ザ・ピーナッツバター・ファルコン

『リトルミスサンシャイン』のプロデューサーが
新鋭の二人の監督を迎えて制作したヒューマンロードムービーです。
最初は全米でわずか17館での上映だったところ、口コミで評判が広がり
とうとう日本まで上陸しました。
小さな名作といったところでしょうか。
なかなか良かったです。

人生のはみ出しもの二人がひょんなことから出会い
友情を深めていきます。
施設を脱走したダウン症の青年ザックはプロレスラーに憧れています。
盗みと放火の罪で追われている漁師タイラーは
最愛の兄を亡くして人生を喪失していました。
そしてザックを探しにきた施設の介護士エレノアもやがて合流して
3人は筏に乗ってフロリダを目指します。
ザックがヒーローとして憧れるレスラー、ソルト・ウォーター・レッドネックの
レスリング学校を目指して。

タイトルのピーナッツバターファルコンはザックのリングネーム。
子供のころに親に置き去りにされ、親の愛情を知らずに育ったザック。
そんなザックを荒くれだけど、真は優しいタイラーが兄貴のように彼を労ります。
それは決して上から目線ではなく、常に対等な関係。
タイラーの優しさが胸を打ちます。
『友達は自ら選べる家族』なんだというザック。
やっと家族が出来たんだね、ザック。

2020年アカデミー賞の授賞式でプレゼンターとしてタイラー役のシャイア・ラブーフ と
ザック役のザック・ゴッサーゲンが二人で出ていました。
劇中でもそうであったように、二人の絆を感じさせる心温まるやり取りでした。
本作はアカデミー賞には何一つノミネートされることは無かったですが
こういう心に残る小作品を上映してくれるのは嬉しいです。
万人に見ていただきたい！

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さて、ザックを施設に戻そうと追ってきたエレノア（ダコタ・ジョンソン）だが、
なぜかタイラー、ザックに加わってプロレス教室目指して筏に乗る（笑）。
多分、見違えるように明るくなったザックを見て、心から喜んだのだろう。
ザックの夢はエレノアの夢だ。
そして髭ボーボボーだったタイラー（シャイア・ラブーフ）も、なぜかキリッとした男前に。
（ふむふむ、ザックとキャンプファイアしたり体力指導するうち、兄のような自覚が生まれたのね）
３人でヒャッハーと飛び込む海の楽しさ。さぁ〜、行くぞ、ソルトウォーターの教室へ！！

と・こ・ろ・が。
元スターは今や、あばらや暮らし。、アメリカンドリームは手から落ちた砂の残滓の如く。
優しいタイラーは、ザックに告げる言葉もなく、ザックは会えない事にガッカリする。

ところが！！ジャジャーーン！！
ザックと一言二言話した往年のスターは、昔の栄光もプライドも捨て、
「俺様こそがソルトウォーターさ！」とキョーレツな登場をする！
（ここ、すごーくカッコいいので是非、ご覧になってください、涙あふるる感動場面です）
ここからがまた、穏やかでファンキーな前半と違い、スポーツ中継のようなスリリングな展開なんですねー。『ピーナッツバターファルコン』というのは、ザックのリングネームだったのだ。
裏庭リンク。段ボールの衣装をまとい、大男を軽々と持ち上げるザック、いいぞいいぞ、
何度ダウンしても立ち上がるプロレスの素晴らしさ。

パンツ一丁で窓から脱走した時は、誰がザックのこの姿を想像したろうか。
ダウン症扱いしない、一人の人間として共に頑張ったタイラー、。どうせ挫折するとか、
どうせ学歴も人脈もないからと諦めた事はなかったですか。やる前に疲れて膿む心。
ダウン症というマイナス要素、何も持っていないと先走る計算、そんなの関係ねー、そんなの関係ねー♪
と言われているみたいな作品でした。
ちなみに本作は自身がダウン症であるザック・ゴッツァーゲンが、『映画スターになる』
という夢を持ち、シュワルツ監督に『叶いっこない』と言われて、『じゃぁ、君たちの力でその夢をかなえさせてくれ』という成り行きで実現した。若いパワーと信念に頭が下がる。

ダウン症のザック。
老人介護施設で暮らしている。
保護されて衣食を保証されても彼は不幸だった。
《籠の鳥は、御免だ！！》
すり切れるほど、1000回も観たレスラーのビデオ。
ザックの夢は憧れのプロレスラーに会いに行ってレスラースクールに入ること。
《自由と独立》
時間割と強制のない空をファルコン(ハヤブサ）のように飛びたい。

ピーナッツバターファルコンとはザックにがタイラーと考えたザックのリングネーム(強くなさそう・・・笑)

施設を脱走したザックは漁師のタイラー(シャイア・ラブーフ）に拾われて、
一緒に旅することに・・・。
タイラーが実に優しい・・・ふたりは相棒になります。
魚の窃盗や放火の罪で追われるタイラーとザックは、筏で川を下る・・・まるでハックルベリーフィンとジムみたいだよ。

そこにザックを心配して追ってきた施設の看護師・エレノア(ダコタ・ジョンソン）が、加わります。
ロードムービーは2人から3人へ(2+1が、解決策だったよね）

ザックの見てたビデオテープは古すぎた！！
憧れのレスラー《ソルト・ウォーター・レッドネック》
彼は過去の人だった・・・けど、プロレスを草野球のように楽しむ風土は残ってたんだね。
ザックのリングシーン有り！
試合シーンも有りですぜ！！

エレノアに気を揉ませるザックとタイラーだけど・・・だけど・・・
こんな幸せなラスト、みたことないです。
「友だちは選べる家族」
カールじいちゃんが教えてくれた金言は、本当だったね。

　人は、障がいがあるからとか、お金もないのにとか、しょせん女だからとか、もう歳だからとか、様々な理由で挑戦をあきらめて、自分で自分の限界を決めてしまいがち。どんな状況でも、どんな結果になろうとも、夢をあきらめないでと、この映画はやさしく伝えている。

　22歳なのに、適切な介護施設がないからと、高齢者施設に収容されているダウン症の青年ザック。プロレスラーになりたいという夢があるのに、保護という名目で、トラブルが起きないよう、過剰に自由を制限されたかごの鳥状態。それが分かるから老人たちも、彼の脱走に協力するのだろう。一方、漁師のタイラーは、信頼する兄を喪って、生活のために密漁を繰り返し、追われる身。観光客相手の釣り船を経営したいと願って、フロリダに行くつもり。そんな孤独なふたりが偶然出会い、ザックの憧れのプロレススクール目指して、共に危なっかしい旅をする。ザックを連れ戻しに来た施設の看護師エレノアも、途中から行き掛かりで加わって、３人の旅になる。

　幸せの形はひとつではない。社会のボーダーで美しい自然のなかをゆく、彼らのないないづくしの旅を見ていると、どんなに楽しそうだろう、どんなに豊かそうだろう、と感じてしまう。家族に捨てられたからプロレスラーの悪役になるんだと言うザックに、タイラーは言う、「人間の善悪は魂で決まる。お前は善玉、ヒーローだ。それは変えられない」と。孤独な魂が互いに互いを必要として、友達同士に、そしてついには新しい家族へと絆が深まっていく、とても心温まる物語。

　視野の狭い固定観念から完全にフリーな映画は、すごくすごく清々しい。どんな状況でも夢をあきらめないで。希望や目標は人を生き生きとさせてくれる、と信じたい。

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（2019年制作・アメリカ）監督はタイラー・ニルソンとマイケル・シュワルツ。

ダウン症であるザック(ザック・ゴッツァーゲン)は適切な療育施設がないため、ノースカロライナ州の方針で、若いのに「老人養護施設」に入れられていた。
ザックはプロレス入門ビデオで、往年のレスラー・ソルトウォーター・レッドネックに憧れており、彼の運営するプロレス教室に入るのが夢だった。
ある日ついに、窓枠の格子をググ・グぅ〜と湾曲させ、細くもないその体にオイルを塗りたくり（脱獄ビデオの影響か？）無理やり体をねじ込んで、パンツ一丁で脱走する。（やっぱり何も考えてない！）
コロコロしたその体に、靴も履かずにモタモタと。いざゆかん、プロレススクール！
（この段階では、バカじゃないのと思うのが普通よね）

さてその頃、カニ漁師タイラーは漁場の同業者と一触即発の状況。、カニを盗んだとか
何回目だとか、よくわからんがセコイ話が発端で、殴り合い、そして魚市場の放火にまで発展してしまう。、
もうこんなところにはいられない。タイラーもまたショットガン片手に旅に出る。

ザックとタイラーが出会ったのはそんな時であった…。
このタイラーが、全然偏見のない人で、ダウン症だからといってウスノロ扱いや、不可能だと決めつけず、何でもやらせる。ザックもまた、前向きすぎて何事もトライする。いつしかかけがえのないバディになり、二人は（行方を捜す職員と、追跡する漁師二人を気にしつつ）船で２日位先にあると言うプロレス教室を目指すのだった。

この辺までは、画面も地味で冴えない30男と、人物が得体のしれない？青少年のコンビだから、まぁ、それほど面白いわけじゃない訳。
でも、美人職員のエレノア（ダコタ・ジョンソン）が二人に合流してからがすごい！
（そもそもブラウススカートのエレノアが、筏みたいな船に乗るなんて！）
そこはかとなくラヴの雰囲気のタイラーとエレノア。
心なしか、画面も明るく、青空が目に痛く、話もドンドンはかどる！女神じゃ。
うわぉ、また長文になっちまいました。すみません、一旦切ります。