影踏み

2019年(日本）篠原哲雄監督作品。原作・横山秀夫。

原作者の横山秀夫さんご指名の主演・山崎まさよし。
存在感があると見るか、ただ立ってるだけじゃん・・・と、思うかは見る人次第です。
私は演技してないとこが、作らない良さがあるかも・・と、思いました。

主人公は「ノビ師」・・・ノビ師とは空き巣ではなくて、住人の寝静まった深夜に盗みを働く泥棒のことだそうです。

手口とか詳しい映像はありません（真似防止ですね・・この辺り、リアリティが不足！）

真壁修一(山崎まさよし）はある夜、県会議員の自宅に忍び込みます。
そこで部屋にマッチを擦って火をつけようとしている女を目撃。
とっさに阻止していた・・・が、待ち構えていたのが、防犯課の刑事だった。

そして2年後の真壁の釈放に画面は移ります。
ここで出迎えている弟分の啓二(北村匠海）がこと映画の隠し球・・・なんですよ。

キーパーソンでキーワードはは《双子》

いつも鏡のように写ってる自分が双子の片割れですね。
影であり、切ってしまっては自分も壊れてしまう・・・そんな関係性。

犯罪映画ですし、家族の物語でもあります。
そして過去から立ち上がる男の自己再生の物語でもあります。

真壁修一の20年前の過去・・・放火心中事件の真相は重たい。

ファンタジックな色付けと北村匠海の魅力がこの映画を面白くしていました。
じっくり味わうと良い映画でした。

※このユーザーレビューは作品の内容に関する記述が含まれています。

レビューを表示する

う〜ん、何から書けばよいのだろう？（笑）
最近の警察小説の隆盛はめざましいが、作家「横山秀夫」は、その牽引役の一人と
言ってよいだろう。本作はしかし、警察側の人間ではなく、犯罪者・真壁修一（山崎まさよし）を主人公としている。真壁は、深夜などに在宅人が居ながら忍び込み窃盗する「ノビ師」であり、「ノビカベ」と呼ばれていた。

ある日侵入した稲村家で、ノビカベは自宅に放火しようとしているその家の妻を発見して辞めさせる。
ところが、逃げようとしたノビカベを警察は玄関前で待ち伏せていた。通報したにしても
あまりに早い逮捕に、違和感を抱えたまま2年の刑期を終えた。そして、犯罪者でありながら、まるで刑事の如く、稲村家がかかえた問題に迫ってゆくのだった。
この、展開ははっきり言って冗長ですし、驚くようなトリックがあるわけでもありません。

一方、修一（ノビカベ）の過去そのものに、複雑な事情がありそうです。
修一は法曹界目指して、優秀な学生だった。ところが双子の弟・啓二（北村匠海）が、
ヤケになって窃盗に関わり、悲観した母親が啓二を抱きかかえて放火自殺し、父親も巻き込んで亡くなった。
悲しみの修一は、納棺の際、「同じ人間を2回も焼くなー！！」と絶叫。
「修一くん、これは法律なんだ！」
「そんな法律なんか、捨ててやる！！」

かくして修一は弁護士も検察官もあきらめ、夜中シノビ歩く泥棒になったという次第です。

実は、原作には啓二が登場してます。（ネタバレですよ、ご注意）
それも、修一の内耳の奥の耳骨をツンツンつく感じで啓二の声が頭蓋骨に響く。
啓二は修一の耳に存在していて絶え間なく話しかけてるわけよ。
（ちょっと、引きますわね。）はたしてこれを、どのように映像化するのか？？
『声』だけの出演になるのかと思いましたら、監督は「ダマシ」にきましたね（笑）
言っちゃ悪いけど、20年たっても1万年たっても、北村匠海　⇒　山崎まさよし
にはならないわけよ。・・わけよ。
20年前の回想シーンで北村匠海が一人二役で映ってニコニコ。
（正気の沙汰じゃありません）ま、山崎君いじめるのはこれ位にして。
でも、まぁ、成功したと思います。イメージしやすいですし。
本作のポイントは『双子』という存在が、会話しつつ過去の気持ちの整理や疑問を氷解
してゆくところでしょう。『影踏み』お互いの影を踏みながら生きてきた。一人を失えば
一人の影を失う、それほど尊い存在であるという事でしょうか。

双子の問題はありますが、美しい映画です。また、尾野真千子さんの演技が抜群に素晴らしいです。ありがとうございました。

他のレビュアーのかたのレビューを読むと
主演の山崎まさよしは原作の横山のご要望だったようだが、
やはり内容に対してオジサン過ぎるし、
幼馴染み設定の尾野真千子と実際には１０歳差というのは隠しようが無い。
原作を２時間以内の映画に収めるには色々と
切り落とさねばならない事があるのだろうけれど、
都合良く消える謎解きの糸、入れ替わりに都合良く現れる次の糸。
全てが都合良く並んでいて盛り上がりが無いまま淡々と話が進む。
ヒロインのエピソードも最初から出てくる割には
本筋の事件が棚ボタ的に解決した後になって蛇足的にダラダラ続く。
原作は面白いらしいが、映画は何だかなあ・・・。

刑務所出てきた瞬間に肉親が迎えに来るストーリーは、ニコラスケイジの「ラスト・パニッシャー」、しかもその肉親が結局、○○だったとは一緒の展開、
感じ方は見た方にお任せします。自分的にはまあまあ、でも割合に有名俳優が出ていましたね。