夜空の大空港

監督：ウィリアム・グレアム（1966年・米・93分・米ＴＶ映画）
脚本：ロッド・サーリング（『トワイライト・ゾーン』の脚本を手掛けた）
原題：The Doomsday Flight

冒頭、かなり度のキツイ眼鏡をかけた男（エドモンド・オブライエン）が、空港内で不審な動きをしている。そして、ロサンゼルス発ニューヨーク行きの飛行機の出発はいつか？と近くにいた婦人に聞いている。
その婦人は、間もなく離陸する時間だから急いだ方がよいと教えるが、その男は乗るつもりはないらしい。
予定通り旅客機が飛び立った直後、航空会社に1本の脅迫電話が掛かって来た。
「10,000フィート以下のある高度まで降下すると爆発する爆弾を仕掛けた。その場所が知りたければ10万ドルを用意しろ」
ＦＢＩ捜査官フランク・トンプソン（ジャック・ロード）が犯人からの電話に対応しながら指揮を執るが、逆探知を警戒する犯人が場所を替えながら何度にも分けて、受け渡し方法や場所を指定してくるのだった。
アンダーソン機長（ヴァン・ジョンソン）には管制塔から無線の周波数を変えて伝えられ、一気に操縦室の空気が張りつめて重たくなる。
操縦士と客室乗務員は、乗客に悟られないように爆弾の捜索をするが、見つけることが出来ず、仕舞いには機内の天井や壁も剥がしての捜索になる。流石に機長から説明のアナウンスをすることになったが・・・

「趣味は洋画」さんのレビューを拝読した際、『スピード（1994年）』とそっくりの設定だなと思った。更に『スピード』よりも先に作られた『新幹線大爆発（1975年）』も思い出された。
ところが、本作はそれよりもずっと以前に公開されている。
『新幹線〜』のレビューで自分は『スピード』がパクったに違いないなどと書いたことを覚えているので、これはマズいな…と思った。（汗）

犯人は、冒頭の眼鏡の男。分厚いレンズのせいで彼の目の表情は見て取れないが、何かの加減で男の目がアップになると、それはそれで気味が悪かった。
用意した10万ドルは、事故によって犯人の手に渡らず、その後の突発的な事情によって、犯人との連絡が不可能になってしまう。
燃料は残りわずか。燃料が切れてしまえば当然、飛行機は失速するだろう。しかし、墜落するよりも先に、高度が下がったことで爆発してしまうだろう。
乗客・乗員の運命や如何に！？
ってことで、ネタバレしない内にレビューを終えることに。

夜空の大空港（１９６６年・アメリカ、カラー、９３分）

１９７０年代には、いわゆる ‘航空パニック映画’ の傑作が数多く作られました。
「大空港」（７０年）、「エアポート’７５」（７４年）、「エアポート’７７／バミューダからの脱出」（７７年）、「エアポート’８０／コンコルド」（７９年）の４本です。
以降もエアポートと名がつく作品が次々と公開されましたが、本来のエアポート・シリーズは上述の４本だと思っています。
この「夜空の大空港」は、航空パニックものの先駆け的作品で、ロッド・サーリングの脚本が素晴らしく、とても良く出来ていると思います。このジャンルに興味がおありの方にはお勧めしたい１本です。

インターナショナル航空６便が、ロサンゼルス空港からニューヨークへ向けて離陸した。上客はファーストクラス２４名、エコノミークラス７３名である。３３，０００フィートを飛び、所要約４時間２０分。その直後、サイコパス（精神病者）の男（エドモンド・オブライエン）から航空会社に１本の電話が掛かってくる。‘１０，０００フィート以下のある高度まで降下すると爆発するアネロイド爆弾を仕掛けた。隠し場所が知りたければ１０万ドルを用意しろ！’ 即座にＦＢＩが動きだし、トンプソン特別捜査官（ジャック・ロード）が指揮を執ることに。犯人は逆探知を恐れ、公衆電話の場所を変えて次々と連絡してくる。トンプソンは航空会社重役のフェルドマン（エドワード・アズナー）に対し、この数年でクビになった航空関連社員すべてを洗い出せと指示した。この状況はロス空港の管制官から、６便のアンダーソン機長（ヴァン・ジョンソン）に、無線の周波数を変えて伝えられた。機長の指示で、チーフＣＡのジーン（キャサリン・クロフォード）ら客室乗務員が、乗客のケアと共に、秘密裡に機内の爆弾探しを始める。
しかし爆弾は一向に見つからず、刻々と消費される燃料。タイムリミットが近づいてくるが．．．。

犯人は映画が始まってすぐに登場します。
牛乳瓶の底のような強烈レンズのメガネをかけた中年男。紙袋を抱えて常に不安そうな表情の男です。
扮しているのはエドモンド・オブライエン。「裸足の伯爵夫人」（５４年）でアカデミー助演男優賞に輝いた名優で、多くの作品にクレジット４位〜５位あたりで名を連ねています。
メガネのせいで素顔が分かりにくく、この男の異常者ぶりを見るだけでも価値（？）があるかも。

６便の主な乗客は、人気俳優のデュセット（ジョン・サクソン）、神経過敏のベトナム帰還兵（マイケル・サラザン）、トンプソンの妻エリザベス（ヤン・シェパード）、肝の据わった老女（セリア・ロヴスキー）らで、どことなく「大空港」を彷彿とさせます。
機長にはヴァン・ジョンソンが扮していますが、これまた知る人ぞ知る名優です。
彼については、また別の機会に書こうと思います。

終盤に差しかかる頃、一向に連絡をよこさない犯人にシビレを切らした航空会社重役が吐き捨てます。
‘なぜ電話してこない？ なぜだ？ ７００万ドルの機体と１００人の命が、細い電話線１本に懸っている’

さて、追い詰められたこの窮地を、６便は、機長は、どう乗り越えるのでしょうか。
そして爆弾の在り処は？
意外な結末が待っています。