エリザベス∞エクスペリメント

（2018年製作・アメリカ）
天才生物学者ヘンリーが、若き花嫁エリザベス（アビー・リー・カーショウ）を車に乗せて、森の奥の豪邸に帰る。
やや興奮しているエリザベスは、室内プール付きのモダンな邸宅、豪華な調度品、自由にして良い宝石類、沢山揃えられたドレスを見て幸福を噛みしめる。「なんでも自由にして良いよ、あぁ、その部屋だけは入らないで。」
鏡の前で取っ替え引っ替えドレスや帽子を試着するエリザベス。
とても愛らしい顔立ちにスレンダーな肢体。お人形さんのようだ。このシーンだけでも、
あら、これ案外女性向きなのかしら♪と楽しくなる。
ところが好事魔多し、あるいはプログラミングのなせる故か、エリザベスは「禁断の部屋」を開けてしまい、「自分と同じ顔の人間？」が裸で保管されているのを見る。
さあ、困ったぞ！見たなぁ状態のヘンリーは斧を持って花嫁を追い回す。

いやですねぇ、自分が仕向けたくせに今度は殺人の快楽に酔いしれる変態オヤジですよ。
（キアラン・ハインズ熱演）。華奢なエリザベスちゃんはかくして昇天。物語上では第一の犠牲者。
半年後、ヘンリーはまたエリザベス顔の花嫁を連れて豪邸に帰る、という冒頭と同じシーンになる。
ところが・・今回のエリザベスは異種細胞が混入して、前回のエリザベスとは少し違うのだ。それに絡んでいるのが、この屋敷で家政婦のふりをしているが実は優秀な生物博士クレア。
前途洋々だったのに、今は変態ヘンリーの愛人となり昼も夜も助手。（美人さんなのに、可哀相すぎます！）。
2番めエリザベス（実は5体めの彼女）は簡単にはやられない。

中盤以降は、次第にヘンリーの欲望が明らかになってゆくのですが、今いち展開が雑で飲み込めません。
（わかるように描いてくれ！）ちょっと早送りしたくなったけれども、わかるのはヘンリー博士の異常性ですな。
新婚の時の高揚する気分を味わいたいからって、ただのスケベじゃないですか？
考えてみれば、ずんぐりむっくりのサンダース人形みたいなジジイに、スレンダー処女がヨメにくるわけないじゃないですか！！
で、何回殺したのよ、ひどいわ。
前半はファッショナブルでいい感じ。後半は・・う〜ん、どうかな？

「エキスマキナ」や「黒い箱のアリス」が好きな方は、
気にいると思います。

妖しい人工美の世界。

ノーベル賞受賞した生物学者ヘンリー(ガタイの逞しい粗野な男)が、
新婦エリザベス（アビー・リー)を連れて大邸宅に帰って来ます。
エリザベスは若さと完璧な美貌に完璧な肉体を備えた、実はクローン。
それもヘンリーの死んだ妻のクローンなのでした。

密室SFスリラー。
天才生物学者ヘンリーの目的が、サイコで反道徳的な卑劣なものです。

エリザベスがヘンリーに禁じられた部屋を開けると・・・
思いもかけぬ光景が広がり、エリザベスは錯乱します。

しかしストーリーは二転三転して、エリザベスが次第に賢く、戦闘能力にも長けて来る所が、なかなか面白い。

小品ですが、映像・音楽・美術的にセンスがあり楽しめる作品でした。

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＝＝＝重要なネタバレを含みます＝＝＝

自分の死んだ妻のクローンを6体も作ってもて遊ぶ博士。
ノーベル賞を取ったほどの頭脳の持ち主だけど
その生態は異常な愛。
かつて愛した最愛の妻を何度も殺すことに快感を覚えるという。
最初の2体は病気で直ぐに死んでしまった。
3体目は記憶力に問題があり、逃亡を図り博士の手で殺した。
そして完璧なエリザベスを作るためにクレアという優秀な助手を雇った博士。

5年後、4番目のエリザベスが完成。
だが、あっという間に博士に惨殺されてしまう。
5番目のエリザベスは頭が良くなっているので、何とか逃げ切り逆に博士を刺し殺し難を逃れる。
うまく逃げれると思ったのもつかのま、博士の息子である盲目のオリバーが立ちはだかる。
オリバーは自分は息子ではなく博士のクローンなのでは？と疑っていて真実を知りたがっているのだった。
クレアの日記には真実が書いてあった。
描かれる過去と現在。
『あなたの心の闇は深すぎる』と博士に言ったクレアだが
研究を止めることはなかった。

次から次へと主要人物が死んでいく展開は意外性もあり面白かった。
そして最後に残った6番目のエリザベスがクレアの日記を本人に渡してここを出ていく。
『なにかいいことに使って』と言い残して。
それが彼女の皮肉なのだろう。
人形のようだったエリザベスが一人の人間になった瞬間かもしれない。

　まるでお人形のようなスレンダーな美女、新婚の妻エリザベスが紳士然とした夫ヘンリーと共に向かったのは、人里離れた山奥に建つモダンでスタイリッシュな大邸宅。女性なら垂涎の何でも揃った広いクローゼット、美術品に蔵書、プールにワインセラーと、至れり尽くせり。絶対に入ってはいけないという禁断の部屋を除いては。その隔絶した邸宅で繰り広げられるのは現代の青ひげ譚。次第に明らかになる夫のサディスティックな正体。

　それまでの経緯が明らかとなる後半は、実は彼は亡き妻の完璧なクローンを創ろうとする生物学者だと判明。フランケンシュタインは完璧な美しい人間を創ろうとして、できあがったのは内面は美しいのに、外見は醜く怖ろしい怪物だったわけだが、ヘンリーの人造人間はクローンなので、外見は完璧。助手の協力を得て、内面をも完璧にしようと試行錯誤する。

　次第に頭脳と感情を備えるようになったクローンは、おとなしく夫に従ったりはしない。当然のこと、反抗し逃亡を図る。青ひげの監禁と殺害のモチーフと、完璧な人間を創るというフランケンシュタイン的マッドサイエンティストの主題がうまく組み合わされた映画になっている。こういう類の映画としては衣裳や美術が洗練されていて、映像も美しい。

ヘンリーは、山腹に建つ豪邸に、若く美しい花嫁・エリザベスとともに帰宅する。
ノーベル賞受賞歴があり、研究の特許で大富豪となったヘンリー。
彼は、美しい衣装や宝石、美術品をエリザベスに与える。
そして、ヘンリーは、エリザベスに『ある部屋』への入室を禁じるのだった。

ところが、彼の留守中、エリザベスは『部屋』に入り、培養液に浸る女性を発見し驚愕する。
女性は、エリザベスに酷似していたのだ。
帰宅したヘンリーは、平静を装うエリザベスを殺害してしまう…

「禁断の部屋」を見てしまった花嫁を殺そうとする夫・「青ひげ公」を彷彿とさせる物語。
予告にもあるが、クローンを扱ったSFのようだ。SF感はあまりないけど…

ヘンリーは、エリザベスを好奇心が強い性格に調整している。
そうしておいて、彼女に「禁断の部屋」の存在を話し、部屋を見るように仕向ける。
そして、約束を破った彼女を殺すのだ。
変態なのか、愛を試しているのか…

人としての過去や記憶を大して持ち合わせていないエリザベスに、
ピアノを弾きつつ、エリック・サティの薔薇十字団がなんちゃらだの薀蓄を垂れるヘンリー。
キアラン・ハインズの存在感ある演技が、ヘンリーのこじらせキャラを引き立てていた。

禁断の部屋を見てしまった「青ひげ公」の花嫁よろしく「エリザベス」は窮地に陥る。
「序盤のエリザベス」は、ヘンリーに殺害されてしまった。
「次に登場するエリザベス」も、序盤の彼女同様、やはり『部屋』を見てしまう。
ヘンリーだけでなく、ヘンリーの盲目の息子・オリバーも彼女に執着している。
オリバーは敵なのか、味方なのか。
彼女の運命は…

豪邸の家政を任されているクレア（カーラ・グギーノ）が、大人の美しさを見せる。
グティエレス監督夫人だそうだ。
キレイに撮れています。愛だわー…