ウクライナ・クライシス

2019年　ウクライナ映画
原題：ＢＥＳＨＯＯＴ


祖国のために戦った2014年「イロヴァイスクの戦い」においてウクライナ義勇兵の実話をベースに描かれている。

ロシアによるウクライナ侵攻が始まって早くも1ヶ月以上経つ。
いや、当事者からしたら、一分一秒だって長いに違いない。
私は遠い国の話と楽観視していた自分に対して戒めの気持ちで観てみた。

前線で戦う義勇兵の話が中心となっていて、中には女性兵士もいる。
武器を持ったことがない素人も少なくない。
2014年３月ロシアはウクライナ領内のクリミア半島に侵攻。
ウクライナ東部は戦争状態に突入したが、ロシア側はこれを戦争と認めるものは少なく、あるロシアのお偉方ヴァレラの息子のリオーハは父に反発し家を出て叔父を頼ってドネツク人民共和国軍に入隊する。ウクライナの国旗にある横縞2色の青と黄の意味は、青は空、黄色は小麦を表しているそうで、確かにそれを連想させる程の広大な小麦畑やひまわり畑が何度も現れる。この美しい背景が戦場の生々しい銃撃戦と化すのは複雑な心境に陥る。
特に後半が辛い。

ウクライナ側の“死の部隊”と呼ばれる指揮官のビシュートがロシア人のスヴィトラーナの叔母ヴァイアの怪我の手当てをするも彼女は怪我が治るとヴァレラに密告しに行く。
が、ビシュート達は既に脱出した後だった・・・。

もう少し政治色があると良かったのですが、義勇兵の戦う姿が淡々と描かれているので漠然とした感じは否めない。ただロシアはこの頃から人道回廊を攻撃していたようで、ゼレンスキー大統領がプーチンの発言を鵜吞みに出来ないというのは良く分かる。
この映画が出来た時点でウクライナ軍の戦死者は4100人以上に達しイロヴァイスク周辺で戦った義勇兵の大隊とウクライナ軍の兵士の死者は339人以上に上る。イヷロスクから撤退する際に人道回廊で59名が殺された。22年間もの間、独裁者として君臨するプーチンは戦争ではないと言い張っているようだが、ロシア国内で反プーチンの風が吹くことを願わずにいられない。

クリミア戦争が題材と　思いますが　現在ウクライナで　行われている戦争の恐ろしさがリアルに感じられました。

この映画を観るとロシアのウクライナ侵攻の始まりは平成26年3月だということが良く分かります。ロシアとウクライナの国民及び軍隊が入り乱れており、令和4年11月3日現在、ウクライナでどのような戦いが行われているのか良く分かります。
ロシアのウクライナ侵攻に興味のある方にはお薦めします。ありがとうございました。