ローマンという名の男　−信念の行方−

2017年(アメリカ)主演・デンゼル・ワシントン

デンゼルの役作りは、なかなかです。
70年代で成長の止まった男を熱演。
アフロヘア(毛髪のある役を随分と見なかったから新鮮)
時代遅れのトンボメガネ(やや変型の)
変なチェックの上着にiPodで、大型アタッシュケースで歩く。

その辺の役作りは流石のアカデミー賞俳優の風格と軽妙な演技・・・なのですが、

人権派弁護士マーロン(デンゼル・ワシントン)が、パートナーで上司が死んだことで、事務所は有能弁護士ジョージ（コリン・ファレル)に譲られることになる。
慰留を蹴ったマーロンは仕事を失い生活に窮します。
そこで取った行動が、マーロンにしてはあり得ない。
魔がさした？
正義感はどうしたの？
このあたり見てる私も信じられずに混乱。
そして取るマーロンの行動は宝クジに当たった人間がする行動そのもの。あまりに凡庸です。

退屈で面白くない大半が過ぎて、ラストのまとめ方も、御都合主義と言わずには入られません。

デンゼルあってこその企画・・・よく引き受けてくれた・・・
そう言う監督・脚本はダン・ギルロイ。
「ナイトクルーラー」の監督・脚本とか「ボーン・レガシー」は共同脚本。
「キングコング:髑髏島の巨神」では脚本など大好きな映画の監督や脚本家なのに・・・
今回は駄作でした(すみません)

デンゼル・ワシントンが見事に難しい役を演じてます。理想が強くあり、余計なこと（本人はいたって真面目）を言ってしまう、世渡りの下手な弁護士。それが、色々なことがあってふっきれて。という話。

元々のローマン、ふっきれて垢抜けたローマン、どちらとしっかりと出来ていて、やっぱりデンゼル・ワシントンはいいね。

ただ、ちょっと脚本がアカンのかな。180度変わってしまう信条の部分、その転身がいまいちでした。葛藤とかそういうんがないんだな。そして、オチは理想を追い求めるためには正攻法だけではない、というもの。

でもそれってなぁ・・・なんかね、主人公が哀れすぎてよくないんですよ。全体的に悪くはない話なんだけど、後味がよくない、微妙な仕上がりになっています。

あんなに正義感があるローマンがと正直驚きました。てっきり事務所の不正を知ってそれに向かって立ち向かう話なのかと勝手におもっていたのでこの結末には驚きました。

どんな人間でも魔がさすときはあるのだろうけど見ていて悲しくなりました。サスペンスって感じはしなかったです。

まあまあかな。
120分の映画だが、90分位にした方が、
内容がしまって良かったのではないだろうか?
はじめの1分のタイプライター文の内容が
映画の最後にわかるストーリーになっている。