シマロン

シマロン（１９６０年・アメリカ、カラー、１４７分）

エドナ・ファーバー女史の人気小説を忠実に追った、３１年「シマロン」のリメイクで、西部開拓魂を描いた人間ドラマ。
本作は、「荒野の七人」（６０年）と共に、従来の西部劇の崩壊直前の ‘最後の華’ とも言えるだろう。
西部劇の伝統的な主題である、正義の力、強固なアメリカへの信仰も、時代の流れとともに変化していかざるをえなかった。

１８８９年、オクラホマ準州。政府が解放した未開の入植地に新生活を求め、ヤンシー・クラバット（グレン・フォード）と妻セイブラ（マリア・シェル）は、その出発地点へ向かう。野宿した翌朝、小悪党の若者チェロキー・キッド（ラス・タンブリン）やウェス（ヴィック・モロー）らが現れ、セイブラをからかうが、ヤンシーの妻と知って謝罪し、退散した。続いて子だくさんのトム（アーサー・オコンネル）とサラ（マーセデス・マケンブリッジ）のワイアット夫妻と巡り合い、新聞社の知人サム（ロバート・キース）と妻メイヴィス（アリーン・マクマホン）夫妻、印刷工ジェシー（ハリー・モーガン）らと旧交を温めた。出発点に着いたヤンシーは、かつて恋仲だったディクシー（アン・バクスター）とも再会した。いよいよ入植地獲得競争が始まり、数百台の幌馬車や馬が砂塵をあげて疾走し始めた。やがてトムが脱落し、サムは馬車が横転して後続に轢かれ死亡した。更に、先住民に執拗に危害を加えるボブ（チャールズ・マクグロー）に激怒したヤンシーは、躊躇なくボブを射殺した。希望の土地獲得を、ディクシーに先を越されて諦めたヤンシーは、サムの遺志を継いで、オーセージの町で新聞社を立ち上げる。そんな折、チェロキー・キッドやウェスが襲撃事件を起こし、子供たちを人質にとって学校へ立て籠もるが．．．。

前半、土地争奪に向けて、多数の馬や幌馬車が一斉に走り出すシーンは壮観だ。
映画の冒頭の字幕紹介では、「１８８９年４月２２日正午。アメリカ最後の未開地が先着順で無料付与されることになった。北から南から、あるいは海を渡り希望者が集まった。わずか１日で土地は埋まり、のちに州となった。それがオクラホマである」と紹介されるが、前述の壮観なシーンを裏付けている。
映画の前半は、貧しい人々の生活ぶりと、仲間同士助け合うという人間の優しさが描かれている。
しかし後半は、貧しかった人々が石油掘削によって富を手にいれた挙句、先住民を卑下するという非人間的な部分にスポットをあてている。
正義感の強い主人公ヤンシーの言動も機微を感じるが、やはり妻セイブラの現実的な思考にも同調してしまう。
この夫婦を演じたグレン・フォード、マリア・シェルの好演が作品全体を締めていることは言うまでもない。

特にマリア・シェルの演技のうまさは折り紙付きで、名作文学のヒロインを次々と演じている。（弟は俳優マキシミリアン・シェル）
個人亭には、５６年「居酒屋」（ルネ・クレマン監督）における洗濯女ジェルヴェーズが絶品だった。
その点、クレジット３位で登場のアン・バクスターの役回りは、ちょっと気の毒な感じがする。
「コンバット」のサンダース軍曹役でお馴染みのヴィック・モローにも期待していたが、小悪党の役回りが惜しい。

脚本は「マンハッタン物語」（６３年）、「コーラスライン」（８５年）、「タッカー」（８８年）などを手掛けたアーノルド・シュルマン。

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147分の超大作。
ヒロインである、奥さんよりの視点から描いているのが、ミソ。
当時の常識人である奥さんと、型にハマらない旦那さん。
インディアンの存在が物語に奥行きを与えている。

思えば、2008年に白黒映画シマロンを見てレビューを書いたところから、
レビューアーとしての活動は始まった。たまたま、リメイク版があったので、
借りました。凄い違い。何もかもがスケールアップ。エンディングまで違う。

シマロン、野生の羊、という意味です。手に負えないとか。
ある意味、影の主役であるシマロン、昔から理不尽なことをほっておけない、
人の不幸でお金を得るのが大嫌いな人でした。

真実は自由を得る手段、など味わい深い言葉が多い。女性同士の
丁々発止も興味深い。
オクラホマ州、知事の仕事を断るし、キューバの義勇騎兵隊に参加、
はたまた第一次世界大戦にも参加。

開拓者達って、白人のイメージがありますが、インディアンの夫婦とかもいたそうです。初耳。西部の歴史は深い。

War office 戦争省　、この訳はもったいない。兵部省くらいしか、ぱっと浮かびませんが。