ＴＨＥ　ＰＲＯＭＩＳＥ　君への誓い

第一次大戦下で起こった、オスマン帝国政府によるアルメニア人虐殺の史実をベースに、
過酷な運命に翻弄されたアルメニア人青年ミカエルの生きざまを描くヒューマンドラマ。

医師を目指すミカエル（オスカー・アイザック）は、進学のために同郷の娘と婚約。彼女の持参金を元手に
イスタンブールの医大へ進むも、下宿先の叔父の家で出会ったアナ（シャルロット・ルボン）に恋をしてしまう。
彼女にはアメリカ人ジャーナリストのクリス（クリスチャン・ベール）という恋人がいたが、２人は惹かれ合う。
そんな折、戦争が始まり、国内でのアルメニア人に対する迫害が強まっていく。
トルコ人の学友マラルは、軍の指導者である父の名前を使ってミカエルを助けようとするも失敗。
ミカエルは捕らえられ、叔父一家も危険にさらされる。アナとクリスは人道支援に奔走し、
マラルは父の怒りを買って軍隊に入れさせられ、4人はそれぞれの道を辿ることに。
しかし、数奇な運命のいたずらによって、かつての恋人、かつての恋敵、かつての友らは再会を果たし、
そしてまた別れる。戦争という尋常ならざる状況下では生と死が常に隣り合わせ、一瞬の言動が
運命を決定づけてしまい、ある者は命を落とし、ある者はからくも生きのびる・・・そんなオハナシ。

のっけから主人公の説明モノローグでじゃんじゃか物語が進んでいく、拙速な語り口が
自分はちょっと好きではなかったけれど、TVドラマ的なテンポで見やすいかな。
何しろ壮大なドラマなので、このぐらいの駆け足でないと語り切れないかも（苦笑）。
134分とやや長尺だが、愛あり友情ありのドラマチックな展開の連続なので、退屈する暇はない（笑）。

物語を解釈する必要がなく、眼前に繰り広げられるドラマに、ただただ心を奪われるという
そういう映画ですね。古典的ハリウッド映画風と言えばいいか。
言葉遣いとして語弊がありそうだが、とにかく、すごく面白い。
ハラハラ・ドキドキするし、怖くて悲しくて、子どものように震え、そして泣いた。

で、監督さんが「ホテル・ルワンダ」（2004）の人と知って納得。
世に知らしめるべき事を、映画というエンターテインメントに仕上げる手腕がスゴイなと。

自分は、どちらかと言えば、こういう「分かりやすさ」を優先した作りの映画が好みじゃないので、
大絶賛まではいかないのだけど、でも、ホントに見て良かったと思える作品だし、
見応えのある感動的なシーンもたくさんあるので、多くの人におススメしたいです。

故郷を奪われたミカエルが「復讐したい」と口にすると、アナが諭す。
「生き残ることが復讐よ」と。
この言葉の重みが、心にズシンと響く。

いかなる民族であろうとも滅びゆく運命なんて決めつけられないし、そんな事は許されないはずだ。
最後に引用されるサローヤンの詩に、作り手のそんな意志が感じられた。

「君への誓い」なんて恋愛映画みたいな副題がついているが
メインは第一次大戦下でオスマン帝国が行ったアルメニア人虐殺の話。

なので、決して楽しい話ではないが
ストーリー自体はかなり面白かった。

良作なのに観ている人が余りにも少ないことが残念だ。