「遠い接近」 の解説・あらすじ・ストーリー
収録時間: | 字幕: | 音声: |
---|---|---|
69分 | 日:モノラル | |
レイティング: | 記番: | レンタル開始日: |
NSDR24180 | 2020年01月24日 | |
在庫枚数 | 1位登録者: | 2位登録者: |
2枚 | 0人 | 0人 |
収録時間:
69分
字幕:
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日:モノラル
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NSDR24180
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2020年01月24日
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2枚
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DVD
収録時間: | 字幕: | 音声: |
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69分 | 日:モノラル | |
レイティング: | 記番: | レンタル開始日: |
NSDR24180 | 2020年01月24日 | |
在庫枚数 | 1位登録者: | 2位登録者: |
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収録時間:
69分
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日:モノラル
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「良子、もうすぐそちらへ行く、もうすぐだ」
NHKの土曜ドラマシリーズ「遠い接近」(1975年、カラー、70分)。原作は松本清張の同名小説(1972)。
映像化はこの作品のみでしょう。初鑑賞です。脚本は大野靖子、演出は和田勉。音楽はあの眞鍋理一郎の曲。
和田勉が演出した清張TVドラマとしては最初期のもので、このあと「中央流沙」(1975★)、「棲息分布」(1977)、「最後の自画像」(1977)、「天城越え」(1978★)、「火の記憶」(1978)、「けものみち」(1982)、「波の塔」(1983★)と続きます。
★の3作のDVDレンタルを待望します。
戦争末期の東京。色版画工の職人仕事で一家を支えてきた「山尾信治」(小林桂樹)は、補充兵の教育召集を受ける。胸の旧疾患がある30代の彼は、検査で即日免除されると思っていたが、なぜか千葉・佐倉の陸軍聯隊に入隊させられる。
召集直後、地元の在郷軍人から「ハンドウを回されたな」と言われるが、その言葉の意味が分からなかった。
佐倉では、中隊の古参兵「安川」(荒井注)に目を付けられ、毎日、暴力を受ける。やがて、彼は本召集を受け、彼の属する中隊は外地に配属されることになった。
原作者の清張自身の経験に基づく作品。(以下、「松本清張記念館」HP中の「松本清張年譜」による)
==============================================
昭和8年 (1933) 24歳 福岡市の島井オフセット印刷所で、半年間版下工の修業。
昭和12年(1937) 28歳 朝日新聞九州支社の広告版下を手がける。(14年広告部嘱託、15年常勤嘱託)
昭和18年(1943) 34歳 正社員となる。10月から3ヶ月間、教育召集により入隊。
昭和19年(1944) 35歳 6月、臨時召集により再度入隊。
昭和20年(1945) 36歳 敗戦を朝鮮全羅北道井邑で迎え、10月復員。
===============================================
「版下工」という仕事は、デジタルの時代に滅びたのだが、印刷物の整版前の実物「版下」に非常に細かい修正を施したり、「点と線」を描く仕事である。
昔、出版社にいたころ、この真似事をさせてもらったことがあるが、とても繊細で集中力を必要とする仕事だ。
描線は通常「0.1ミリ」のロトリングペンで行うのだが、目が良くなければいけないし、病気や中毒で手が震えてもいけないのである。
「息を止めて素早くやるんや」と職人さんは言った。その人は1ミリの間に20本線を引けた。0.05ミリの線である。瓶の底のような分厚い眼鏡をかけていた。
この映画の「色絵画工」はそんな細かい世界ではなく、染め物を下絵を描く職人だが、腕一本で仕事を支え、無理な仕事をこなして信用を得るため、町内の軍事教練に出ていなかった。
「信治」の外地転属が決まると、父「英太郎」(笠智衆)と母、妻「良子」(吉行和子)と三人の子は、東京を離れ、縁戚に頼ることにした。
彼は、朝鮮に転属し、衛生兵として軍医の補佐を務めた。この間、彼は知人の兵隊に会い、「ハンドウを回す」とは、町内の軍事教練に積極的に出席していなかった者が「懲らしめ」のために召集されることと知った。
逆に、金持ち、有力者などの本人とその子弟は召集を免除されていたのだ、ということも知った。それを差配していたのは、各区役所の兵事課長であることも。「嫌がらせ、見せしめ」のために「非国民」「反動分子」と決めつけられた者も、意図的に徴収されたということも。
「安川」は「偽リューマチ」で除隊になっていた。「信治」は終戦になり帰国したが、家族六人は全員亡くなっていた。骨も拾えない状況で。
自分が「埋め合わせ」のために召集されていなければ、こんなことはなかった。
「遠い接近」が始まる。仮病で除隊後、軍物資を横取りして闇屋の小ボスになっていた「安川」と「出会う」。
闇市の煙草売りの役で、清張が出演している。眼光が鋭い。やがて区役所の兵事課長(下元勉)に接近する。
完全犯罪を狙った殺人が用意周到すぎ、犯人自らの墓穴を掘ることがある。
最後の「山尾信治」(小林桂樹)と、刑事(中条静夫)の対決場面は息づまるが、意外なほどあっけなく「一証拠」によって砕ける。
彼は言う。「良子、もうすぐそちらへ行く、もうすぐだ」。この断ち切り方は凄い。
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遠い接近
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ユーザーレビュー:1件
2020/05/06
NHKの土曜ドラマシリーズ「遠い接近」(1975年、カラー、70分)。原作は松本清張の同名小説(1972)。
映像化はこの作品のみでしょう。初鑑賞です。脚本は大野靖子、演出は和田勉。音楽はあの眞鍋理一郎の曲。
和田勉が演出した清張TVドラマとしては最初期のもので、このあと「中央流沙」(1975★)、「棲息分布」(1977)、「最後の自画像」(1977)、「天城越え」(1978★)、「火の記憶」(1978)、「けものみち」(1982)、「波の塔」(1983★)と続きます。
★の3作のDVDレンタルを待望します。
戦争末期の東京。色版画工の職人仕事で一家を支えてきた「山尾信治」(小林桂樹)は、補充兵の教育召集を受ける。胸の旧疾患がある30代の彼は、検査で即日免除されると思っていたが、なぜか千葉・佐倉の陸軍聯隊に入隊させられる。
召集直後、地元の在郷軍人から「ハンドウを回されたな」と言われるが、その言葉の意味が分からなかった。
佐倉では、中隊の古参兵「安川」(荒井注)に目を付けられ、毎日、暴力を受ける。やがて、彼は本召集を受け、彼の属する中隊は外地に配属されることになった。
原作者の清張自身の経験に基づく作品。(以下、「松本清張記念館」HP中の「松本清張年譜」による)
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昭和8年 (1933) 24歳 福岡市の島井オフセット印刷所で、半年間版下工の修業。
昭和12年(1937) 28歳 朝日新聞九州支社の広告版下を手がける。(14年広告部嘱託、15年常勤嘱託)
昭和18年(1943) 34歳 正社員となる。10月から3ヶ月間、教育召集により入隊。
昭和19年(1944) 35歳 6月、臨時召集により再度入隊。
昭和20年(1945) 36歳 敗戦を朝鮮全羅北道井邑で迎え、10月復員。
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「版下工」という仕事は、デジタルの時代に滅びたのだが、印刷物の整版前の実物「版下」に非常に細かい修正を施したり、「点と線」を描く仕事である。
昔、出版社にいたころ、この真似事をさせてもらったことがあるが、とても繊細で集中力を必要とする仕事だ。
描線は通常「0.1ミリ」のロトリングペンで行うのだが、目が良くなければいけないし、病気や中毒で手が震えてもいけないのである。
「息を止めて素早くやるんや」と職人さんは言った。その人は1ミリの間に20本線を引けた。0.05ミリの線である。瓶の底のような分厚い眼鏡をかけていた。
この映画の「色絵画工」はそんな細かい世界ではなく、染め物を下絵を描く職人だが、腕一本で仕事を支え、無理な仕事をこなして信用を得るため、町内の軍事教練に出ていなかった。
「信治」の外地転属が決まると、父「英太郎」(笠智衆)と母、妻「良子」(吉行和子)と三人の子は、東京を離れ、縁戚に頼ることにした。
彼は、朝鮮に転属し、衛生兵として軍医の補佐を務めた。この間、彼は知人の兵隊に会い、「ハンドウを回す」とは、町内の軍事教練に積極的に出席していなかった者が「懲らしめ」のために召集されることと知った。
逆に、金持ち、有力者などの本人とその子弟は召集を免除されていたのだ、ということも知った。それを差配していたのは、各区役所の兵事課長であることも。「嫌がらせ、見せしめ」のために「非国民」「反動分子」と決めつけられた者も、意図的に徴収されたということも。
「安川」は「偽リューマチ」で除隊になっていた。「信治」は終戦になり帰国したが、家族六人は全員亡くなっていた。骨も拾えない状況で。
自分が「埋め合わせ」のために召集されていなければ、こんなことはなかった。
「遠い接近」が始まる。仮病で除隊後、軍物資を横取りして闇屋の小ボスになっていた「安川」と「出会う」。
闇市の煙草売りの役で、清張が出演している。眼光が鋭い。やがて区役所の兵事課長(下元勉)に接近する。
完全犯罪を狙った殺人が用意周到すぎ、犯人自らの墓穴を掘ることがある。
最後の「山尾信治」(小林桂樹)と、刑事(中条静夫)の対決場面は息づまるが、意外なほどあっけなく「一証拠」によって砕ける。
彼は言う。「良子、もうすぐそちらへ行く、もうすぐだ」。この断ち切り方は凄い。
1〜 1件 / 全1件