんいる側が弱く少ない側を虐げるのは分かり易いが、社会の仕組みとして気付きにくい形にすることで何らかのセグメントを不利な状況に追いやるのはいつでもどこでも普通である。虐げる側は往々にして自分は傷つかない安全なところにいて、直接手を下すか傍観を決め込んで無言の圧力をかける。
この映画は形式的にはユダヤ人迫害を取り上げているが、もちろん本当は社会に普遍的に見られる虐待を描いている。村社会の中での村八分や村の外の者に対する差別は前近代的な印象を与えるが、都市の知識層ではもっと洗練されて制度化され、より大規模になった虐待が行われる。主導するのは国家権力に限らず、ネット上での誹謗中傷などに見られるように実社会で虐げられる側の負け犬が虐げる側に回ることで虐待の連鎖を加速するのもとても人間的だ。
個々のシーンは結構衝撃的なはずなのだが、早い段階から以上のような諦観に似た考えが頭から離れなくなってしまい、少年が経験することがとても当たり前に思えてほぼ何も感じなかった。

動物の本能。

投稿日

2021/07/29

レビュアー

169分。
長尺だ。
けど、真っ白で奔放にケラケラ笑っていた少年が、言葉を失くし、表情を失くし、
心を失くすに至るまでの何が起こったかを丁寧に描くのに必要な長さなんだと感じた。

チャプターは少年が出会った人物順にその名前で表記されている。
モノクロで美しい草原や森林、小さな村、川の流れが映し出される。
そのロシア当たりと思われる壮大な自然はタルコフスキーのように美しい。

その美しさとは反対に、事情で家族から親戚に預けられ、そこからも離れざるを得なくなり
転々と放浪する先で出会う人や出来事があまりに酷で痛くてしんどい。

まだこどもが保育園時代にだんなと保育園の運動会や発表会を見に行くたびに
かわいいなあ、
でもこの中からも何人かは踏み外す子が出てくるんやろうなぁ、
ってな話をしたものだけど、ほんとにその通りで生まれた時は皆無垢な天使だ。

それが家庭だったり、環境だったり、出会う人だったりによって、
白かったものがどんどん汚れていく。
その汚れは、人によって違えど、多かれ少なかれ誰にだってあるものだ。

彼の見たもの、されたこと、耳にしたもの。

見ていて辛かった。

最初は物語を追うだけで、時代も場所も背景もよく分からないが段々それも見えてくる。
少年の父は、彼を手放したくて離れたわけではなかった。
戦争という極限の中で普通に暮らしていた人々の心も荒んでいった。
貧しさはあるいは心を蝕む。
ものがない、娯楽がない中で、残されたタダで手に入る快楽が性的虐待や暴力、
動物虐待なのだろう。

少年をひどい目に遭わせる人を悪い人、いけない人、というのは簡単で
彼らには彼らの辿ってきた物語がまたあるのだろう。

最後に少年がたどり着いた人と場所で、
あ!
そうだったと冒頭のシーンに気づく。
でもその後の少年が果たして幸せになれたのか、心の曇りはなんとなく晴れない。

ウド・キアーの登場にはびっくりした。
ウド・キアーはどこへいってもウド・キアーで、もうあの湖のように澄んでいて
綺麗な目でこちらを見られるだけでギョッとする。
出会いはフォントリアーのキングダムだけど、どの映画で出くわしても怖い。
役が奇妙だったり怖い役という理由じゃなく、何かよく分からない怖さが彼にはある。

特典映像でチラッとインタビューで出ていて、初めて素顔っぽさをのぞけたのが嬉しかった。

ヴァーツラフ・マルホウル監督について調べてみたがほぼ情報がなかった。
また、この映画には原作があるようでその原作者イェジー・コシンスキの情報もまた
少ない。
ただ、コシンスキがユダヤ人で壮絶な人生を歩んだ方のようで、本人は否定しているが
彼の幼少期の体験が深く映し出されてるのだろうことは想像できる。

実際彼もホロコーストから逃れるため逃亡生活を強いられ幼少期5年間も口が聞けなかったと
語っている。
そして、隠されているんだろうなと思われるような部分もなんとなく感じられて、
不明な部分も多い。
象徴的なのが、彼の最期で奇妙な亡くなり方をしている。

邦題は「異端の鳥」だが、原題は「the painted bird」。
映画の中にはそのタイトルと重なるエピソードが出てくる。
様々な印象的なシーンがあるが、そのエピソードも頭から離れない。

あのシーンはCGとかじゃなく、本当にああいうことになっちゃうのだろうか。

人間しかり、動物は本能的に異端をはじく習性があるのだろうか。

長いけど見てよかった。
どのエピソードも深く、心に響く。

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