翼よ！あれが巴里の灯だ

翼よ！ あれが巴里の灯だ（１９５７年・アメリカ、カラー、１３５分）

最初のレビュー投稿者であることに、誇りと緊張感が入り混じっています。

チャールズ・Ａ・リンドバーグ（1902.02.04 〜 1974.08.26 ／ 米・ミシガン州デトロイト生まれ）
１９２７年に世界最初の大西洋単独横断無着陸飛行に成功した、チャールズ・Ａ・リンドバーグの自伝回想録を映画化した作品です。
睡魔と戦いながら達成した、パリまでの３３時間３０分の孤独な飛行が、スリリングに描かれています。

ニューヨークからパリ無着陸飛行の最初の成功者に対し、２万５千ドルを受けられる栄誉賞が設定された。１９２６年のことである。２４歳の若き郵便飛行士リンドバーグ（ジェームズ・スチュワート）はそれを目指し、町の実業家や有力者を訪ね、経済上の支援を得る。だが、肝心の飛行機の調達が思うように進まず、失意のリンドバーグは、サンディエゴの小工場ライアン航空会社を訪れる。工場長（バートレット・ロビンソン）と設計主任（アーサー・スペース）はリンドバーグの申し出を快諾し、大急ぎで単行機を造り上げた。同じ頃、ラジオではフランスや米国の複数の飛行家達が大西洋横断の準備をしている旨の放送が流れていたが、やがて大西洋上空で行方不明になる報道も続いた。リンドバーグは燃料を目いっぱい積み込むために食料を最小限に節約し、無線機も積まず、ニューヨーク・ルーズベルト飛行場を飛び立った。１９２７年５月２０日午前５時５２分、荒天ながら多くの人々の声援に送られてのことだった。

ジェームズ・スチュワートは本作出演時４７歳か４８歳くらいで、とても青年飛行家にはみえないが、ヘアスタイルの工夫やメイクで若作りしています（笑）。ただ、彼の演技力と人間的魅力で違和感は感じられませんでした。
監督のビリー・ワイルダーは、当時 ‘もっとも多忙な超一流監督’ と云われていた頃で、本作と同年の「昼下りの情事」をはじめ、前後して５４年「麗しのサブリナ」５９年「お熱いのがお好き」、６０年「アパートの鍵貸します」など、傑作を撮り続けていました。名脚本家としても知られ、３９年「ニノチカ」（共同脚本）、４４年「深夜の告白」、５０年「サンセット大通り」などの傑作を生みだしています。
軽妙なセリフや、細やかで粋な人物設定、小道具の使い方など、まさに職人芸たる所以でしょう。

邦題タイトル「翼よ！あれが巴里の灯だ」が ‘パリ’ ではなく ‘巴里’ であることに、不思議な魅力を感じます。（紆余曲折あったようですが）
ラストシーンは、さすがに感動ものです。